高所得者の税金対策は「控除」「不動産投資」「法人化」がポイント

はじめに

日本は世界でも所得税の税率が高い国のうちの一つです。そのため年収1,000万円を超えるような高所得者層にとって、税金対策は頭の痛い問題となります。ただ税率が高いということは、しっかりとした税金対策を取れば、その効果も大きくなるということ。そこで今回は、高所得者の税金対策に効果的な「控除」「不動産投資」「法人化」について詳しくお伝えしてまいります。

高所得者は累進課税の適用で飛躍的に税率が高い!

我が国の所得税率は、所得が高くなればなるほど税率が高くなっていく「累進課税」を採用しています。

年収から、
・給与所得控除
・社会保険料控除
・基礎控除
といった各種控除を差し引いた課税所得が300万円前後の方なら税率は「10%」ですが、900万円を超えると「33%」、4,000万円を超えるとなんと「45%」もの税率が所得に重くのしかかってきます。(※さらに10%の住民税もかかります)

例えば年収1,500万円の方の場合、
・給与所得控除・・・195万円
・社会保険料控除・・・約130万円
・基礎控除・・・48万円

という各種控除額を差し引いた課税所得は約「1,127万円」となります。

課税所得が900万~1,799万9千円までの税率は33%ですから、
1,127万円×33%-153万6千円(控除額)=218万3千百円
となり、さらにここに住民税が10%(約110万円)加わるため、
約328万円もの税金が年収から引かれることになります。
これは実に年収の20%超!
ちなみに税率が45%となる年収5,000万円の方では、所得税+住民税で年収の半分近くを税金として支払うことになってしまいます。
高所得者にとって税金がいかに「重荷」となるか、ということがお分かりいただけたと思います。

しかし税率が高いと「税金対策効果も高くなる」

ただ税率が高いのは悪いことばかりではありません。
適切な税金対策を行なえば、税率が10%の方よりも税率が33%の方の方が「3.3倍」税金対策が効果的になります。
つまり、税率が高いほど「税金対策効果も高くなる」、裏を返せば高所得者ほど税金対策が重要になってくるというわけです。
そこでここからは具体的な税金対策をお伝えしてまいります。

高所得者がするべき税金対策「7つの控除」


まず高所得者がするべき税金対策は、各種「控除」の活用です。
控除を受けることができれば税金の対象となる「課税所得」を減らすことができます。
ここでは代表的な7つの控除をご紹介いたします。

1.iDeCo

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、公的年金に上乗せする私的年金の一種で、
1.自分で掛金を拠出し
2.その掛金を自分で運用して増やし
3.将来年金として受取る
というものです。
このiDeCoをおすすめしたい理由は、上記1、2、3の全てのプロセスで「減税・節税効果」があるからなのです。

まず1で掛金として拠出した金額は「全額」所得から控除されます。(自営業の場合年間81万6千円、サラリーマンで企業年金がない場合27万6千円が上限)
次に一般的に運用益や利息には20.315%の税金がかかりますが、iDeCoでは「非課税」です。
更には将来年金として受取る時にも「公的年金等控除」や「退職所得控除」の適用があります。
つまり、お金の「入口」「運用」「出口」、そのすべてで税金対策を行うことが可能なのです。
逆に一般的な金融商品では、この全てのプロセスで控除がなかったり、課税されたりします。
まずは何をさておきiDeCoを税金対策としておすすめするのにはこのような理由があるからなのです。

2.ふるさと納税

ふるさと納税とは、自分が選択した自治体に寄付をすると、寄付した金額が所得税・住民税から控除されるという制度です。
寄付することでその自治体独自の特産品などを受取ることができるため、控除を受けた上で好みの品物を手に入れることができるという利点があります。

3.配偶者控除・扶養控除

配偶者控除とは配偶者の年収が103万円以下の場合、年間最大38万円の控除が受けられるという制度です。
また扶養控除とは(配偶者以外の)扶養している親族がいる場合、年間最大38万~63万円の控除が受けられる制度です。
どちらの制度も確定申告や年末調整時に適用されているか確認してください。

4.生命保険料控除

生命保険料控除とは、
・生命保険
・介護医療保険(民間)
・個人年金保険
に加入した場合、それぞれ年間で最大4万円、合計12万円の控除が受けられるという制度です。
金額自体は大きなものではありませんが、生命保険の場合は受取り時、つまり相続時に
500万円×法定相続人の数=非課税限度額
という相続税控除の「別枠」が用意されているため、お金の「入口」と「出口」の両方で税金対策を行うことができます。
高所得者の相続税対策として是非とも取り入れたい税金対策です。

5.特定支出控除

“サラリーマンの場合、通常は仕事上の支出があっても経費として計上することはできません。
しかし一定の条件を満たせば「特定支出控除」が認められる場合があります。
・通勤費
・転居費
・研修費
・資格取得費
・帰宅旅費
・勤務必要経費(図書費・衣服費(スーツ代など)・交際費など ※上限65万円)
といった経費が給与所得控除額の1/2を超えた場合、その超えた部分について控除を受けることができます。
例えば給与所得が1,000万円の場合、給与所得控除額は195万円になるため、97万5千円を超えた部分について控除を受けられるというわけです。

6.医療費控除

1年間に支払った医療費の合計が10万円を超えた場合、超えた部分に対し(最高200万円)控除を受けることができる制度です。
自身だけではなく生計を一にする配偶者や親族の分も合算することができるため、意外と適用されることが多い控除となっています。

7.住宅ローン控除

住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んで住宅を取得した場合、毎年末の住宅ローンの残高に応じて控除が受けられるという制度です。
例えばローンの残高が4,000万円あった場合、
4,000万円×1%=40万円
が課税所得から控除されます。

副業+個人事業主で一歩踏み込んだ税金対策を目指す


上記した「控除」による税金対策は有効な方法ですが、金額に制限があります。
そこでもう一歩踏み込んだ税金対策として、副業をして個人事業主になるというのもひとつの方法です。
個人事業主になれば「経費」を使うことが認められます。
特定支出控除よりも条件が緩く、しかも適用される経費の範囲が広いため、効果的に税金対策を行うことが可能です。

高額所得者は株式投資→分離課税で税金対策!


所得税の計算方法には給与所得や事業所得が該当する「総合課税」と、株式や不動産の譲渡益などが該当する「分離課税」の2種類があります。
このうち総合課税は全ての所得を合算したものに所得税率をかけ税額を計算します。
所得が多くなればなるほど税率が上がる累進課税が採用されており、最大45%もの高税率が適用されます。
一方分離課税は他の所得と切り離し、常に一定の税率をかけて税額を計算します。
例えば株式の配当金や譲渡益の場合、税率は20.315%です。
所得金額が695万円以下の場合は税率が20%なので総合課税でも問題ありませんが、それを超えると23%、33%・・・と上がっていくため、分離課税にした方が税金が安くなります。
そこで高額所得者の方は資産の一部を株式投資に回します。
そうすることで資産の一部が分離課税の対象となるため、税率が下がり税金対策となるというわけです。

年収3,000万円がボーダーライン、税金対策のネクストステージ


年収3,000万円を超えると、
・配偶者控除・配偶者特別控除
・住宅ローン控除
・住宅資金等の贈与非課税制度
・結婚・子育て資金の贈与非課税制度
といった一部の控除制度が「適用外」となってしまいます。
そのため年収3,000万円以上の高所得者の方は、これまで紹介してきた控除など以外の、別の税金対策を考えなくてはなりません。
その方法としては「不動産投資」と「法人化」が有効になります。

資産形成・相続税対策にもなる「不動産投資」で税金対策


不動産投資とは、購入した不動産を賃貸などで貸し出し、その家賃収入で利益を得る投資方法です。
購入した不動産の費用は減価償却費として毎年計上することができ、情報交換の目的で食事をした場合の交際費や、情報収集目的の書籍代なども経費として計上することができます。
また財産を不動産として保有することで、現金や金融商品で持っているよりも相続税上の評価額を下げることができます。
減価償却費や経費で節税しながら資産を形成し、将来的には相続税対策にもなることからも、高所得者の税金対策としてかなり有効な方法です。

不動産投資とは、購入した不動産を賃貸などで貸し出し、その家賃収入で利益を得る投資方法です。
購入した不動産の費用は減価償却費として毎年計上することができ、情報交換の目的で食事をした場合の交際費や、情報収集目的の書籍代なども経費として計上することができます。
また財産を不動産として保有することで、現金や金融商品で持っているよりも相続税上の評価額を下げることができます。
減価償却費や経費で節税しながら資産を形成し、将来的には相続税対策にもなることからも、高所得者の税金対策としてかなり有効な方法です。

法人化でさらなる税金対策を


さらなる税金対策を目指すのであれば、法人化を視野に入れることをおすすめします。
法人化することにより、
・個人事業主よりも経費の範囲が拡がる
・所得額によっては法人税の方が税率が低くなる
というメリットがあります。
特に税率は法人税率が23.20%なのに対し、所得税は900万円超で33%、1,800万円超で40%にも達します。
高所得者である売れっ子芸能人が個人事務所を設立し法人化するのには、このような理由があるからなのです。

まとめ

高所得者の税金対策として
・控除
・不動産投資
・法人化
という方法を紹介してきましたが、これらはどれか1つを実行すればいいというわけではなく、組み合わせることでさらに効果を高めることができます。

特に不動産投資+法人化は控除の適用が少なくなる3,000万円以上の所得がある方にも有効な方法です。

毎年の税金に頭を悩ませている高所得者の方は、税金対策を検討されることをおすすめします。

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