事業承継と相続を混同していませんか?違いをわかりやすく解説します!

はじめに

事業を営んでいる方は「次の世代に事業を受け継ぐこと」が課題のひとつになります。
事業を営んでいる以上、どこかのタイミングで事業承継を検討することが重要なことではないでしょうか。

事業承継を検討する際には相続と混同しないことも大切です。
相続と事業承継は「受け継ぐ」という点で似ているため、混同されることがあります。
相続と事業承継は別物なので、計画や検討の際には混同しないよう注意が必要になります。
混同してしまうと、相続対策も事業承継も失敗しかねないからです。

経営者が知っておきたい事業承継と相続の違いについてわかりやすく解説します。

相続とは

相続とは、亡くなった人の財産を相続人が受け継ぐことをいいます。
亡くなった人の財産を「遺産」といい、亡くなった人を「被相続人」といいます。

人が亡くなると、その人の所有していた預金や有価証券、不動産を被相続人自身が自由に使うことはできません。財産の管理もできなくなってしまいます。
子供や配偶者、直系尊属、兄弟姉妹といった被相続人に近しい人に遺産を受け継いでもらう制度が相続なのです。

事業承継とは

事業承継とは、育てた会社を後継者に継いでもらうことをいいます。
会社の経営権などを次の世代の経営者に承継することが事業承継なのです。

相続と事業承継の違い

相続と事業承継には異なる点が4つあります。

相続は被相続人の財産を継ぎ事業承継は会社を継ぐ

相続の対象になるのは被相続人の預金や不動産といった財産(遺産)です。
対して事業承継の対象になるのは会社です。会社の株式や経営権、技術、知識など、会社を今後も経営するために必要なものを後継者に承継させることになります。

相続は死の瞬間に開始するが事業承継にそのようなルールはない

民法には「相続は被相続人の死の瞬間に開始する」というルールがあります。
相続手続きをしてはじめて相続が開始するのではなく、法律のルールにより死の瞬間にはじまっているわけです。
対して事業承継には相続のようなルールはありません。
会社の経営者が亡くなったからといって、死の瞬間に会社が勝手に承継されるわけではないのです。

相続人になる人と事業承継人になる人の違い

相続の場合、法律で相続人になれる人が定められています。
法定相続人は被相続人の子供や配偶者、直系尊属(両親など)、兄弟姉妹になります。
遺言書などを活用すれば相続人以外に遺産を渡すことも可能ですが、法律で定められている基本的な相続人は子供や配偶者などの被相続人に近しい人たちです。

事業承継には相続人のようなルールはありません。
従業員から後継者を選ぶこともできれば、親族から選ぶこともできます。
経営者次第です。

相続の方法と事業承継の方法が違う

相続の主な方法は遺言書の活用や遺産分割協議などになります。
遺言書は被相続人が遺産分割を指定する方法で、遺産分割協議は相続人の話し合いで遺産の分け方を決める方法です。

事業承継の主な方法は、親族や従業員など特定の人に承継する方法やM&Aなどがあります。
M&Aには分割や買取、合併などの方法があり、この3つの方法がさらに吸収合併や新設分割など、いくつもの手法にわかれているのです。
どの方法を選ぶかは会社の状況などによります。

まとめ

相続と事業承継は「次の世代に受け継ぐ」という点で混同されがちです。
特に会社を経営している人は自分の相続と会社の事業承継をわけて考えなければ、事業承継と相続の有効な対策がとれない可能性があります。
混同した結果、自分の相続について考えていたはずが会社の事業承継の計画になってしまったり、事業承継の計画が自分の遺産分割計画になってしまったりすることもあるのです。

事業承継と相続は別物です。
事業承継と相続の違いを知って、弁護士などの専門家に相談しながら、ニーズに合った計画を立てることが重要です。

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