目次
はじめに
皆さん、こんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。
本日のテーマは、「医師がどれだけ円安でも米ドルを買う本当の理由」です。米ドル高円安が進んでいます。2022年の当初は1ドル110円だった米ドル円の為替レートが、現在は2024年5月ですが、1ドル155円まで米ドル高円安が進んでおり、一時期は1ドル160円までいく状況でした。しかし、日銀や政府が米ドルを売って円を買うという為替介入をしたことによって、何とか米ドル安円高に抑えていますが、それでも1ドル155円ですから、かなり無理矢理抑えながらも、米ドル高円安が進んでいるというのが、今の為替の状況です。
このように、米ドル高円安なのですが、医師の先生方から、「米ドルに投資したい」「米ドル債券を買いたい」「米ドルを購入したい」というご相談がすごく増えています。昨年の年末や今年の年始は140円弱まで米ドル安円高に戻ったのですが、逆にその時よりも、今の米ドル高円安になってきてからの方が、ご相談が多いのではないかというほど、医師の先生方からの米ドル円を購入したいというご相談が増えています。
いろいろな先生とのお話から感じ取った、医師の先生方がどれだけ円安にいっても米ドルを購入している、その本当の理由について、私の考えをお伝えできればと思います。
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過去35年の米ドル円の推移
まずは、米ドル円の推移をおさらいしておきたいと思います。
過去35年というかなり長いチャートです。右に行けば行くほど最新の為替になっています。1番右側の赤いところは2024年に入ってからの推移です。冒頭でお伝えしたように、2024年の年始は130円台の米ドル安円高までいきました。それが2024年になり、3月4月と進んでいく中で、アメリカのインフレが高止まりし、金利が上がっていくということを受け、米ドル高円安が再び進行してきて、一時期は160円までいったものの、今現在足元では155円というのが為替の状況です。
今この時点の為替の155円という推移は、いつぶりの米ドル高円安かというと、1990年5月ということですので、34年ぶりの米ドル高円安の水準に、現状の米ドル円はなっています。このように過去を見ると、歴史的な米ドル高円安なのですが、それにも関わらず、医師の先生方が円を売って米ドルを買っており、そういった相談が増えている理由について、ここからお話ししていきたいと思います。
医師がどれだけ円安でも米ドルを買う本当の理由
「医師がどれだけ円安でも米ドルを買う本当の理由」についてお伝えします。理由は4つです。
理由1)海外旅行で日本の未来が心配になった
コロナ禍の2022年までは海外に行くことはできませんでしたが、アフターコロナを迎え、2023年から海外旅行に行けるようになりました。医師の先生方の場合、ご家族でハワイに行ったり、それ以外の諸外国に行ったり、ヨーロッパに行ったりされるわけですが、久しぶりに海外に行き、外貨高円安を身に染みて感じて帰国されています。
また、日本は物価がほとんど上がっていませんでしたが、海外の物価の上昇と円安にものすごく驚いたわけです。日本の円はこんなに安くなり、物価が上がっていないのに、海外は経済が成長し、物価が高い状態にあり、「更にそれが進んでいくのではないか」「日本の未来が心配になった」と、海外旅行に行って如実に感じたようです。そして帰国後、やはり日本の円ばかりを持っていたらリスクになるということで、米ドル(外貨)を買うことを検討される先生が急増したのではないかと思います。
理由2)資産と収入の日本円フルベットに違和感
元々ある程度外貨を持っていたら、それほど心配ではないでしょう。資産の2~3割程度が米ドルということであれば、改めて米ドルを購入しなくても良いと思うかもしれません。しかし、医師の先生方の資産の大半は、資産も収入もそうですが、ほぼ100%日本円という方が圧倒的に多いです。これは統計や医師の先生方のアンケート調査で出ているのですが、医師の先生の資産や収入に占める円の割合は、他の一般の職業の方より圧倒的に高いというデータが出ています。
海外旅行の話のように、物価が上がり、米ドル高円安が進んでいて、資産(円)の価値がなくなっていく中で、日本円にフルベットしている、米ドル安円高に100%賭けている状態が、多くの医師の先生方の資産状況です。そのような日本円フルベットに違和感を覚え、もっと分散した方が良いのではないか、日本円だけでなく、外貨にも資産や収入を分散した方が良いのではないかということで、米ドルを購入するという動きに繋がっている方が多いのではないかと思います。
理由3)子供の海外留学コストのリスクヘッジ
こちらは、医師の先生ならではの理由かと思います。医師の先生の場合、お子様に高度な教育をされている方がいらっしゃいます。やはり、この時代、日本の教育だけではダメということで、開業医の先生は特に、実際に留学させている方や、将来的にお子様を海外に留学させることを考えている方が多いです。
海外留学のコストは、外貨建てでかかります。アメリカであれば、米ドル建てでかかるわけです。仮に、16万米ドルかかったとします。これが5年前であれば1,000万円程度でしたが、今の為替レートでは1,500万円ほどかかってしまいます。では、為替の米ドル円が200円までいったとするとどうでしょうか。2,000万円になるわけですが、年間に2,000万円のコストを払い続けられるでしょうか。
今の段階で(資産の)円を米ドルにしておけば、このコストは1ドル155円で確定しますので、為替レートの変動リスクが避けられます。ですから、お子様の海外留学のコストの為替変動リスクをヘッジするという意味で、米ドルを購入されている医師の先生はかなり多いと感じました。
日本ではあまりイメージできないのですが、海外の場合、為替に加え、物価が上がります。1ドル150円が300円になり、更に物価が1.5倍になったら、トータルで何倍になるのでしょうか。子供が留学する5年後や10年後に、かかるコストが今は1,500万円であったとしても、年間に3,000万円や4,000万円かかるとすると、海外留学は難しくなるかもしれません。
そのような状況にまでなるリスクは、一定程度あるわけです。それでも、お子様の教育に代えられるものではないということで、今の段階で円を米ドルにある程度換えておく方が、医師の先生に多いというのは、医師の先生ならではの理由かと思います。
理由4)米ドル債券の利回りが高くなっているから
米ドル高円安が進んでいたとしても、やはりそれに伴って、米ドル債券の利回りも高くなっています。ですから、そこはトレードオフと考えて、利回りが高くてインカムゲインをたくさん取れる今が投資のチャンスであると捉え、投資する医師の先生も多いのではないでしょうか。
仮に、今後米ドル安円高になるとしても、20年~30年の残存期間が長い米ドル債券を購入しておくことで、その間の利回りが5%の場合、20年~30年の間、運用できるわけです。ですから、中長期的に為替トータルを考慮しても、マイナスになる可能性は低いと踏んで投資する方が多いのではないかと思います。
本日は「医師がどれだけ円安でも米ドルを買う本当の理由」という内容でお届けさせていただきました。
当社ウェルス・パートナーではお医者様の資産運用の無料個別相談も承っております。ぜひお気軽にお申し込みください。
株式会社ウェルス・パートナー
代表取締役 世古口 俊介
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。
2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者1万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
メディア掲載情報:「m3.com」「ZUU online」「MONEY zine」「マネー現代」でコラムを連載中