2020
07/13
経済・マーケット

はじめに

ウォーレン・バフェットはおそらく最も成功している株式投資家です。ですから、オマハの賢人として知られている彼が、株式投資を好むことは大きな驚きではありません。

しかし、彼は株式だけで資産を構築しようとしているわけではありません。また、株式投資が、すべての人にとって最善の方法であるとは必ずしも考えていません。

バフェットは、長年にわたって株式、債券、および他のいくつかの資産への投資について述べています。

<バフェットの株式への考え方>

当然のことながら、バフェットは、株式投資が長期的に富を築くための最善の方法であると考えています。しかし、短期的な市場変動を正確に予測することは不可能であるため、投資家は短期間で収益を上げる目的で株を購入しないように警告しています。

「10年間株を保有するつもりがないのなら、10分間保有することすら考えないでください」とバフェットは言います。

バフェットの投資哲学全体を説明することは困難ですが、投資へのアプローチについて知っておくべき重要なポイントがいくつかあります。

バフェットは、長期的な視点で投資できること、長期的に優位な立場にいられることのできる企業への投資を目指しています。

バフェットはこう述べています。

「投資の鍵は、その業界が社会にどの程度影響を与えるか、またはどの程度成長するかで決めるのではなく、投資先の企業の競争上の優位性がどれだけ続くのかによって決めることです。」

そして、誰もが悲観的であるとき、バフェットはあえて多くの株式を購入しています。

バフェットはこう言います。

「他人が欲張っているときには投資を控え、他人が恐れているときにあえて行動しよう。」

最後に、自分が株式投資が下手だと自覚しているならば、これ以上資金を投入しない方が良いと言います。

「慢性的に水漏れのある船に乗っていることに気づいた場合、水漏れに対処するのではなく、船を入れ替えたほうが良い。その方がよっぽど合理的だ。」

<バフェットの債券への考え方>

バフェットは、短い期間では、債券は株式よりもリスクが低いと認識しています。したがって、より短期間の投資家(リタイアしようとしている人など)は債券に投資することがある意味賢明だという考えを持っています。

しかし、長期的な展望を持つ投資家にとって、バフェットは債券が本当に株式よりもリスクが低いのか疑問に思っています。バフェットがバークシャー・ハサウェイ(ティッカー:BRK-A、BRK-B)の株主への2018年の手紙で以下のように書いています。

「投資家の投資期間が長くなるにつれて、米国株式の分散ポートフォリオは債券よりもリスクが低くなります。その株は当時の利子率に比して割安な価格で購入されているからです。」

<バフェットの金への考え方>

バフェットは、金やその他の配当を生まない資産に投資をするのを好みません。その価格は単に、その時々の人々の需給関係で成り立っています。

バフェットはこう述べています。

「これまでに採掘された金をすべて手に入れることができたとすると、67フィートの立方体になります。その金で、米国の農地全体を購入することができます。さらに、ExxonMobilを10社購入することができ、さらに1兆ドルの小遣いが手に入ります。あなたならば、金と農地のどちらを取りますか?どちらがより多くの価値を生み出すと思いますか?」

<バフェットの現金への考え方>


バフェットは常に十分な現金を持つことを好みます。バークシャー・ハサウェイは、少なくとも200億ドルの現金を保有しています。バフェットは保有資金の全額を投資することを望みませんし、またお金を借りることも好みません。

バフェットはこう述べています。

「私たちは、投資をするために見知らぬ人からお金を借りたくありません。たとえ資金が本当に必要な時であっても、決して他人から資金を借りるということはしないでしょう。」

ですから、緊急資金を用意しておくことは賢明です。しかし、バフェットは、高利回りの普通預金口座や譲渡性預金を利用するなどして、現金を運用しています。しかし、株式は投資ですが、現金は違います。

バフェットはこう述べています。

「私があなたに一つだけ言えることは、現金を保有していることは最悪の投資です。誰もが『キャッシュ・イズ・キング』など馬鹿げたことを言っています。時間が経てば経つほど、現金の価値は減っていきます。しかし、良い企業に投資すれば、その価値はどんどん上昇します。」

<バフェットの不動産への考え方>

バフェットは、個人住宅を購入するという点でも投資としても、不動産投資のファンです。バフェットによると、30年住宅ローンは消費者にとって最も有利な金融ツールの1つです。投資としても、不動産は生産的資産であり、収益を生み出すことができると述べています。バフェットは農地に投資しており、不動産投資信託のStore Capital(ティッカー:STOR)を、バークシャー・ハサウェイのポートフォリオに組み込んでいます。

<バフェットのインデックスファンドへの考え方>

先に述べたように、バフェットは株式が大好きで、長期的な視点を持っている投資家はその資産の大部分を株式に投資すべきだと考えています。しかし、これは必ずしも皆が個別株式を選別して、自らのポートフォリオに組み込むべきだということではありません。

株式を適切に調査し評価する時間、知識、欲求を持たないほとんどの米国人にとって、インデックスファンドはおすすめできる資産です。

なぜなら、インデックスファンドは、時間が経つにつれて市場と同様のパフォーマンスを発揮することが保証されているからです。そして、インデックスファンドの費用は非常に安いのです。

バフェットはこう述べています。

「あなたが非常に低コストのインデックスファンドに投資した場合、10年後には、残りの90%の人を上回る資産を気付くことができるでしょう。」

<バフェットの暗号資産に関する考え方>

バフェットはビットコインのような暗号資産が大嫌いです。彼は、ビットコインをねずみの毒にたとえ、そして最近では「ギャンブルマシーン」と呼んでいます。さらに、バフェットは、生産的な資産ではないという意味で、需給関係だけで価格が決まってしまうということで、ビットコインを金に似たカテゴリに分類しています。

「暗号資産は悲惨な結末を迎えるだろう、とほぼ確実に言うことができます」とバフェットは2018年に述べました。しかし、バフェットは投資家に暗号資産の売りについて助言することはありませんでした。

2018年初頭、バフェットは、こう述べています。

「すべての暗号資産の5年のプットオプションを購入すれば、大儲けすることができるかもしれませんが、無価値のものを売るようなことを私はしません。」

彼は、暗号資産の価格が長期的に下がるだろうということを確信しています。しかし、時にはそれが急上昇する場合もあります。したがって、ビットコインのような金融商品は投資家が効果的にショートできる手段を備えることが必要です。そして、もし投資するならば、損失の可能性は無限であることを認識することが重要です。

まとめ

一言で言えば、バフェットはあなたが必要以上の現金を手元に持っておくことを好みません。市場の墜落やパニックなどの緊急事態に自身を保護するだけの現金を持っている限り、長期的な観点からは、株式市場に投資をすべきです。

そしてバフェットは、金やビットコインのような非生産的な資産に投資することを好みません。代わりに、バフェットは富の大部分を生産的な資産に投資することにしており、他の投資家にも同じことをするように勧めています。

バフェットは、経験の浅い投資家にとっては、インデックスファンドへの投資が適していると考えています。時間、知識、経験がない投資家であっても、株式投資がベストだと考えているのです。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者14万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
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超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

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