IPO再開で活気づく新興市場の今後はどうなる?動向について解説します!

はじめに

新型コロナウイルスの感染拡大によるマーケットの混乱で、4~6月までIPO(新規上場株式)は停止していました。しかし6月24日に再開すると、大きく上昇する銘柄が目立っています。今後のIPO市場はどうなるのか、そしてマザーズなどの新興市場にどのような影響を与えるのかについて解説します。

2カ月ぶりにIPO再開

新型コロナウイルスの感染拡大による株式市場の急落で、長期間停止していたIPO(新規上場株式)が6月24日に再開しました。上場銘柄はIT(情報技術)やEC(電子商取引)など、アフターコロナを意識したものが多くなっています。新規マネーを呼び込み、マーケットが再び活気づくことが期待されていました。約2ヶ月間の休止期間を経て、IPO市場はどう変わったのでしょうか。

新型コロナウイルスにより今春のIPOは大波乱

当初の予定では3月に36社、4月に7社が新規公開を予定していましたが、新型コロナウイルス感染拡大によるマーケットの混乱で、18社がIPOを断念。3月は24社が上場しましたが、このうち17社の初値は公開価格を下回りました。4月には「松屋アールアンドディ(7317)」の1社のみとなりました。

そして、4月6日に上場した松屋アールアンドディから、IPO再開となる6月24日の「フィーチャ(4052)」や「ロコガイド(4497)」までの中断期間は78日。過去には2011年3月の東日本大震災後の77日間、リーマンショック後の81日など、過去の大きなショック時と並ぶ長さになったのです。

6月や7月に新規上場する銘柄は、業績にそれなりの自信があり、新型コロナウイルスの影響を受けにくい企業が並びます。また、ロコガイド(4497)やGMOフィナンシャルゲート(4051)、Speee(4499)など6社は、新型コロナを理由にいったんIPOを取り下げた再承認組となりました。

IPOは好調な再スタート

3月13日に527.30ポイントまで下落していたマザーズ指数は、6月に1年半ぶりに1,000ポイント台を回復し、6月26日には1,067.29ポイントまで上昇しました。強気を取り戻した個人投資家の資金はIPO銘柄に向かい始めています。

6月24日に上場したロコガイド(4497)、フィーチャ(4052)、コパ・コーポレーション(7689)の3社の株式には取引開始直後から買い注文が殺到。ロコガイドは公開価格の2.6倍の5,310円で取引を終え、2社は値がつきませんでした。

新興市場のIPO銘柄は今後の成長性に期待した個人投資家の買いが集まりやすいという特徴があります。IPO効果により、マザーズ指数は26日にかけて高値を更新したといえるでしょう。

7月に入っても、上場間もないIPO銘柄に資金が集まっています。過去1年以内に上場した銘柄の動きを示す「QUICK IPOインデックス」は、7月8日に19万3,736となり、2000年末に算出が始まって以来の最高値となりました。

新型コロナウイルスの感染拡大で2ヶ月半中止していた新規上場が再開した6月24日以来、2週間ぶりの最高値を更新したのです。

6月24日に上場したロコガイド(4497)の初値は4,605円でしたが、7月8日に8,150円まで値上がりし、上昇率は77%に達します。7月7日にマザーズ市場に新規上場したブランディングエンジニア(7352)は、2日目の8日も買い気配のまま売買が成立しませんでした。

6月以降のIPO銘柄はコロナの影響を受けにくいIT関連が中心

新型コロナウイルスの感染拡大が続いてIPO市場が停滞していた2ヶ月半も、証券会社は先を見据えて種まきを続けていました。ECやテレワークの拡大などコロナ禍で起きた社会の変化は長期化するとみて、ITやDX(デジタルトランスフォーメーション)関連企業への営業合戦は過熱していました。

生産性の向上を狙ったIT投資が活発化する中、ITサービス関連企業の業績が好調だからです。とくに企業が本業分野でITを活用するDXの流れが、IT投資をけん引しています。今後数年以内にシステムを刷新しないと莫大な経済損失を生むという「2025年の壁」克服に向け、デジタル投資の流れはいっそう加速するとみられているからです。

コロナ禍の前から新規上場銘柄にはIT関連が多かったのですが、2020年後半はその傾向に拍車がかかると予想されています。2019年はレストランや居酒屋、不動産、スポーツジム関連など業種の幅が広かったものの、今年は5GやSaaS、DX関連など業績が比較的安定したIT関連が中心とみられているからです。

IPO市場の変化は業種の偏りだけでなく、上場スケジュールにも表れそうです。例年2月ごろに新規上場が本格化した後、7月下旬から8月にかけては夏枯れになり、いったん案件はなくなるケースがほとんどでした。機関投資家が夏休みを取るので、需要が弱くなる傾向があるからです。たとえば、2019年の7月上場は5件、8月は1件だけでした。

しかし、今年は4月から2ヶ月半IPO案件がなかったので、延期した企業が7~8月にスライド上場してくる可能性があります。ただし、ここ数年の新規上場銘柄数は年間90社前後で推移してきましたが、今年は60社程度まで減ると予想されています。

IPO再開が新興市場の鬼門になる可能性も

今後、好調なIPO銘柄に資金が集まる動きが加速すると、その他の銘柄に資金が回らない可能性もあるので注意が必要です。毎年、企業決算発表シーズンの4月から5月にかけてIPOは減り、6月に増える傾向があります。

2017年6月23日には高値1,214.41ポイントの高値をつけていたマザーズ指数ですが、IPO再開をきっかけにそれまで買われていた新興株からIPO株への乗り換えが加速。マザーズ指数は9月6日に997.56ポイントまで下落したのです。

2020年も6月26日に高値1,067.29ポイントをつけましたが、マザーズ指数は7月2日に941.85ポイントまで下落しました。

7月後半から8月にかけてもIPOは続きます。9月以降もIPO銘柄は増えるでしょう。ただし、IPO銘柄に資金が流れるとマザーズ指数は軟調になる可能性もあるので注意が必要です。

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