オリンピック後の経済はどうなる?過去の事例から学ぶ日本の今後

はじめに

2021年夏に開催予定の東京オリンピック。
その開催後の日本経済、そして海外経済の動向はどうなると予測されるのか。過去の事例から参照していきます。

2021年東京オリンピック後の日本経済はどうなる?

2021年東京オリンピック・パラリンピック開催に伴い、その後の日本経済がどうなるのか気になる方は多いのではないでしょうか。新型コロナウイルス感染症の影響で世界経済は落ち込み、景気が悪化している中で、先の経済状況について知りたいと考えるのは当然です。

ここでは、2021年東京オリンピック前後の日本経済に加えて、1964年の東京オリンピック後や2022年以降の経済状況について解説しています。

1964年東京オリンピック後は経済成長を遂げている

1964年10月に開催された東京オリンピック前後で、日本は経済成長を遂げています。特に1962年から1964年にかけての好況はオリンピック景気と呼ばれています。

帝国データバンクによると、1963年から1964年にかけて総売上高が約3.7兆円増加し、成長率は114.5%、約10.4万人の新規雇用が生まれ、1964年から1965年で総売上高が約3.3兆円、成長率111.2%で約14.6万人の新規雇用が生まれました。当時の実質GDP増加率は1963年が8.8%、1964年が11.2%です。

ただし、その後は昭和40年不況を迎えたこともあり、景気後退に直面します。実際、1965年の実質GDP増加率は5.7%と前年までの成長率と比べて鈍化しています。

2021年東京オリンピック前の日本経済は

2020年までの日本経済は、毎年2,000〜3,000万人以上の外国人観光客が訪れ、GDPはプラス成長で推移しています。外国人観光客の旅行消費額は年5兆円近くあり、生活波及効果は約7兆8,000億円ありました。世界的に見ると経済成長率は高いわけではありませんが、確実にプラス成長をしています。

しかし、2019年以降はコロナ渦の影響で経済が落ち込み、景気は悪化しています。

コロナ禍の影響は日本経済に対してどの程度か

日本の実質GDPは、コロナ渦前まではプラス成長で推移していましたが、コロナ渦以降マイナス成長となっています。以下は、近年の実質GDPの推移です。

・2015年:1.7%
・2016年:0.8%
・2017年:1.8%
・2018年:0.2%
・2019年:-0.5%
・2020年:-4.6%
※内閣府より

上記のとおり、2019年からマイナス成長に落ち込み、2020年はさらに下落幅が大きくなっています。2021年1〜3月期のGDPについても-1.0%です。

日本国内に限ったことではありませんが、コロナ渦となり日本経済は大きく落ち込み景気が悪化しています。

オリンピックが2021年の日本経済に与えている影響

2021年東京オリンピックは日本経済に影響を与えています。たとえば、無観客で大会を開催した場合の経済損失は約1,468億円と試算されています。チケット収入や観客による飲食や宿泊などの消費がなくなるためです。

ただし、日本のGDPと比べると決して大きなダメージではなく、仮に大会を中止していたとしたら経済損失は約1兆8,108億円といわれますが、GDP比では0.3%程度の規模です。

無観客開催の場合の経済損失は

野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミスト木内氏によると、東京オリンピックを無観客で開催した場合の経済効果は約1兆6,640億円で、国内観客数を100%入れるのに比べて無観客にした場合の経済損失は約1,468億円となります。チケット収入約900億円、観客の飲食や宿泊などの消費支出がなくなるためです。

また、海外観客受け入れを中止したことで既に1,500億円の経済損失があるとしています。そのため、海外観客と国内観客どちらも無観客となると約3,000億円の経済損失です。

国内観客を完全に受け入れた場合のオリンピック開催の経済効果が約1兆8,108億円と試算されており、無観客になることで減少する経済効果は約8.1%(1,468億円)〜約16.5%(3,000億円)です。無観客によって経済損失は発生しますが、オリンピック開催の経済効果から考えると、とても大きな割合というわけではありません。ただし、他の試算を見ると無観客による経済損失が3,000億円を超えるものもありますので、実際にはもっと多くの経済損失を被る可能性もあります。

オリンピックに対する税金からの補填はあるのか

2020年12月22日に発表された東京オリンピックの組織委員会予算V5によると、大会の予算は1兆6,440億円が計上されています。これは、仮設やエネルギーインフラ、輸送、セキュリティ、テクノロジーなどさまざまな費用が計上されていますが、あくまでも直接費用のみです。間接費用については正確な試算が難しいとされています。

1兆6,440億円の支出に対する経済的負担は、国が約2,210億円、東京都7,020億円、組織委員会約7,210億円です。国と東京都の予算は公費で組まれており、税金で賄われています。

無観客によりチケット売上などの費用が消滅する予想です。収入減となり組織委員会が赤字になった場合は、東京都が補填する契約となっています。そのため、無観客で収入減となった場合に組織委員会が赤字になれば、その赤字分は国や東京都によって補填される可能性が高いです。国や東京都はオリンピックの予算を公費で組んでいるため、赤字補填が税金によって行われることも考えられます。

2022年以降の日本経済は

2022年以降の日本経済は、世界的な新型コロナウイルスの感染状況がポイントになります。オリンピック開催にあたり宿泊施設が増加しており、これまで以上に外国人観光客を受け入れるキャパシティは整っています。訪日外国人による消費額は4兆円〜5兆円といわれており、訪日外国人数が従来の水準に戻らないと経済の回復・成長は難しいものがあります。

ここでは、2022年以降の日本経済について見ていきましょう。

宿泊施設が増加し、海外観光客のキャパが増えている

2022年以降はこれまで以上に訪日外国人が増えるとの声もあります。東京オリンピック開催で日本の魅力が広がるとみられるためです。また、宿泊施設が増加し、キャパシティが増えたことも理由のひとつです。

コロナ渦前までは、毎年2,000万人〜3,000万人の海外観光客が訪れていました。

・2016年:24,039,700人
・2017年:28,691,073人
・2018年:31,191,856人
・2019年:31,882,049人
・2020年:4,115,828人
※JTB総合研究所「インバウンド訪日外国人動向」より

新型コロナウイルスの感染状況やワクチン接種状況にもよりますが、世界的に感染者数が落ち着けば、これまでの旅行自粛の反動もあって、今まで以上に外国人観光客が増えるとみられています。

東京の地価は海外首都と比べて安いと見られている

東京の不動産市場はニューヨークやロンドン、香港などの海外首都と比べて安いと見られています。そのため、多くの海外投資家が日本の不動産に投資をしています。

不動産サービス大手のジョーンズラングラサールによると、2020年1月〜9月期で東京の商業用不動産投資額は193億ドル(約2兆円)で、世界首位でした。前年同期は4位(1位はニューヨーク)だったのが1年で首位になっています。日本の不動産市場は価格が安く利回りが高いため、海外から見ても魅力的なようです。

2022年以降も安定した東京圏の不動産に投資が集まるといわれています。

国内成長とともに海外からの需要が日本の将来を占い

日本は輸出や訪日外国人の国内消費が経済に大きな影響を与えます。たとえば、経済産業省によると2019年の訪日外国人数は約3,188万人で旅行消費額は4兆8,000億円です。新型コロナウイルス感染症の影響で訪日外国人数が年9割減少すれば、GDPが0.8%押し下げ効果があるとしています。

2022年以降、日本経済がコロナ渦前の水準に戻りさらに成長していくには、海外からの需要がどのくらい回復するかが重要なポイントです。

まとめ

本文 218 “2021年の東京オリンピック・パラリンピック後の日本経済は、コロナ渦前の水準までの回復・成長が期待されています。コロナ渦前までは年間3,000万人以上の外国人観光客が訪れ、GDPはプラス成長でした。東京の不動産は利回りの手厚さから海外投資家に人気です。

今後の経済状況は、世界的な新型コロナウイルスの感染状況次第ではありますが、外国人観光客の受け入れキャパシティが増えていることもあり、2022年以降は大幅な経済成長も期待できます。

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