目次
はじめに
資産運用において株式と並列されて語られることの多い債券投資ですが、その性質や投資家が押さえるべきポイントは株式とはまるで異なります。一部では「債券投資は一度投資し始めたらほったらかしでOK」との意見もありますが、実際には債券価格が日々変動するため、注意が必要です。
本記事では、債券投資家の皆様にとって重要なポイントや、安心して投資を行うための指針を解説していきます。債券投資における正しい知識と理解を深め、今後の資産形成に役立ててください。
債券投資の基本知識
債券は、国や企業などが資金調達のために投資家から資金を借りる有価証券です。一定期間ごとに利息を支払う固定金利証券で、満期に元本が返済されるので、比較的安定的に運用できるのが特徴です。
また、途中で売却して差益を得ることもできます。
主な債券の種類は以下の通りです。
債券価格の変動とその影響
安定的な運用ができると言われる債券ですが、その価額は常に変動しています。債券価格は金利動向や発行体の信用力などによって影響を受けるからです。金利が上昇すれば債券価格は下がり、逆に金利が下がれば価格は上昇します。
発行体の信用力が下がれば、債券価格、つまりその債券の価値は下がり、リスクが上昇する分金利は上昇します。
債券投資のメリット・デメリット
どのような資産を保有するときも、その資産に投資するメリット・デメリットを把握しておく必要があります。事前にリスクヘッジをしたり、そもそもその資産が自分の運用方針に沿ったものなのかが確認できるからです。
ここでは、債券投資のメリット・デメリットを確認していきます。
債券投資のメリット
債券投資の主なメリットは、安定した収益を得られる点です。満期を迎えた先に元本もしくはあらかじめ約束された金額が返還されることに加え、保有期間中は利息から収入を得ることができます。
債券投資のデメリット
比較的安定して運用できる一方、利回りが低い場合は投資効果が限られてしまいます。また、満期を待たずに途中換金した場合は元本割れの可能性があるので注意してください。
適切な銘柄選びのポイント
ここでは実際に債券投資を始めるにあたって知っておきたい、債券の銘柄選びのポイントについてお伝えしていきます。
そのポイントは以下の通りです。
〈債券投資の銘柄選びのポイント〉
・発行体の信用力
・運用期間
・為替リスク
発行体の信用力
債券を選定する際には、BBB(トリプルB)以上の格付けの銘柄を選びましょう。格付けとは、格付け会社が格付される側から提出されたデータをもとに、その企業の経営の安全性などを評価したものです。
画像引用先 : https://info.monex.co.jp/help/bond/terminology03.html
債券を購入することは債券の発行体にお金を貸すことと同義なので、その選定は資産形成の成否の鍵を握っているといっても過言ではありません。
比較的安定して運用できる債券はつい利回りが高いものを選びたくなりますが、前述のように、利回りが高い債券ほど発行体の信用力は低くなります。
運用期間
運用期間も、債券の銘柄選定において重要なポイントです。債券は満期まで保有すれば元本もしくはあらかじめ約束された金額が戻ってくる性質上、満期までの期間が短ければ価格の変動が小さくなり、反対に満期までの期間が長ければ長いほど、価格の変動は大きくなります。
債券は満期まで保有すれば元本もしくは約束された金額が戻るため問題はないのですが、中途換金をした場合はその限りではありません。購入前にある程度の運用期間を定めておくのが理想でしょう。
為替リスク
為替リスクが取れるかどうかでも、投資する債券の選択肢の幅が変わってきます。為替の変動によって円換算の価値が変動し、一時的に資産が目減りしてしまう可能性があるからです。
ただし、外国債券は日本の債券と比較して金利が高いため、長期的な視点で見ればメリットが大きいのも事実です。
〈各国債券の金利の違い〉
日本国債10年:年率0.734%
アメリカ国債10年:年率4.292%
オーストラリア国債10年:年率4.070%
(2024年3月20日現在)
安心して債券投資を行うためのポイント
安心して債券投資を継続していくためには、以下のポイントを意識すると良いでしょう。
〈安心して債券投資を行うためのポイント〉
・ポートフォリオ作成によるリスク管理
・投資目標や目的の明確化
株式や不動産の投資についても言えることですが、債券投資を行う際にもポートフォリオを作成しましょう。地域や通貨を分散することで、効果的なリスクヘッジになります。
また、投資を始める際には「資産をどれくらい増やしたいのか」「何のために投資をするのか」を明確にしておくと良いでしょう。それぞれの目標や目的によって、期待リターンや許容できるリスクの度合いが異なるからです。
まとめ
債券投資は安定した資産形成の手段として有効ですが、十分な情報収集と慎重な選定が必要です。正しい知識と情報を元に、リスクを抑えながら着実な収益を積み上げてください。本記事を参考に、債券投資による資産形成に成功させましょう。
株式会社ウェルス・パートナー
ポートフォリオマネージャー
早稲田大学商学部卒業後、SMBC日興証券株式会社へ入社。富裕層、会社経営者向け資産運用コンサルティング業務に従事。証券会社では顧客に寄り添った提案ができないと思っていたときに代表の世古口と出会いウェルスパートナーの創業に参画。資産1億円以上の富裕層向けに資産保全・管理、相続・事業承継対策等のアドバイスを行っている。富裕層や資産形成層向けのセミナー講師としても活動中。