目次
はじめに
富裕層はなぜ不動産投資を選ぶのでしょうか。不動産投資は、富裕層がさらに資産を増やすための効果的な資産運用の手段となっています。この記事では、不動産投資の魅力に焦点を当てるとともに、富裕層に選ばれる理由について解説していきます。富裕層の視点に立って、不動産投資の有効性を分析してみましょう。
富裕層が注目する不動産投資の魅力
富裕層が不動産投資を選ぶ理由には、以下の点があります。
インフレ対策になる
不動産投資は、物理的な建物や土地という実物資産に投資します。そのため、インフレに強いという特長があります。
現在、世界的にインフレが進行しており、長らくデフレが続いていた日本でも40年以上ぶりの物価高を記録しています。2023年度の消費者物価指数は、前年比3.1%の上昇となり、第2次オイルショックの影響があった1982年以来41年ぶりの水準となりました。
インフレが起こると、現金や預貯金は急激に価値が目減りしてしまいます。
それに対し不動産は、インフレ局面では物価と連動して物件価格が上昇する傾向にあります。物件の個別性もありますが、資産価値が守られインフレ対策傾向にある傾向にあるのです。
長期・安定的な収益が期待できる
不動産投資は、物件を賃貸して家賃というインカムゲインを得る仕組みですが、家賃は人々の生活に根ざしているので、安定したキャッシュフローを期待することができます。居住用不動産の家賃は、経済動向や景気動向にあまり左右されないという特徴があります。
物件選びを間違えなければ、長期にわたって安定的な収益を期待できます。この安定性に着目して、富裕層は不動産投資を行っているのです。
融資を活用してレバレッジをかけられる
不動産投資は、金融機関各社が提供している不動産投資ローンを活用することが一般的です。そもそも富裕層は現金を多く保有していますが、手持ちの資金をあまり動かすことなく、融資を活用してレバレッジをかけた不動産投資が可能です。
融資の活用をレバレッジと呼びますが、これが「てこの原理」のことで、小さな資金で大きな投資効果を得ることを指します。レバレッジをかけることで、資産拡大をスピードアップさせる効果があります。
また、手元に資金を置いておくことができるので、投資機会の損失を防ぐこともできます。
また、富裕層は属性が高く金融機関の評価も高いので、融資が通りやすいという優位性があります。不動産投資の場面では、富裕層にますます資金が集まり、有効な運用が行われ資産形成が進展していくのです。
キャピタルゲインのメリット
不動産投資には、物件の価値の上昇によるキャピタルゲインのメリットがあります。キャピタルゲインとは、物件の売却時に取得価格よりも高い価格で売却することによって得られる利益のことです。
国土交通省が調べる不動産価格指数によれば、消費者物価に先行する形で不動産価格は2010年頃から一貫して上昇していたことがわかります。2010年を「100」とすると、2023年第3四半期は「136.4」となり、マンション(区分所有)に限定すると「193.9」とほぼ倍増となっています。
物件には個別性があり、すべてが価格上昇となるわけではありませんが、好立地の物件はさらなる上昇となることもあります。そうなれば、大きなキャピタルゲインを得ることも可能です。
富裕層が注目する不動産投資の税制上のメリット
不動産投資には、税制上のメリットもあります。日本は累進課税制度を採用しているので、高所得者や資産家ほどこの節税方法のインパクトは大きくなります。所得税・住民税の節税と相続税の節税の2つの側面から見てみます。
所得税・住民税の節税になる
不動産投資によって得た所得は不動産所得となり、給与所得・事業所得など本業の所得と損益通算することができます。賃貸不動産(建物部分)は会計上減価償却資産となりますが、数年間減価償却という会計処理をすることで、実際にはお金が出ていかないのに帳簿上は不動産所得が赤字となるのです。
このことによって、本業の黒字部分との損益通算が行われ、課税所得が圧縮することになります。結果として、所得税・住民税の節税が可能となります。
相続税の節税になる
富裕層にもなると、相続が発生した際の相続税納税が大きな負担となります。
現金や金融資産ですとその金額の100%が相続税評価額となりますが、不動産はその評価額を下げることができます。土地部分は相続税路線価、建物部分は固定資産税評価額で評価されますので、時価の60~70%程度の評価となり、その分相続税の節税になります。
また、賃貸不動産は他者に賃貸しているので、借地権割合・借家権割合によってさらに相続税評価額を下げることができます。借り入れによって不動産投資をしていた場合は、借入金が債務控除となりますので、その点でも有利です。
富裕層が注意する不動産投資のリスク
不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」の資産運用といわれるとおり、特有のリスクも存在します。ただ、不動産投資のリスクは大部分が事前に予測することができ、コントロールすることも可能です。
空室リスクとその対策
空室リスクとは、物件が空室になり家賃収入を得られなくなってしまうリスクのことを指します。空室が続くとキャッシュフローが悪化し、資金繰りも苦しくなって賃貸経営が傾いていくことが予想されます。
空室リスクへの対策としては、利便性が良く、賃貸需要がある立地の物件を選ぶこと、時代の流れや入居者ニーズに添った間取り・設備を用意すること、入居者の顧客満足度を高める管理を行うこと、などがあります。
家賃滞納リスクとその対策
家賃滞納リスクとは、家賃を滞納する入居者が出てしまうリスクのこと。家賃滞納者が出てしまうと、これを解決するために多くの人的・金銭的コストが発生します。
家賃滞納リスクの対策としては、入居者審査をしっかりと行い、家賃保証会社への加入を義務付けることがあります。一般論として、家賃設定が低い物件は家賃滞納が発生する確率が上がる傾向にあるので、物件のグレードを上げ家賃設定を高めに設定することで入居者の属性を上げていくことができます。
修繕リスクとその対策
修繕リスクとは、建物の修繕費用や設備交換費用などが発生するリスクです。物件は経年劣化により必ず修繕が必要になります。また、物件の価値向上のためのリフォーム/リノベーションも求められますが、その費用も準備しなくてはいけません。
日常的な建物管理を適正に行うとともに、綿密な修繕計画を立て、資金計画に組み込んでおく必要があります。
不動産投資は富裕層にとって最適な資産運用方法
富裕層は、資産を増やすために有効な手段をつねに求めています。不動産投資には空室リスク・家賃滞納リスク・修繕リスクなど特有のリスクがあることも事実ですが、そうしたリスクは事前に予測することができ、オーナーの経営手腕によってリスク・マネジメントは十分可能です。
富裕層にとって魅力的な資産運用手段となります。
資産運用は元手の大きさがものをいう世界です。富裕層はその利点を活かし、元本を大きく成長させることができます。属性の高さから融資も活用することで、レバレッジをかけた運用も可能なのが不動産投資です。不動産投資は、富裕層にとって有効な資産運用手段であるため、積極的な検討をおすすめします。
株式会社ウェルス・パートナー
リアルアセットマネージャー
早稲田大学商学部卒業後、大和ハウス工業株式会社へ入社。富裕層・地主に賃貸住宅での土地活用ソリューション提案に従事。東急リバブル株式会社にて投資用不動産の売買仲介を経験後、株式会社ウェルスパートナーに入社。マネー現代などで記事の執筆も行う。