目次
はじめに
投資における重要な要素の一つに、債券ポートフォリオ戦略があります。安定的な収益を追求するために、多くの投資家が検討している投資戦略です。
この記事では、「1億円の債券ポートフォリオ」の作成に焦点を当て、リスク分散の鍵となる要素について解説していきます。リスク管理の重要性や1億円の債券モデルポートフォリオについても紹介しているので、効果的なポートフォリオ構築に役立ててください。
重要性が高まる債券ポートフォリオ戦略
債券ポートフォリオ戦略は、リスク分散を望む近年の投資家の意向から特に重要性が高まっています。株式も組み込まれたポートフォリオに加えることで資産の分散になることはもちろん、債券だけで構成されるポートフォリオでも、異なる種類の債券を組み込んでリスク分散に努めましょう。
債券ポートフォリオ構築の際に注目したいポイント
リスクを分散しつつ収益性も求める債券ポートフォリオを作成するには、さまざまな観点から各資産を精査する必要があります。
ここでは、ポートフォリオに組み込む債券を選定する際、注目したいポイントについて解説します。
〈債券ポートフォリオ構築の際に注目したいポイント〉
・業種
・債券種類
・残存期間
・格付け
業界・業種
リスク分散を大きな目的の1つにするポートフォリオ構築では、債券を発行する企業などの業界や業種を分散することも大切です。債券の発行体には金融機関が多いため、意識していなければ偏りが生じてしまうからです。
どうしても金融の比率が大きくなってしまう場合でも、銀行と保険会社を併せ持つなど、業種を分散する意識が必要です。
債券の種類
一口に債券といっても、以下のようにさまざまな種類があります。
これらを1つの種類に限らず、複数併せ持つことも債券ポートフォリオ構築のポイントです。
残存期間
残存期間とは、その債券が満期を迎えて償還されるまでの期間を指します。一般に残存期間が長ければ長いほど債券価格の変動幅が大きくなるので、長いもの・短いものをバランスよく持つなど、残存期間も考慮した銘柄選定が欠かせません。
格付け
格付けとは、格付け機関が公表している、債券の発行体の信用力を表したものです。一般に、以下のように段階がわかれています。
引用:日本証券業協会「投資の時間|債券の「格付け」について教えてください」
投資適格の基準とされるBBB−以上の債券を中心に、各自の期待リターンやリスク許容度に応じて選定してください。
1億円の債券モデルポートフォリオ
前項ではポートフォリオ構築のポイントをお伝えしましたが、もっと具体的なポートフォリオの事例が知りたい方も多いでしょう。ここでは、運用資産1億円と想定した、モデルポートフォリオをご紹介します。
(※米国10年国債利回りが約3.9%、ドル円が約141円の想定)
引用:藤村大星(富裕層向けIFA)「1億円で債券ポートフォリオ組んでみた!」
このポートフォリオは、1億円を10先、つまり1,000万円ずつに分散し、リスクとリターンのバランスを考慮したものに仕上がっています。
このポートフォリオのポイントは以下の通りです。
〈1億円モデルポートフォリオ構築のポイント〉
・銀行・保険・資源・ITと業種が分散されている
・高金利のアメリカ中心
・リスクの高い仕組債券などには手を出さず、普通社債と劣後債に投資
・現状の高金利の恩恵を享受するため平均残存期間は14.4年と長め
現状高金利の恩恵が享受できるアメリカの債券を中心に長期で投資をしつつ、業種や債券種類の選定でリスク度合いを調整しています。
平均利率は5.3%、平均利回りは4.7%と、バランスを重視しつつも米国10年国債利回りの3.9%を超える想定です。
定期的な見直しによるリスク管理
ポートフォリオ戦略ではポートフォリオの構築ばかりに意識が向きがちですが、運用開始後のリスク管理も大切な要素の1つです。
ポートフォリオの見直しは、一般に以下の2つの方法によって行われます。
〈ポートフォリオを見直す2つの方法〉
・リバランス
・リアロケーション
リバランス
リバランスとは、資産の配分や比率を運用開始当初のものに戻すことです。債券をはじめとする金融資産は日々価格が変動するため、時間が経つと当初の配分が大きく変化してしまう可能性があります。
配分が崩れると期待したリターンが得られなかったり、リスクが上がったりと、当初想定していなかった結果になりかねません。年に1回などタイミングを決め、資産の売却と購入で配分を調整してください。
リアロケーション
リアロケーションとは、当初決めた資産の配分や比率そのものを見直す作業です。運用開始当初に納得できるポートフォリオを構築しても、市場の変化や自身の生活の変化で、期待リターンやリスク許容度が変わることもあります。
結婚や子どもの誕生、退職など、ライフステージが変化するタイミングで一度見直すのがおすすめです。
まとめ
債券ポートフォリオ戦略は、リスク分散を図り、安定的な資産運用を目指す上で欠かせない戦略です。収益性だけでなく、リスク分散とリスク管理も考慮した、長く運用できるポートフォリオの構築を心がけましょう。
今回ご紹介したモデルポートフォリオも参考にしながら、自分に合った配分を模索してみてください。
ウェルスパートナーでは、債券ポートフォリオ構築のサポートも承っております。無料相談も可能なので、ぜひ一度お問い合わせください。
株式会社ウェルス・パートナー
代表取締役 世古口 俊介
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。
2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者1万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
メディア掲載情報:「m3.com」「ZUU online」「MONEY zine」「マネー現代」でコラムを連載中