日本と海外のプライベートバンクどちらで資産運用を任せた方が良いのか?

はじめに

プライベートバンクの利用を検討している方々にとって、日本と海外のプライベートバンクどちらに運用を任せた方が良いのか気になるところではないでしょうか。

そこで、この記事では、日本と海外のプライベートバンクの特徴やサービス内容、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

プライベートバンクとは?

プライベートバンクとは、一定の資産を持つ富裕層の方々を対象とした金融機関です。「バンク」という名称ですが、一般の銀行とは異なり、富裕層の方々に資産運用や資産管理などのサービスを提供する金融機関です。

日本国内のプライベートバンクの特徴

日本国内のプライベートバンクは、高額な資産を持つ富裕層に向けて特別なサービスを展開しています。おもな内容は、資産状況に応じた運用アドバイスであり、顧客一人ひとりのニーズや目標に合わせて最適な運用戦略を提案します。例えば、ポートフォリオ設計、資産の保全、税務アドバイスなどさまざまなサービスが受けられます。

国内のおもなプライベートバンクとしては、三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行、野村證券、SMBC日興證券、メガバンクそれぞれのプライベートバンク部門が挙げられます。

国内プライベートバンクの特徴は、日本の税制や法律に精通しており、国内富裕層のニーズに合ったサービスを提供できる点にあります。

国内富裕層のニーズは資産運用ばかりではありません。もっとも大きなニーズと言って過言ではないのが相続税対策や資産承継対策です。国内プライベートバンクは、これらの対策において海外プライベートバンクでは提供できないサービスを展開しています。

また、国内のプライベートバンクはPB部門からの撤退リスクが低い点も特徴です。これまで海外プライベートバンクは日本国内への参入と撤退を繰り返してきました。

長期的な目線で資産を任せられるという点は、国内プライベートバンクを利用する大きなメリットといえるでしょう。

国内プライベートバンクと海外のプライベートバンクの違い

国内プライベートバンクと海外のプライベートバンクのおもな違いは次の通りです。

最低預入金額の違い

国内プライベートバンクと海外のプライベートバンクでまず異なるのは、口座を維持するための最低預入金額です。

最低預入金額は明確に公表されていないものの、国内プライベートバンクは数千万円〜1億円程度、海外のプライベートバンクは日本円で1.5億円〜3億円といわれています。

また、海外のプライベートバンクは経営維持コストの高騰などによって、最低預入金額が上がる傾向にあり、日本の富裕層の方々にとってやや利用しづらくなっているのも事実です。

長所の違い

国内プライベートバンクと海外のプライベートバンクでは、それぞれの長所も異なります。

海外のプライベートバンクは、投資対象が豊富という点で国内プライベートバンクと異なります。国内プライベートバンクは、日本の金融庁の下で営業活動を行ってますが、海外の場合は制約はないので、特別なファンドを組成できるなど、投資対象が豊富です。

国内プライベートバンクは、国内の税制や法律に精通していることから、税務や法務など、富裕層の方々に資産運用を含めた幅広いサービスを提供できる点がメリットです。
なお、預かり資産を担保に資金調達できる有価証券担保ローンについて、以前は海外プライベートバンクの特長とされてきました。

しかし、昨今では証券担保ローン借入金利の上昇と外国債券の利回り低下によって、海外プライベートバンクの魅力が薄れています。

この点については後ほど詳しく解説します。

日本国内の主なプライベートバンク紹介

ここまで解説してきたとおり、国内プライベートバンクは日本の富裕層の方々が利用するうえでさまざまなメリットがあります。
ここでは、日本のおもなプライベートバンクについて紹介します。

三菱UFJ信託銀行

三菱UFJ信託銀行は、ウェルスマネジメントとして信託機能を活用したプライベートバンク業務を展開しています。
三菱UFJ信託銀行が提供するプライベートバンキングサービスは、顧客一人ひとりのニーズに合わせた金融サービスを提供する点が特徴です。資産運用、不動産投資、相続対策など、幅広いサービスを展開しており、特に資産形成と保全に関するアドバイスやコンサルティングに定評があります。専任のアドバイザーが付き、長期的な観点から資産運用戦略を策定してくれるため、安心して利用できる点が多くの顧客に支持されています。

三菱UFJ信託銀行は、大手金融グループである三菱UFJフィナンシャル・グループに属していることから、経営基盤が非常に安定している点も大きな特徴です。また、信頼性の象徴である金融部門の各種ランキングや顧客満足度調査においても上位にランクインしており、多くの高資産層からの信頼を得ています。

みずほ信託銀行

みずほ信託銀行は日本国内で信託業務を中心に展開する大手金融機関です。みずほ信託銀行が提供するプライベートバンキングサービスは、資産運用だけでなく幅広い信託業務を提供することが特徴です。これにより、個別の資産運用ニーズだけでなく、資産管理や資産承継に関するあらゆるニーズに対応できる点が特徴です。

みずほ信託銀行のプライベートバンキングの特徴として、信頼性と安全性も大きなポイントに挙げられます。また、プライベートデータ信託やネット完結型の相続代行など、新しい信託業務を活用できる点も強みです。

このように、みずほ信託銀行は日本国内で信頼性と実績を兼ね備えたプライベートバンキングサービスを提供しており、顧客のさまざまなニーズに応えることができるという点で評価されています。

野村證券プライベートバンキング

野村證券のプライベートバンキングサービスは、富裕層向けに特化された様々な投資商品とサービスを提供することで知られています。顧客一人一人のニーズに合わせたポートフォリオ設計や、資産運用のアドバイスを通じて、長期的な資産形成をサポートします。特に、信託や不動産投資、株式投資を含む多様な資産クラスに対応しており、専門的な知識を持つアドバイザーが個別のアドバイスを行います。

また、野村證券のプライベートバンキングは、国内株式の証券担保ローンにも定評があります。

野村證券のプライベートバンキングを利用するメリットとしては、各分野の専門家による高度な資産運用のアドバイスが挙げられます。加えて野村信託銀行を通じて信託業務に対応できる点もメリットです。

このように、野村證券のプライベートバンキングは富裕層にとって魅力的な選択肢となり得ます。高度な専門性と国内プライベートバンクらしい細やかなサービスは、資産の成長と保全において大きな役割を果たすでしょう。

プライベートバンクの選び方

プライベートバンクの選び方には、さまざまな要素が関わってきます。
中でも昨今、注目を浴びているのが先ほど紹介した「証券担保ローン借入金利の上昇と外国債券の利回り低下」です。
ここでは、この問題について詳しく解説します。

プライベートバンク選びのポイントと注意点

これまで、海外のプライベートバンクを選ぶ理由として挙げられてきたのが証券担保ローンの活用です。

証券担保ローンとは、金融機関に預けている有価証券を担保にしてお金を借りる機能です。富裕層の方々の多くは、借り入れた資金を再投資し、投資効率を高めるために証券担保ローンを活用しています。

そこで昨今問題となっているのが、「証券担保ローン借入金利の上昇と外国債券の利回り低下」です。

国内では日銀が金利を引き上げたことに伴い、外国債券担保ローンの借入金利が上昇しています(①)。

一方、外国債券として人気の高いアメリカ国債をはじめとした米国債券の利回りは低下しており、2025年にかけて低下を続ける見込みとなっています(②)。

これまでは、例えば外国債券の利回りが4%、外国債券担保ローンの借入金利が1%だった場合、3%の利ざやを得られていました。

一方、外国債券の利回りが3%、外国債券担保ローンの借入金利が2%と金利差が縮小した場合は、1%しか利ざやを得られません。
つまり、「証券担保ローン借入金利の上昇と外国債券の利回り低下」によって、海外プライベートバンクを選ぶメリットが少なくなっているということです。

※「証券担保ローン借入金利の上昇と外国債券の利回り低下」については次の動画で詳しく解説しています。併せてご覧下さい。

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0:22 はじめに
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4:45 ROE利回り試算(変数:借入金利・債券利回り)
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▼プロフィール
世古口俊介(せこぐちしゅんすけ)
株式会社ウェルス・パートナー代表取締役

2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱東京UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレー証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベート・バンキング本部の立ち上げに参画し同社の成長に貢献、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。
資産数億円以上の富裕層を対象に資産運用コンサルティングを行う。株式や債券、不動産などすべての資産クラスを扱い資産全体を最適化。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者1.4万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」を通して日本の富裕層に資産運用の情報を発信。

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また、プライベートバンクを選ぶ際には、ブランド価値やステータスではなく、資産運用の本質に目を向けることも大切です。

以前は、海外プライベートバンクを利用することがステータスと捉えられることもありましたが、本来であれば利便性や提案内容、フォロー体制など、プライベートバンクの本質を考えるべきでしょう。

なお、私たちウェルス・パートナーで資産運用を行っているお客様の中には、プライベートバンクでも資産運用をしている方が多くいらっしゃいます。

しかし、プライベートバンクと比べて「これが足りない」という不満をいただいたことは一度もありません。

「資産運用を任せたい」「信頼できるアドバイザーを探している」」という方は、ぜひ私たちウェルス・パートナーへご相談ください。

ウェルス・パートナーでは、実績豊富なIFAが無料で資産運用のアドバイスを承っております。

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