目次
はじめに
控除にはいろいろな制度があります。
よく耳にする「ふるさと納税」や「寄付金控除」「医療費控除」なども控除に含まれる制度です。
控除は賢く使うことで税金負担を軽減できますから、課税額が大きくなりがちな富裕層ほどおさえておきたい制度でもあります。
控除の中に「雑損控除」という制度があります。
雑損控除はマイナーで、あまり使われることがないと言われる制度です。
雑損控除は犯罪被害や災害被害のときに税金負担を軽減できる制度になります。
日本は近年、自然災害が相次いでいます。雑損控除を知っておいて損はありません。
富裕層が知っておきたい控除「雑損控除」について解説します。
雑損控除とは?
雑損控除とは「財産が自然災害や犯罪被害により損害を受けたときに控除を受けられる制度」です。
財産に犯罪や自然災害で被害が出てしまうと、その年の税金の負担が辛くなるのではないでしょうか。
犯罪や自然災害により財産にマイナスが出ているからです。
このようなときに「マイナスが出たから」「予想外のマイナスにより税金の負担が苦しいだろうから」という理由で税金負担を軽減してもらえる制度が雑損控除です。
雑損控除は節税方法として取り上げられることもありますが、犯罪被害や災害による損害があることが控除を使う前提になります。
節税方法というより、マイナスを理由に負担を緩和できる制度だと言えるでしょう。
雑損控除の利用条件
雑損控除を利用するためには3つの条件を満たす必要があります。
・雑損控除を利用できるケースに当てはまっている
・雑損控除の対象になる財産である
・確定申告をする
条件①雑損控除を利用できる犯罪被害・災害での損害である
すべての犯罪被害、災害での損害が雑損控除の対象になるわけではありません。
雑損控除の対象になる犯罪・災害の損害でなければいけないのです。
雑損控除の対象になるのは次のようなケースです。
・自然現象による災害や異変(風水害や地震、落雷や雪害など)
・生物による災害や異変(害虫による被害など)
・人為的な災害や異常事態(火災や爆発など)
・犯罪(盗難、横領)
利用できるケースの中でも犯罪被害はある程度限られていることが分かります。
たとえば、富裕層が盗難にあった場合は雑損控除の対象になりますが、詐欺被害にあった場合は雑損控除の対象外です。
条件②雑損控除の対象になる財産である
雑損控除は財産に損害を受けただけでなく、対象財産であることが必要になります。
雑損控除の対象になる財産が損害を受けてはじめて雑損控除の利用が可能です。
雑損控除の利用対象になる財産は次の通りになります。
・納税者または家族の財産である
・家族は「納税者と生計を一にする配偶者またはその他の親族」で「その年の総所得金額等が48万円以下」である
・棚卸資産、事業用固定資産等、生活に通常必要でない資産に該当しない
条件③雑損控除を使うためには確定申告が必要である
雑損控除を使うためには確定申告が必要になります。
損害についてのやむを得ない支出の領収書などを提出することも必要です。
雑損控除の控除内容
雑損控除で控除されるのは次の金額です。
・(損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10%
・(災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円
引用 : https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1110.htm
雑損控除を使うときは損害や損害に対する保険金などを上記の計算式に当てはめて計算し、より高い金額が多かった方を用います。
まとめ
雑損控除は医療費控除やふるさと納税などと比較すると、あまり使われることのないマイナーな控除だといわれています。
雑損控除は損害が発生していることが前提なので、あまり使われる機会がないのかもしれません。
日本には台風などの被害が相次いでおり、現在は特に損害を受けていなくても、今後何らかの財産的な被害を受けないとは限りません。
損害を受けたときに税金の負担をおさえるための方法として、雑損控除を頭の片隅に置いておくといいでしょう。