目次
はじめに
債券投資は、安定した資産運用方法として多くの投資家に支持されています。しかし、米国債と社債のどちらを選ぶべきか悩む方も多いでしょう。特に、米国債の安全性を重視するか、社債の利回りの高さを取るか悩む方が多いようです。そこで、この記事では、米国債と社債の特徴やそれぞれのリスクとメリットを詳しく解説し、投資目的に応じた選択基準について解説します。この記事を読むことで、自分にとって最適な債券投資の方法を見つけ、効果的に資産運用を進められるようになるでしょう。
米国債とは?その特徴と魅力
米国債とは、アメリカ合衆国政府が発行する債券であり、その信用度と安全性の高さから多くの投資家に人気があります。ここでは、米国債の特徴と魅力について解説します。
米国債とは何か?
米国債とは財政資金の不足を補うため、米国財務省が発行する国債です。
国債は、資金調達のために発行される債券の一つであり、一般的な利付債は満期まで保有すれば元本に加えて利子を受け取ることができます。
米国債は、各国のドル建ての外貨準備の運用先としてもよく利用されており、日本は世界最大の米国債保有国となっています。
米国債の利回りと安全性
米国債はその堅実な利回りと高い安全性から、多くの投資家に選ばれています。まず、米国債の利回りについてですが、記事執筆段階(2024年8月30日)の10年債利回りは約3.8%と過去10年にわたる推移を考慮すると、かなり高い水準にあります。
ただし、米国債は2024年前半から比べると利回りが低下傾向にあります。
また、9月にはFRB(米連邦準備制度理事会)による利下げ開始が確実視されており、2025年にかけて段階的な利下げが見込まれています。
米国債投資を検討している人は、今後の利下げ動向に注目する必要があるでしょう。
一方、米国債の信用リスクについて言及すると、米国債は世界で最上位クラスに信用度の高い債券とされています。その理由は、米国の政府が発行するものであるため、デフォルトリスクは極めて低いためと考えられます。実際、主要な信用格付け機関による格付けも非常に高いAA+を維持しています。この高い格付けが投資家に対する安心感を与え、米国債の最も大きな魅力となっています。
以上の点から、米国債はその利回りの安定性と高い信用度から、特に安定性重視の投資家にとって非常に魅力的な投資先と言えるでしょう。
米国債の流動性
米国債は市場規模が大きく、流動性の高さが特徴です。満期前でも時価で売却し、速やかに現金化できる点は大きな魅力といえるでしょう。
また、中途売却が容易であることから、金利が低下して債券価格が上昇した際には、売却して値上がり益を得るといった柔軟な運用が可能になります。
米国債の購入方法と注意点
米国債を購入する際には、まず信頼できる証券会社を選ぶことが重要です。オンライン証券会社を利用する場合には、公式Webサイトにアクセスし、アカウントを作成します。次に、米国債を検索して購入手続きを進めますが、はじめて購入する方は銘柄の選択や取引条件をしっかりと確認することが重要です。
また、直接購入する方法に加えて、米国債ファンド(投資信託)を通じた購入という選択肢もあります。直接米国債を購入する場合、自らポートフォリオを設計して分散投資する必要がありますが、米国債ファンドを通じた場合は、多数銘柄に分散されているためリスク管理が容易になります。
なお、米国債は証券会社によって取り扱い銘柄の数が大きく異なる点に注意が必要です。
以上の点を理解しておくことで、米国債の購入をより効果的に進めることができるでしょう。
社債とは?その特性とリスク
社債は企業が資金調達を目的として発行する債券の一種です。
さまざまな企業が発行しているため、利回りやリスクは銘柄によって大きく異なります。
ここでは、社債の特性とリスクについて解説します。
社債の利回りと信用リスク
社債の利回りは、発行企業や社債の種類によって異なりますが、記事執筆段階(2024年8月30日)において概ね4%台前半〜5%前後です(普通社債・劣後債の場合)。
米国債に比べて高い利回りが期待できる社債ですが信用リスクは劣り、格付けは発行体によって大きく異なります。
ただし、アメリカには米国債を上回る格付けの企業もあるため、必ずしも「社債=信用リスクが高い」というわけではありません。
社債の種類
社債には一般の社債だけでなく、次の種類の社債があり、必要に応じて高い利回りを目指すことも可能です。
劣後債とは、「企業が倒産した場合に、お金が返ってくる順番が普通社債よりも劣後する」という条件が付いた債券です。普通社債よりリスクが高い分、利回りも高くなります。
永久劣後債とは文字通り満期がなく、繰上償還条項によって発行体が「繰上償還日に償還するか・償還しないか」を決められる債券です。
繰上償還しないリスクがあるため、利回りは劣後債より高くなります。
CoCo債とは、自己資本比率が基準値を下回る等、あらかじめ定められた条件に抵触した場合に、元本の一部または全部が削減されたり、強制的に株式に転換される条項がついている債券です。
元本の削減、株式転換リスクが上乗せされているため、利回りは永久劣後債より高くなります。
社債の買い方と選び方のポイント
社債の購入方法は米国債と変わりがありません。証券会社に口座を開設して、オンラインまたは対面店舗で購入するのが一般的です。
しかし、劣後債や永久劣後債、CoCo債は、特に発行体の信用リスクに注意が必要です。
また、万が一の元本毀滅リスクに備えて、投資銘柄を細かく分散するといった対策も重要です。
加えて、ネット証券では購入できない銘柄も多いことから、IFA(独立系フィナンシャルアドバイザー)に相談し、購入先を紹介してもらうのもよいでしょう。
米国債と社債の選び方
ここまで解説してきたとおり、米国債と社債にはそれぞれ特徴が異なります。
米国債と社債を比較しながら、どちらを選べばよいのか考えてみましょう。
米国債と社債の違いを比較すると次のとおりです。
利回り
米国債は信用度が高い分、利回りは社債に比べて高い傾向にあります。
債券は原則として格付け信用度が高いほど利回りは低く、格付けが低いほど利回りは高くなるためです。
ただし、これまで4%程度の利回りを得られていた米国債ですが、利下げが見込まれているため、今後は従来通りの利回りを期待するのは難しくなるでしょう。
このため、目標利回りに応じて、ポートフォリオに社債や劣後債を組み入れていく必要があります。
最低投資単位
米国債の最低投資単位は一般的に100ドルです。一方、社債の最低投資単位は発行企業や条件によって異なりますが、通常は1,000ドルから始まり、中には「最低10万ドル以上」といった社債もあります。
このため、社債は運用金額が限られる場合に、投資銘柄を十分に分散できない可能性もあります。
格付け
米国債の格付けは現時点でAA+と非常に高く、債券の中では最上位クラスといえます。
一方、社債の格付けは、それぞれ企業の財務状況によって大きく異なります。マイクロソフトやアップル、アルファベットなど、米国債と同等か上回る格付けの社債もありますが、数は決して多くありません。
期間
償還までの期間(残存年数)を比較すると、米国債は最大30年、社債は30年以上のものもあります。
ただし、一般の投資家が30年を超える債券に投資することは現実的ではありません。
このため、米国債と社債では期間による違いは考える必要がないといえます。
まとめ : 米国債と社債は組み合わせてポートフォリオを作る
ここまで解説したとおり、米国債と社債には、発行体の安全性や最低投資単位、利回りなど、それぞれ特徴があります。
このため、米国債と社債のどちらかを選ぶのではなく、組み合わせてポートフォリオを作るのがベストといえるでしょう。
ただし、適切なポートフォリオ設計には債券投資の知識と経験が必要です。IFAなど、プロに相談するのもよいでしょう。
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