目次
はじめに
キャピタルゲイン(値上がり益)を目指した債券投資には、特別な戦略が必要です。特に、長期債券は金利変動の影響を受けやすいため、キャピタルゲインを狙う対象になりやすい傾向があります。
この記事では、金利上昇局面における債券投資戦略について詳しく解説します。
キャピタルゲインを狙った債券投資法のポイント
期間が長く・利率が低い債券を選ぶ
キャピタルゲインのみで債券投資をする場合だとざっくり表現すると、期間が長く利率が低い債券がおすすめです。
債券投資の平均回収期間
デュレーションは、債券投資における平均回収期間を示す重要な指標です。債券から受け取る予定の利息と元本の現在価値を、それらを受け取るまでの期間で加重平均して計算されます。
デュレーションは債券の価格が金利の変動にどれだけ敏感に反応するかを示す指標で、債券の平均回収期間と金利感応度の両方を示します。デュレーションが長い債券は金利の下降時に価格が大きく上昇するため、キャピタルゲインを狙いやすいです。
デュレーションに影響を与える主な要因は以下の通りです。
1.残存期間
・債券の残存期間が長いほど、デュレーションは長くなる傾向があります。
・残存期間が長い債券は、金利変動に対してより敏感に反応し、価格変動が激しくなります。
2.クーポン(利率)
・クーポンが高い債券は、デュレーションが短くなる傾向があります。
・高いクーポンは、投資家に早期に多くのキャッシュフローをもたらすため、金利変動に対する価格の感応度が低くなり、価格変動は穏やかになります。
・クーポンが低い債券は、デュレーションが長くなる傾向があります。
・低いクーポンは、キャッシュフローの大部分が満期時に発生するため、金利変動に対する価格の感応度が高くなり、価格変動は激しくなります。
キャピタルゲイン狙いの投資先
ゼロクーポン債
ゼロクーポン債は、その名の通りクーポン(利息)がない債券です。利息を定期的に受け取ることはできませんが、代わりに額面金額よりも大幅に割り引かれた価格で発行されます。
投資家は、ゼロクーポン債を満期まで保有することで、購入価格と額面金額との差額を利益として得ることができます。この差額は、購入時から満期までの期間に応じた利回りを反映しています。
ゼロクーポン債はクーポンがないため、金利変動に対して非常に敏感です。金利が下がると、ゼロクーポン債の現在価値が上昇し、債券価格が大きく上昇します。逆に、金利が上昇すると、ゼロクーポン債の現在価値が下落し、債券価格が大きく下落します。
したがって、ゼロクーポン債は、金利低下局面において、他の利付債よりも大きな値上がり益を期待できる投資商品です。ただし、金利上昇局面では、価格下落のリスクも大きいため、投資家は市場動向を注視する必要があります。
利率が低い長期債
デュレーションは、債券のクーポン(利率)と残存期間に影響を受けます。一般的に、クーポンが高いほどデュレーションは短くなり、クーポンが低いほどデュレーションは長くなる傾向があります。
例えば、残存期間が同じで、利率が4%の債券と2%の債券を比較した場合、利率の低い2%の債券の方がデュレーションが長くなります。デュレーションが長い債券は、金利変動に対してより敏感に反応するため、金利変動時の債券価格の変動幅が大きくなる傾向があります。
米国債は最長でも30年物までしか発行されていませんが、社債の中には残存期間が30年を超えるものもあります。投資家がキャピタルゲイン(値上がり益)のみを狙う場合、利率が低く残存期間の長い社債に投資することで、金利低下時により大きな値上がり益を期待できる可能性があります。
ただし、長期の社債は発行体の信用リスクにさらされる期間が長くなるため、デフォルト(債務不履行)のリスクも高くなります。また、金利上昇局面では、長期債ほど価格下落のリスクが大きくなるため、投資家は市場動向やリスク許容度を十分に考慮する必要があります。
キャピタルゲインを狙った債券投資法のリスクと注意点
利回りや価格変動リスクに対する対策
キャピタルゲインを目的とした債券投資には、利回りリスクと価格変動リスクが伴います。これらのリスクに効果的に対処するには、以下の点が重要です。
リスクの適切な評価
債券の発行体、信用格付け、残存期間、クーポン率などを詳細に分析し、リスクを適切に評価することが必要です。
ポートフォリオの分散化
一つの債券に集中投資するのではなく、様々な発行体、業種、残存期間の債券に分散投資することで、リスクを軽減できます。
市場動向の把握
金利や経済指標の変化を注視し、市場動向を的確に把握することで、適切なタイミングで投資判断できます。
リスク許容度に応じた投資
自身のリスク許容度を理解し、それに見合った債券を選択することが重要です
その他のリスク要因の理解
利回りや価格変動リスク以外にも、以下のようなリスク要因があります。
流動性リスク
債券の売買が困難になる、または不利な価格で売買せざるを得なくなるリスクです。流動性の低い債券に投資する場合は、注意が必要です。
・信用リスク
債券の発行体が債務を履行できなくなるリスクです。信用格付けの低い発行体の債券は、デフォルトのリスクが高くなります。
・為替リスク
外貨建て債券に投資する場合、為替レートの変動によって、投資収益が影響を受けるリスクがあります。
これらのリスクを理解し、適切な対策を講じることで、債券投資におけるリスクを管理できます。自身の投資目的やリスク許容度に応じて適切な債券を選択し、ポートフォリオを構築するようにしましょう。
まとめ
債券投資はインカムゲインだけでなく、キャピタルゲインを狙うための手段としても活用できる投資法です。投資を始める際には、リスクやメリットを理解した上で、適切なアプローチを取ることが成功へのカギとなります。キャピタルゲインを狙った債券投資法をマスターして、効果的な資産運用を実現しましょう。
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