2019
02/27
最終更新日:2019/03/19
経済・マーケット

1.はじめに

投資初心者の方で、株式投資とFX取引はどちらが取り組みやすいかという問いを持つ方は多いと思います。この問いに対する私個人の答えは、「ぜひ両方やってみてください」です。

なぜなら、株式と為替は関連性が高く、両方を取引することで投資ノウハウについて相乗効果を得られるからです。しかし、時間や資金、そして知識と経験が限定されているため難しいという方も多いと思います。
そこで、本稿では株式投資とFX取引の違いを比較してみることで、上述の問いに対する皆さんの解決策の糸口を提供します。

2.投資対象と価格変動要因の違い

投資対象について違いを述べると、株式投資は企業が発行する株式という有価証券、一方でFX取引は異国間通貨の交換レートです。このため、一部は重複しますがそれぞれの資産価格の変動要因も異なってきます。

株式投資の場合、株価の主な変動要因は長期的には発行体企業の成長見通し、短期的には直近の業績や新商品・新サービスの開示、不祥事などの発行体企業のスキャンダルなどが挙げられます。

これに対して、FXレートは長期的には二国間のサービスやモノの価格の差分(購買力平価といいます)や外貨の保有残高の差分、短期的には政治情勢・金利や経済指標の変動などが挙げられます。

もちろん、株価にもFXレートと多少共通した変動要因が当てはまるのですが、経済学的な視点で大きく分けると株価はミクロ的要因、FXレートはマクロ的要因の影響を受けやすいと言えます。

3.キャピタルゲイン以外の収益機会の違い

 株式投資であれば、キャピタルゲインの他にインカムゲインとして発行体企業の株主に対する利益分配である配当金、さらには無償増資や株主優待も期待できます。

当然ながら、FX取引では配当金という概念は無いのですが、インカムゲインを狙えるキャッシュフローとしてスワップイントというものがあります。
スワップとは取引をした通貨の金利差であり、スワップポイントとは金利差のある通貨を売買取引した場合に発生する金利差相当額のことです。

FX取引で高金利の通貨(例えば、オーストラリアドル)をロングし、ペア通貨として相対的に低金利な通貨(例えば、日本円)をショートすると、投資家は高金利通貨と低金利通貨の金利の差分をスワップポイントとして受け取れます。

ここで注意していただきたい点は、逆に低金利通貨のロング・高金利通貨のショートというペアで取引を行った場合は金利差がマイナスとなってしまうため、投資家はスワップポイントを支払わなければなりません。
株式投資と異なり、FX取引では通貨ペアとポジションによってインカムロスが発生する可能性があることが重要です。

4.課税の違い

ここでは、利益が出た場合における株式投資とFX取引の課税の違いについてご説明します。
証券会社に開設した特定口座で株式投資を行って利益が出ると、証券会社が源泉徴収という形で投資家に代わって納税してくれる「源泉分離課税」が適用されます。

株式投資では、損失が出てそれを来年以降に繰り越し損益通算に用いたいという場合以外は、面倒な確定申告を行う必要がありません。
しかし、FX取引はこのような便利な制度が無く、株式取引とは異なり「申告分離課税」が適用されます。

これにより、あなたがサラリーマンであり、かつFX取引で年間20万円以上の利益が出た場合は必ず確定申告を行う必要があります。サラリーマン以外の主婦や自営業であれば、確定申告を要する利益のボーダーは年間38万円です。また、この利益は先述のスワップポイントにより得た利益も含むことに注意が必要です。なお、FX取引でも株式投資と同様に損失の繰越控除が適用されるため、利益が出なかった場合でも確定申告を行うとよいでしょう。

FX取引の利益は金額の多寡によらず確実に税務署に把握されていると思っていただいて間違いはありません。そのため、損益状況はしっかりと把握し、適切に納税手続きを行うことが重要です。

5.まとめ

株式投資とFX取引には他にも細かな違いがあるのですが、投資家がどちらの取引を行うか決定する要因は、結局のところ投資家と取引の相性ではないでしょうか。
また、冒頭でもお伝えしたとおり株式投資とFX取引は両方同時に行うことがベストと考えます。したがって、どちらの取引を行ってみようかと悩まれている方は少額でもよいので両方に挑戦してみることをおすすめします。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者3万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

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