突然の相続による資産増加をどう運用するべきか?

はじめに

突然の相続により資産が増加した場合、「どのように運用すべきか?」と悩む人も多いでしょう。慌ただしく相続手続きを行う中、何から手を付ければいいのかわからなくなることもあるでしょう。この記事では、突然の相続により資産が増加した場合、どのように運用するべきかを詳しく解説します。この記事を読めば、相続資産の最適な運用方法や注意すべき点が明確になるでしょう。

相続資産の運用を考える前に知っておくべきこと

相続資産の運用を考える前に、まず知っておきたいのが相続手続きの重要性です。

ここでは、資産を相続した場合の相続税とその対策方法を解説します。

相続税とその対策方法

相続税とは、被相続人(故人)から財産を受け継いだ際に課される税金で、日本においては、一定額以上の財産を相続する場合に適用されます。課税対象には現金や不動産、株式などのほか貴金属などの実物資産も含まれ、その評価額に応じて税率が決まります。税率は累進課税制度を採用しており、相続財産の総額が高額になるほど、高い税率が適用されます。

なお、相続手続きは、できる範囲で迅速に進めることも大切です。

これは被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヵ月以内に相続税の申告を行う必要があるためです。

画像引用元 : https://www.ht-tax.or.jp/sozoku-guide/inheritance-tax-declaration-by-yourself

相続税の申告期限までに申告書を提出し、相続税を納付しない場合は延滞税、場合によっては無申告加算税が課せられるため注意しましょう。

なお、特に資産規模が大きい場合は、相続税納付に向けて、一部の資産を処分するケースもあるでしょう。

相続が発生した時点で、税理士など専門家に相談することが大切です。

相続資産の評価と遺産分割

相続資産には現金や預金、株式、不動産、貴金属、美術品などさまざまな種類があり、それぞれの評価方法は異なります。現金や預金の場合はそのままの金額が評価額となりますが、株式は市場価格を基に評価し、不動産は査定による評価が必要です。相続した資産の現状を把握するためにはまず、これらの各資産をリストアップし、その評価額を算出することが重要です。

相続手続きの流れ

続いて具体的な相続手続きの流れをみていきましょう。

  1. 相続人の確定
  2. 相続財産の確定
  3. 遺産分割協議
  4. 相続財産の名義変更
  5. 相続税の納付

1.相続人の確定

被相続人および相続人の戸籍謄本・除籍謄本を取り寄せ、法定相続人を確定させます。

2.相続財産の確定

預金通帳や金融機関から送られてくる郵便物、被相続人名義の固定資産評価証明書などから保有する財産を調査し、相続財産を確定させます。

金融資産の場合は、各金融機関で残高証明書を発行してもらう必要があります。

3.遺産分割協議

相続財産が確定した時点で相続人全員で遺産分割協議を行い、相続人全員が合意したうえで遺産分割協議書を作成します。

相続人の合意が得られない場合は、家庭裁判所で調停による分割または審判による分割を行う必要があります。

4.相続財産の名義変更

遺産分割協議が終わった時点で、すべての相続財産の名義変更を行います。

預金や有価証券など金融資産の場合は、銀行や証券会社によってそれぞれ異なる手続きが必要です。

名義変更が完了するまで引き出しや処分ができないため、早急に手続きを行う必要があります。

5.相続税の納付

相続税の申告期限までに申告書を提出し、相続税の納付を行います。

なお、特例制度等により相続税がかからない場合でも、相続財産の相続税評価額が基礎控除額を超える場合は、申告の必要があるので注意が必要です。

【基礎控除額】3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

例えば法定相続人が4名いる場合、相続税の基礎控除額は5,400万円となります。

相続資産運用のメリットとデメリット

相続資産の運用を考える際には、複数のメリットとデメリットを理解することが重要です。

ここでは、相続資産運用のメリットとデメリットを解説します。

メリット : 運用による資産保全

資産運用はインフレに対する有効な資産保全方法です。インフレが進行すると、現金や預金の価値は目減りしてしまいますが、適切な運用を行うことで資産の実質的な価値を保ちつつ、さらなる成長を期待できます。さらに、低リスクの運用でも銀行預金と比較して利回りは一般的に高くなる傾向があります。銀行預金は元本保証という点で安全ですが、預金金利はインフレ率に劣ることが多いため、実質的には資産が減価していると言えるでしょう。一方、資産運用を行うことで、インフレを上回るリターンを追求することが可能となります。

デメリット : 運用リスクと失敗事例

資産運用はリスクを伴います。このため、相続資産を減らしてしまう可能性がある点は運用のデメリットといえるでしょう。特に、資産運用の経験が浅い場合には、リスクの認識不足が大きな問題となります。ほとんどの初心者は、期待する利益に意識が向き過ぎて、潜在的なリスクを見過ごしがちです。例えば、株式市場に投資する際、短期的な市場の価格変動を過小評価することで、大きな損失を被る例が多く見られます。

失敗事例としてよくあるのが、分散投資の重要性を理解せず、特定の分野や企業に資産を集中させることで、予期せぬ経済変動に耐えられなくなることです。たとえば、短期的な相場の上昇を期待して特定の資産を大量購入したものの、結局それが急落し、元金を大きく減らす結果となるケースも少なくありません。

こうした失敗を避けるためには、リスク管理が極めて重要です。まず自分のリスク許容度を明確にし、それに基づいて適切なポートフォリオを構築することが挙げられます。分散投資はリスクを抑える効果的な方法であり、異なる資産クラスに投資を分けることで、特定資産の運用が不調でも資産全体のパフォーマンスを保つことができます。

【ウェルス・パートナーによるポートフォリオ設計例】

 

資産運用は決して簡単なものではありませんが、リスクを正しく認識し、適切な管理を行うことで、将来的に大きな成果へとつなげることができます。

相続資産を活用する代表的な運用方法

相続資産をどのように活用するかは、資産運用の計画において非常に重要です。

ここでは代表的な運用方法について解説します。

債券投資

低リスクの運用を望む方におすすめなのが債券投資です。

債券とは、国や企業などが資金調達のために発行する有価証券で、定期的に利息を受け取ることができ、満期時には元本が返済される商品です。債券にはさまざまな種類があり、主なものには国債、地方債、社債などが挙げられます。国債や地方債は信頼性が高くリスクの低さが特長ですが、その分リターンも低くなる傾向にあります。

一方、社債は国債や地方債に比べて利回りが高いですが、倒産によるデフォルトリスクも大きくなるので注意が必要です。

債券投資のメリットは、株式に比べて価格変動が少なく、定期的な収入が見込める点です。一方、デメリットとしてはインフレに対応できない点や金利上昇による債券価格の下落リスクがあります。

株式やヘッジファンド

債券よりも高い運用を目指したい方におすすめなのが株式やヘッジファンドへの投資です。

まず、株式投資は高いリターンを狙える点が特長です。ただし、マーケット環境や企業の業績によっては大きな損失を被る可能性もあります。一方、ヘッジファンドとは、さまざまな投資手法を用いて、リスクを避けながら高い収益を目指す投資ファンドです。

ヘッジファンドは、株式ロング・ショート戦略や先物取引、オプション取引などを活用して、下げ相場でも利益を追求できる点が特長です。

ただし、ヘッジファンドは最低投資金額が高く設定されているほか、ファンド破綻のリスクがあり、運用コストが高いなどの注意点もあります。

不動産投資投資

不動産投資は、安定したインカムゲインが得られるうえ、投資物件の価格上昇により値上がり益も狙えるため、インフレ対策になる点が特長です。

しかし、一方でデメリットとして、家賃相場の変動や空室リスクがある点に注意が必要です。

また、不動産投資は投資物件の相続税評価額を下げられるため、相続税対策として活用できます。

まとめ

突然の相続で資産が増えた場合、どのように資産を管理・運用するかは、重要な問題といえます。

大切な相続財産を有効に活用するため、慎重な運用プランを立てることが重要です。

適切な管理と運用計画の策定、投資戦略やポートフォリオの構築について、IFA(資産運用アドバイザー)など専門家へ相談するのもよいでしょう。

なお、私たちウェルス・パートナーでは資産を相続された方々へ無料相談を行っております。

面談は弊社オフィスのほか、オンラインでも承っておりますので、ぜひ気軽に無料相談をお申し込みください。

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