2021
07/08
税金

はじめに

「可処分所得」、つまり自由に使えるお金を増やすためには、

収入を増やす
支出(税金や経費)を減らす

のどちらかを行うしかありません。
ただ収入を増やすのは市場や取引先などに左右される「相手次第」の面があり、確実ではありません。
しかし支出を減らす、特に支払う税金を減らす「節税」については、正しい知識さえあれば確実に行うことができるため、非常に有効な方法です。

日本は世界的に見ても税金が高く、特に高所得者ほど累進的に高い税率で課税されるため、富裕層こそ「節税対策」が必須といえます。

そこで今回は富裕層が正しい知識で節税を行い、大切な資産を防衛する方法について紹介します。

富裕層にとっての節税の必要性

税率が世界トップクラスの日本の富裕層にとって、節税を行って資産を自己防衛することは必須です。

日本の所得税・相続税は世界トップレベルに高い

日本の所得税率は世界でもトップレベルに高く、課税所得が4,000万円超の場合、45%(2037年まではこれに復興特別所得税2.1%が乗算されるため、実際には45.95%となる)にもなります。

また相続税の最高税率は55%と更に高く、適切な対策を講じなければ、子→孫と相続するうちに資産が消えてなくなってしまったという話も実際にあるほどです。

富裕層は節税で「自己防衛」をするべき

「節税」というと、

・何かズルいことのような気がする
・後ろめたい気がする

という方もいますが、脱税とは違って「節税は納税者にとって当然の権利」です。特に高い税率が適用される富裕層にとっては、節税で大切な資産を「自己防衛」することは必要不可欠といえます。

法人を活用して節税する方法

富裕層の節税には法人格の活用が必要不可欠である

では節税を考える場合、どのような方法を取ったらいいのでしょうか。
所得税の節税については、「法人の活用」がキーポイントとなります。

プライベートカンパニーをつくり経費計上を活用する

「法人を活用」というと、「私は会社員だから」といって諦めてしまう方がいます。しかし会社員であっても、芸能人がプロダクションに所属しながら個人事務所を立ち上げるような感覚で「プライベートカンパニー」を設立するという方法もあるのです。

具体的には、資産管理会社を立ち上げて給料やその他の収入などを全てそこで管理します。

法人化するメリットは多く、

・仕事に関わる書籍代やPC、テレワークなど自宅で作業した場合の家賃(一部)などを経費として計上できる
・「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出することで家族へ給与を支払い、それを経費に計上できる

といった節税を行うことが可能になります。
ただし、会社員の場合は、勤務している会社の副業規定に抵触しないかあらかじめ確認をしておいた方がいいでしょう。

公益財団法人を活用して所得税・相続税対策をする

上場企業の創業者社長などの場合、保有する株の評価額が非常に大きくなるため相続税や事業承継に非常に苦労することがあります。

また所得税についても、最高税率で課税されることがほとんどです。

このようなケースでは財団法人を設立し、公益認定を受けることで節税をはかるという手法が有効になります。

個人が公益財団法人に寄付をすれば「寄付金控除」が受けられる

公益財団法人の設立は所得税対策に有効です。

個人が公益財団法人に寄付をした場合、「寄付金控除」によって個人の所得税額を減らすことができます。

どれくらいの控除を受けられるかというと、

(寄付金-2,000円)×0.4 ※公益法人等寄付金特別控除(税額控除)の場合

という計算式で算出できます。

例えば100万円の寄付を行った場合、

(100万円-2,000円)×0.4=39万9,200円

となり、約40万円の「税額控除」を受けることができるのです。
(※なお寄付金控除には「所得控除」も利用できますが、一般的には税額控除の方が、減税効果が大きいため、ここでは税額控除で計算しています)

本来支払わなければならない税額の40%が控除されるため、かなりの節税になるのがわかります。

公益財団法人への寄付は相続税・贈与税がかからない

実は公益財団法人設立の一番大きなメリットは、個人から法人へ寄付をすることによって相続税・贈与税がかからなくなるという点です。

個人の現金、株、不動産などを公益財団法人に寄付した場合、相続税や贈与税はかかりません。

ここで個人と全く関係のない公益財団法人に寄付した場合は「単なる寄付」で終わるのですが、例えば自分の家族を寄付する公益財団法人の理事に就任させておけば、法人の保有財産からの収益を家族内で分配することが可能になります。

マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツなどの富豪が慈善事業団体を設立するのも、こうした公益財団法人のスキームを利用するためです。

慈善事業団体を設立して資産を寄付し、子どもや家族を理事に就任させて報酬を受けられるようにする。こうして相続税や贈与税を取られることなく、子どもや家族に資産を残しているというわけです。

また公益財団法人は法人税や配当も非課税となります。公益財団法人が「究極の節税法」といわれるゆえんです。

生前贈与と生命保険を活用した相続税対策

公益財団法人設立は「究極の節税法」ですが、メリットが大きいだけにその設立は非常にハードルの高いものとなっています。

そこで公益財団法人の設立が難しい場合には「生前贈与」と「生命保険の活用」で相続税対策を行います。

生前贈与で相続分を減らす

相続税を節税するためには、相続が発生する前に相続税の対象となる「相続分」をできるだけ減らしておくことが必要です。

具体的には現金、株式、不動産などの資産をできる限り「生前贈与」で家族などに譲っておきます。

生前贈与の方法としては、

1.暦年贈与
2.住宅取得資金の贈与の特例
3.教育資金の贈与の特例
4.結婚・子育て資金の一括贈与の特例
5.贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)

などがあります。

これらを活用することで配偶者や直系卑属(子どもや孫)に「非課税」であらかじめ資産を贈与し、相続分を減らすことで相続税の節税を行うというわけです。

生命保険で「入口」と「出口」の節税対策をする

生命保険も上手に活用すると、非常にすぐれた節税方法になります。

まず保険料を支払う際には「生命保険料控除」や法人であれば「損金算入」をすることで、所得税や法人税を節税することができます(入口の節税)。

また死亡保険金を受取る際には、

500万円×法定相続人の数=非課税限度額

という非課税枠があります(出口の節税)。

例えば配偶者と子どもが2人いた場合、

500万円×3=1,500万円

となり、1,500万円までの相続税が非課税となります。

また相続税の支払は基本的に「現金」で行われるため、死亡保険金で相続税の支払準備をしておくことも可能です。

資産を増やすよりも減らさない「節税」の方が簡単

新型コロナウイルスなどで社会情勢は不安定化しており、コンスタントに資産を増やすことが難しくなっています。

しかし税金によって減ってしまう資産は、節税によって防衛することが可能です。
正しい知識を身につけた上での節税は不正ではなく、多くの納税を課せられる富裕層にとっては必須のテクニックといえます。

今回の記事を参考に、ぜひとも節税に励んでみてください。

当社でも無料個別面談を行なっております。
ぜひ、お気軽にお申し込みください。

https://wealth-partner-re.com/meeting/

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者14万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

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