はじめに
外国債券投資は、多くの投資家にとって魅力的な選択肢となっていますが、その一方でデメリットも存在します。本記事では、外国債券投資を行う上で直面する可能性のあるデメリットについて徹底解説します。為替リスクや金利変動リスクなど、外国債券投資に伴うリスク要素を具体的に分析し、投資家が適切な判断を行うための情報を提供していきます。また、デメリットへの対策やリスク管理のポイントにも言及し、安心して外国債券投資を行うためのヒントをお伝えします。
外国債券投資のデメリットの種類
外国債券投資には以下の4つのデメリットが存在します。
為替リスク
為替リスクとは、外国債券の取引において、為替相場の変動によって損失が発生する可能性を指します。たとえば、為替相場が予想と異なる方向に動いた場合、その差額による損失が発生します。
金利変動リスク
金利変動リスクは、外国債券の利回りが変動することによって生じるリスクです。投資家が購入時に確保した利回りが変動することで、投資の収益性が変化する可能性があります。
カントリーリスク
カントリーリスクは、投資対象国の政治状況や法律の変化など、政治的な要素によって生じるリスクです。政治的な不安定さや不確実性が投資に悪影響を与える可能性があります。
信用リスク
信用リスクとは、貸し手が貸したお金が返ってこない可能性、つまり債務者が債務を履行できなくなるリスクで、「デフォルトリスク」ともいいます。
外国債券投資に伴うリスク要素の分析
具体的な影響を理解するために、各リスク要素を詳しく分析しましょう。
為替リスクの具体的な影響
為替リスクは、外国債券の元本や利息を支払う際の為替レートの変動によって影響を受けます。外国債券に投資していた場合、円安になると利益になりますが、円高になると損失になります。投資家は、為替相場の変動によって損失を被る可能性があることを認識する必要があります。
金利変動リスクの具体的な影響
金利変動リスクは、外国債券の利率が予想外に変動することによって影響を受けます。たとえば、固定利付債を購入したあとに市場金利が上昇すると、その債券の魅力が薄れ、債券価格が下落します。投資家は、購入時の利回りと将来の利回りの変動を見極める必要があります。
カントリーリスクの具体的な影響
カントリーリスクは、投資対象国の政治的な安定性や法律の変更によって影響を受けます。投資元本を割り込んだり、売却が困難になる可能性があるので、投資家は投資対象国の政情や経済状況を注意深く観察しておく必要があります。
信用リスクの具体的な影響
外国債券の信用リスクが具体的に投資家におよぼす影響は、以下の通りです。
1. 元本損失
発行体がデフォルト(債務不履行)に陥った場合、投資家は投資した元本を回収できなくなる可能性があります。
2. 利息の未払い
発行体が利払いを遅延させたり、まったく行わなかったりすると、投資家は期待していた利息を得られなくなります。
3. 価格変動リスク
信用リスクが高まると、その債券の市場価格は下落します。これは、投資家が高リスクの債券を避けようとするためです。したがって、投資家が債券を売却する際に、元本割れ(投資額を下回る価格で売却すること)になる可能性があります。
デメリットへの対策とリスク管理のポイント
デメリットに備えるために、以下の対策とリスク管理のポイントを考えましょう。
為替リスクへの対策方法
為替リスクを軽減する方法として、ヘッジ戦略を用いることがあります。たとえば、米ドル円であれば、「直物のドル買い・円売り」と「先物のドル売り・円買い」を同時に行います。為替リスクを管理するために、為替先物取引や外国為替オプションなどの金融商品を活用できます。
金利変動リスクへの対策方法
金利変動リスクを軽減する方法として、3つの方法を解説します。
1.期間を短くする
金利変動リスクは、短期債よりも長期債の方が大きくなります。したがって、金利変動リスクを低減するためには、短期間の債券を選択することが一つの方法です。
2.分散投資
異なる期間や異なる国の複数の債券に投資することで、金利変動リスクを分散できます。
3.金利スワップを利用する
金利スワップなどの金融派生商品を使用して、金利変動リスクをヘッジすることも可能です。ただし、これらの商品は専門的な知識を必要とするため、外国債券に詳しいIFAなどの専門家の助けを借りることが推奨されます。
カントリーリスクへの対策方法
カントリーリスクへの対策方法として、情報収集を徹底することが重要です。投資先の国の政治情勢や関連するニュースを確認し、その国のリスクを評価します。また、カントリーリスクに対しても分散投資は有効です。複数の国や地域に投資することで、特定の国や地域のリスクを軽減できます。
信用リスクへの対策方法
信用リスクは、信用格付けやスコアリングモデルなどを用いて評価・管理することで、ある程度軽減することが可能です。信用格付とは、外国債券の信用状態に関する評価を簡単な数字や記号で表示した等級のことを指します。信用格付けを行う主な会社には、S&Pグローバル・レーティング、ムーディーズ・ジャパン、日本格付研究所、格付投資情報センターなどがあります。
スコアリングモデルとは、特定の目的に基づいて個々のケースを評価するための統計的な手法を指します。
しかし、完全にこれらのリスクを排除することはできません。したがって、外国債券投資を行う際には、これらのリスクを理解し、自身のリスク許容度に合った投資選択を行うことが重要です。
安心して外国債券投資を行うためのヒント
デメリットを考慮したポートフォリオの構築方法やリスク管理の重要性について、以下のヒントをご紹介します。
デメリットを考慮したポートフォリオの構築方法は?
ポートフォリオを多様化し、異なる国や地域の外国債券を組み合わせることで、リスクを分散させることができます。
リスク管理の重要性とは?
外国債券投資においては、リスク管理が非常に重要です。投資家は、市場の動向やリスク要素に関する情報を注意深く収集し、資産運用の戦略を適切に調整する必要があります。
専門家のアドバイスを受ける方法は?
外国債券投資に関する情報やアドバイスは、専門家や金融機関から提供されることがあります。IFAなど専門家のアドバイスを受けることで、より確かな判断をすることができます。
外国債券投資は魅力的なリターンを追求するための手段ですが、デメリットにも注意が必要です。為替リスクや金利変動リスク、カントリーリスク、信用リスクなどを正しく理解し、適切な対策を講じることが重要です。リスク管理を徹底し、IFAなど専門家のアドバイスを受けながら外国債券投資を行ってください。安心して投資を進めるためのヒントとなることでしょう。
一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。