富裕層に詳しいIFAが教える「外国債券キホンのキ⑥ポートフォリオ編」

本日のテーマは、「外国債券キホンのキ⑥ポートフォリオ編」をお届けします。外国債券投資の基本に立ち返りまして、一から分かりやすくご説明していく「外国債券キホンのキ」というシリーズも全6回の最終回になります。

「外国債券キホンのキ」全6回の最後はポートフォリオ編です。今回は、ポートフォリオの組み方や、1つ1つの項目の意味などをより詳細にご説明しながら、初めて投資する方でもこの債券ポートフォリオの組み方が分かるようにできればと思っております。

債券ポートフォリオ投資方針例

具体的な例を持ってご説明するのが分かりやすいと思いますので、まずは、実際の債券ポートフォリオの組み方の投資方針例をご説明します。適当に組むわけではなく、方針を決めてからどのような債券がよいかを選んでいくのが大事ですので、まずは投資方針を決めます。どういった方針で債券を組み合わせるのか、どういった債券を選ぶのか、年間の目標リターンなどを決めるのが、債券ポートフォリオを組む際には大事です。

ポイントは4つです。

優良企業が発行する米ドル建て社債に分散投資

1つ目は、優良企業が発行する米ドル建て社債に分散投資することです。優良企業ですので、一度は皆さん誰もが聞いたことがあるような有名な会社を選ぶことや、通貨を米ドル建てに絞っています。そして国債ではなくて、「社債=会社が発行した債券」を選ぶのもポイントです。さらに、特定の銘柄に投資するのではなく、分散して投資します。1つや2つの銘柄だけではなく、十数銘柄に分散して投資するのが1つ目の投資方針例です。全て1つ1つの言葉には意味があって、これをしっかり守っていくのが債券ポートを作る上では大事なことだと思います。

債券の格付け

2つ目は、どれぐらい信用力が高い債券かを表している債券の格付けです。債券の格付けがBaa/BBB以上という、比較的高めの格付けの債券を中心に選定するのが2つ目の投資方針例です。これは考え方によりますので、債券格付けBB中心に選定することもあります。目標にしているリターン、年利回りとの兼ね合いになるかと思います。この方の目標を達成するための格付けとしては、Baa/BBB以上で十分と判断しましたので、今回はこのようにしました。

債券の種類

3つ目は、債券種類に関する考え方です。この「外国債券キホンのキ」でもお話させていただいた、ハイブリッド証券と言われる「劣後債」も積極的に活用し、今回の債券ポートに取り入れる方針です。ただし、この方の場合は、クレディスイスの件で話題になったCoCo債と呼ばれるハイブリッド証券の中で一番リスクとリターンが高い証券は除く方針になりました。もちろんCoCo債を含むこともありますし、むしろハイブリッド証券は入れない場合や、普通の社債だけの場合もあります。ただし、その場合は目標の年利回りは当然落とさなければならないので、それとの兼ね合いになるわけです。

年平均利回り

4つ目は、年平均利回りです。今回の例は6%ですが、この利回りによってどのような形にしなければならないのかが大きく変わってきますので、この目標の利回りはかなり重要な指標になるわけです。アメリカの10年国債の利回りが今3.5%ですから、年平均利回り6%というのは、それプラス2.5%の目標の利回りをこの債券ポートで目指していくことになります。それほど野心的ではありませんが、保守的過ぎず、丁度いい、債券投資の中ではミドルリスク程度で達成できる目標と考えています。

投資方針はこのように組むわけです。その方のお考えや目指したいものによって違ってもよいのですが、目的としているものと投資方針が合っていないといけないので、最初にしっかり考える必要があります。この投資方針のルールに基づいて債券を選び、ポートフォリオを組みます。

債券ポートフォリオ設計例

実際にポートフォリオを組んだ設計例を詳しく見ていきましょう。こちらの債券のポートは10銘柄で組まれています。


出典:株式会社ウェルス・パートナー作成

債券を発行している会社=発行体があります。今回、個別銘柄は出せませんので、債券を発行している会社が所属している国と会社の業種だけになります。発行体の所属国と業種が特に重要です。その国の経済リスクはその会社にも影響を与えるので、国や業種がしっかり分散されているのが大事です。この設計例で言うと、日本・アメリカ・イギリスの会社に等分に分散され、業種で言うと保険会社や銀行が多く、それ以外は通信や石油会社などで、それなりに分散されています。今回は個別の企業名は挙げていませんが、実際に検討する時、投資する前には、具体的な個別企業の業績や財務状況などをしっかり確認する必要があります。

次に、債券種類です。先程ハイブリッド証券とお話ししたところです。積極的に活用するということですので、ハイブリッド証券が多いです。上から、永久劣後債・期間付劣後債、普通の社債ももちろんあります。期限付劣後債が多くて5件、永久劣後債が3件、普通社債が2件となっています。

通貨は全部米ドル建てです。金額も1,500万円ずつ分散されて、合計1.5億円のポートフォリオになっています。その右側が保有比率です。1債券あたりの債券ポートフォリオ全体の比率が10%ですので、合計で100%になっています。

債券の残存年数は3年から20年まで分散されています。例えば、残存年数を3年後や5年後だけにすると、低金利になった場合、今は6%で運用できていますが、債券ポートを組み替える時に3%や4%になる可能性もあります。全体の計画が大きく狂ってしまうわけです。お金が返ってくるタイミングをしっかり分散することが大事です。

その右側が債券の格付けです。上から、A-やB+、BBBが多いです。この債券ポートフォリオ全体の平均格付けはBBBになっています。最初にBBB以上という投資方針を決めましたので、概ね、債券格付けをクリアしています。1銘柄だけ低格付けのものが入っていますが、全体の利回りを上げることを重視して、このような債券も一部入れているわけです。

その右側は発行体格付けです。劣後債なので、債券格付けと発行体格付けがあります。発行体の格付けも重要です。基本的に債券格付けより高くなるので、平均するとBBB+ということになります。

最後が、重要な年利回りです。平均すると6%ということで、投資方針で決めた目標年利回りと同程度になります。

債券の1つ1つの情報はもちろん大事ですが、債券ポート全体でどのような平均値になっているかも重要になりますので、必ず一番下の平均値も出した方がよいでしょう。特に、残存年数が平均で何年になっているかが重要です。この債券ポートですと、平均化すると8.5年の債券の期間のリスクを取っているわけです。格付けも平均値がBBB、年利回りも6%の債券ポートフォリオになっています。このように平均値を出して、今現在、自分がどういった状況になっているのかを判断する必要があると思います。

仮に、この格付けが平均値でBBや投資非適格になっていたとしたら、これをもう少し上げていった方がいい可能性がありますし、年平均利回りが低かったとしたら、高めるにはどうしたらいいかを考えます。残存年数が短すぎたら、長い債券を入れていくことになります。そのような検討に役立つわけです。

まとめ

「外国債券キホンのキ⑥ポートフォリオ編」のまとめをさせていただきます。
ポイントは4つです。

投資方針に適合した債券を選定

1つ目は、最初に決めた債券ポートフォリオの投資方針に適合した債券をしっかり選定することです。

発行体(発行国・業種)の分散

2つ目は、発行体が所属している国と業種をしっかり分散することです。金融不安になると、銀行という業種は基本的に売られがちになりますので、そういったリスクを分散する効果があります。

1社あたりの投資金額の分散

3つ目は、1社あたりの投資金額の分散です。万が一、倒産という最悪の事態に陥ったとしても、先程の債券ポートでは、債券ポートを占める1銘柄の割合は10%ですので、ダメージとしてはマイナス10%になるわけです。ですから、分散することがリスク管理の面においては大事になります。

債券残存年数の分散

4つ目は、債券の残存年数の分散です。先程の債券ポートのように、数年ぐらいのものから20年という風に資金が返ってくるタイミングを分散して、金利の変動リスクをできるだけ均すことを考えて債券ポートフォリオを組むのが非常に大事です。

ご紹介した内容は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。

本日は「外国債券キホンのキ⑥ポートフォリオ編」という内容でお届けさせていただきました。

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