【今後の債券投資戦略】金利低下に備える方法と米国債以外の投資の可能性

はじめに

債券投資を検討する際に、「今後の金利低下リスクに備えてどのような戦略を立てるべきか?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。特に米国債以外の債券投資の可能性や、米国債券にのみに投資を集中させるべきかなど、考える点が多いでしょう。そこで、この記事では今後の債券投資戦略について、金利低下に備える方法と米国債以外の債券投資を詳しく解説します。この記事が自身の投資ポートフォリオを見直し、最適な債券投資戦略を立てるために役立てば幸いです。

米国債券投資の現状と見通し

米国債券市場は、過去数年間にわたってとても良好なパフォーマンスを見せてきました。
しかし、2024年後半からは段階的な利下げが始まるとみられており、米国債券投資を考える方には大きな転換点となる可能性があります。

米国の金利動向と今後の展望

アメリカではインフレ鈍化が確認されたことから、9月にもFRB(米連邦準備制度理事会)による利下げが開始され、年内に2度の利下げが見込まれています。

また2025年に入ってからも段階的に利下げが行われる可能性が高く、利下げペースに注目が集まっています。

いずれにしても、米国債だけで4%台半ばの利回りを得られていた2024年とは、投資環境が大きく異なることは間違いないものと思われます。

米国債のリスクとリターン

続いて、債券投資の王道と言われる米国債のリスクとリターンについてみていきましょう。

米国債は一般に非常に信頼性が高いとされていますが、それでもリスクがゼロではありません。連邦政府が発行する国債は事実上の無リスク資産とみなされる場合もありますが、債券である以上、政府の財政状況や政治的な要因が影響を及ぼす可能性があります。

このため、米国債だけでなく社債や、他国の国債を含め、幅広い分散投資が必要となってきます。

また、米国債に限らず債券投資は主に利息収入を目的としています。原則として値上がり益が得られないことから、インフレリスクを伴う点に注意が必要です。

次に、米国債券の歴史的なリターンを分析すると、他の資産クラスと比較して安定的な収益を得られてきたことが分かります。

このため、米国債はマーケット環境を問わず、長期的な投資戦略を構築する上での重要な要素として位置づけられます。

また、米国債券市場の流動性も見逃せないポイントです。米国債は流通量が多いため売買が容易であり、必要に応じて速やかに現金化することができます。

まとめると、米国債券は安定したリターンが得られるうえ、流動性の高さも備えていますが、インフレリスクが存在します。これらの要素を考慮し、適切な戦略を立てることで、ポートフォリオ全体の強化が可能となります。

金利低下が債券市場に与える影響

金利低下は債券市場に多大な影響を与えます。金利と債券の価格には密接な関係があるためです。

ここでは、金利低下が債券市場に与える影響について解説します。

金利低下と債券価格の関係

債券価格と金利は逆相関の関係にあります。つまり、金利が低下すると債券の価格は上昇します。
これは、既存の債券よりも新たに発行される債券の方が金利が低く、既存の債券の方が有利になるためです。

画像出典 : https://www.nomura-am.co.jp/sodateru/start/investment-trust-abc/bond-price.html

このため、すでに発行されている利回りの高い債券を保有している方は、金利低下によって次の2つの選択肢が考えられます。

  • 満期まで保有して長期間高い利回りの恩恵を受ける
  • 売却してキャピタルゲインを得る

一方、これから債券投資を考えている方は、高い利回りを得るために、何らかの対策を行う必要が出てきます。

続いて高い利回りを得る方法の一つとして、米国債以外の選択肢である社債について考えてみましょう。

この動きを理解することは、金利低下時における債券投資の戦略を立てる際に非常に重要です。

米国債以外の債券投資「社債」の魅力

米国債の金利低下が確実視されている中、米国債以外の債券への関心が高まっています。

ここでは、米国債以外の債券投資として「社債」の魅力について解説します。

米国債と社債の違い

米国債よりも高い利回りを狙えるため、注目が集まっているのが社債です。

社債とは、企業が一般投資家から広く資金を調達するために発行する有価証券です。
米国債と社債の違いをみてみましょう。

※社債の範囲は広いため、ここでは普通社債と劣後債のみを対象としています。

利回り

債券のもっとも大きなリスクは、発行体のデフォルト(倒産)リスクです。

デフォルトのリスクは、米国債よりも一般企業の方が高いため、利回りは社債の方が高くなります。

債券は原則として格付けが高いほど利回りは低く、格付けが低いほど利回りは高くなります。

最低投資単位

最低投資単位は証券会社によって異なりますが、米国債は額面100ドルくらいから投資可能です。

一方、社債の最低投資単位は銘柄によって異なります。

額面1,000ドル〜額面2,000ドルから購入できる社債もあれば、額面10万ドル以上で無いと購入できない社債も存在します。

このため、運用資金が小さい場合は十分に銘柄を分散できない可能性もある点に注意が必要です。

格付け

米国債の格付けは現時点で「AA+」と非常に高いです。

社債の格付けは、それぞれ企業の財務状況によって大きく異なります。中にはマイクロソフトのように米国債を上回る格付けの社債もありますが、数は決して多くありません。
期間

償還までの期間(残存年数)は米国債が最大30年、社債は30年以上のものもあります。

ただし、期間30年以上の債券に投資することは考えにくいため、あまり問題にする必要はないでしょう。

米国債と社債は組み合わせるのがベスト

米国債と社債には、発行体の安全性や最低投資単位、利回りなど、それぞれにしかない特徴があります。

米国債も社債も、ポートフォリオを作るうえで、「投資対象の一つ」にすぎません。

このため両方のメリットを活かし、デメリットを抑えるためには組み合わせることがベストといえます。

なお、次の動画では、ウェルス・パートナー代表 世古口が、自ら保有する米ドル債券のすべてを公開しています。ポートフォリオ設計のノウハウも解説していますので、ぜひ併せてご覧下さい。

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有価証券担保ローンの活用

債券投資において、金利低下に備えるもう一つの選択肢として考えられるのが、有価証券担保ローンの活用です。

有価証券担保ローンとは、債券や株式、投資信託などの有価証券を担保として、証券会社や銀行などの金融機関から資金を借り入れる方法です。

保有する有価証券を担保にするため「借入が容易」「金利が低い」「迅速に借入可能」という特徴があります。

有価証券担保ローンは資金使途が自由なため、再投資(①)を行うことで、債券のレバレッジ運用が可能となります。

例えば、1億円の債券を担保に3,000万円を借入して、合計1億3,000万円で運用すれば、1.3倍のレバレッジ運用ができます。

また、有価証券担保ローンは、借り入れた資金を不動産購入や事業費用など、さまざまな方法で活用(②)することも可能です。

有価証券担保ローンを活用した債券投資については次の動画で解説していますので、ぜひご覧下さい。

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世古口俊介(せこぐちしゅんすけ)
株式会社ウェルス・パートナー代表取締役

2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱東京UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレー証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベート・バンキング本部の立ち上げに参画し同社の成長に貢献、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。
資産数億円以上の富裕層を対象に資産運用コンサルティングを行う。株式や債券、不動産などすべての資産クラスを扱い資産全体を最適化。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者1.4万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」を通して日本の富裕層に資産運用の情報を発信。

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まとめ

冒頭でも触れたとおり、アメリカではまもなく利下げが開始され、今後は段階的な利下げが確実視されています。

このため、債券投資でこれまでと同じ収益を得るためには、適切な戦略を立案し、実践していく必要があります。

ただし、債券投資で適切な戦略を立て、効果的な運用を続けていくには正しい知識と経験が必要です。

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