目次
はじめに
皆さん、こんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。
今回のテーマは、「【2026年最新】富裕層が実践する不動産投資戦略」です。
世古口「今回は、国内不動産の最新情報をアップデートし、富裕層が実践する最適な投資戦略について、当社・不動産投資アドバイザーの中武とともにお伝えしていきます。
2026年の不動産市場は、インフレや金利動向の影響を受けながらも、都心部を中心に底堅い推移を見せています。こうした環境下では、単に「不動産を持てばいい」という時代ではなく、どのエリアのどんな物件を、どんな目的で持つのかという視点がこれまで以上に重要になっています。そこで本記事では、最新の国内不動産市況を踏まえながら、富裕層が実践する不動産投資戦略の考え方を整理します。前編ではまず、市況の見方と投資物件の選び方に焦点を当てて解説します。」
国内不動産市況の最新アップデート
世古口「それでは、まずは不動産の市況から見ていきましょう。都心および主要都市の中古マンションの売出価格、つまり時価の推移データ(2022年〜2026年)を確認します。」
都心中古マンション売出価格の推移

世古口「こちらのチャートは、上から順に、東京都心6区、東京23区、大阪市中心6区、名古屋市中心3区のデータです。過去5年間で価格が上昇傾向にあるのは、東京都心6区も23区全体も共通しています。2026年に入ってからも、東京23区全体としては上昇傾向が続いています。
ここ5年はインフレ傾向が強く、マンション価格全体が押し上げられている状況です。一方で特徴的なのは、23区の中でも特に港区・千代田区・中央区をはじめとする『都心6区』の物件です。世の中の金利上昇の影響を受けたこともあり、2026年に入ってからの価格自体は若干横ばいで推移しています。
現場で実際に不動産を見ている中武さんからして、この都心マンションの価格推移はどう感じられますか。」
中武「データ通り、少しずつ右肩上がりで推移していると感じます。補足すると、このデータはあくまで分譲マンションの価格推移なので、今回のテーマである『投資用不動産』のデータではありませんが、どちらもほぼ同じような価格推移をたどっているイメージです。若干の価格上昇が続いていると捉えて間違いないでしょう。」
分譲マンション賃料の推移
世古口「続いて、2021年~2026年の分譲マンションの賃料の推移を見てみましょう。」

世古口「こちらのチャートは上から順に、東京23区、横浜市、さいたま市、千葉市のデータです。東京23区の1平米あたりの月額単価は、2021年の約4,000円から、直近では5,000円強まで上昇しており、上昇率でいうと10数%に達しています。このあたりの家賃上昇について、現場の感覚はいかがでしょうか。」
中武「かなり強く実感しています。特に入居者の更新時や、2026年3月に入れ替わった物件などは、しっかりと家賃を上げています。今年に入って『東京のワンルームの平均家賃が10万円を超えた』というニュースもちらほら出てくるようになりました。家賃は不動産価格に連動しますが、価格上昇よりも遅れて動く傾向があるため、ここからさらに少しずつ上がっていくのではないかと見ています。」
世古口「日本の法律上、マンションは入れ替えのタイミングに賃料が上がる特徴があるので、基本的には価格を後追いして上昇していく傾向があるのですね。」
中武「そうですね。日本の賃貸は平均して3〜4年ほど住まれる方が多いため、2021〜2022年頃の価格上昇の波が、今になって家賃に反映され始めているイメージです。」
世古口「東京はドラスティックに上がっていますが、一方で神奈川県横浜市、埼玉県さいたま市、千葉県千葉市といった3県の中核都市についても、東京ほどではないものの、堅調に値上がりしているように見受けられますが、いかがでしょうか。」
中武「はい、その通りです。」
世古口「やはり関東圏全体で賃料は上昇傾向にあるということですね。」
ナフサ価格の推移(過去5年)
世古口「もう一つ、不動産価格に影響を与える指標として『ナフサ』の価格推移にも注目しています。ナフサは原油の生成過程で作られる原材料であり、建築資材や修繕に使われる多くの部材のベースとなるため、この価格が上がると建築費や大規模修繕費の上昇に直結します。」
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世古口「2022年~2026年までの過去5年の推移を見ると、2022年のロシア・ウクライナ情勢緊迫化に伴い、ナフサ価格は原油とともに急騰し、建築費や修繕費が一気に上昇しました。その後は一度落ち着いたものの、2026年に入ってアメリカ・イラン間の緊迫化により再び一時急騰し、『修繕費がさらに上がるのではないか』『資材が仕入れられないのではないか』と懸念されました。足元では停戦・緩和の動きによって再び落ち着きを取り戻しつつありますが、このあたりの現場への影響はいかがですか?」
中武「2026年3月頃はどうなることかと心配していましたが、その後価格が落ち着いたので、幸いにも直近の物件価格へのダイレクトな跳ね返りはほぼないという印象です。」
世古口「ここがいったん落ち着いたのは、我々としても一安心ですね。」
不動産市況アップデートまとめ
世古口「ここまでの不動産市況アップデートを以下にまとめました。」
ポイント1)東京23区のマンションは価格・家賃ともに堅調に推移
ポイント2)原油・ナフサ価格上昇により建築費・修繕費は上昇傾向
世古口「高止まりしているものの、直近では急騰自体は一服しています。」
ポイント3)インフレ続行で価格・家賃の上昇は続く見込み
世古口「ここ5年はインフレ率がプラス2〜3%で推移している背景から、不動産価格および家賃の上昇は今後も続く可能性が高いと見ています。このようなインフレ背景があるため、現在、富裕層の方々から当社への不動産投資に関するご相談が多く寄せられている状況です。」
投資物件の選定戦略
世古口「続いて、『投資物件の選定戦略』に入ります。富裕層が検討する一棟不動産を、立地、表面利回り、構造、最低投資金額などの要素から、4つのタイプに分けて見ていきましょう。」

中武「まず1つ目のタイプは『資産性超重視型』です。立地としては千代田区、中央区、港区の東京3区が該当します。表面利回りは3%前後と低く、利回りはほとんど出ません。構造は一棟RCマンションが基本で、金額は最低8億円以上からとなります。利回りの低さや金額の大きさから、投資がしにくいですが、立地が抜群であるため値下がりリスクが極めて低いエリアです。
2つ目のタイプは『資産性重視型』です。新宿区、渋谷区、文京区、目黒区、世田谷区、豊島区、品川区といった東京7区が該当します。利回りは4%前後、構造は一棟RCマンションが基本、金額は4億円以上から投資することが可能です。
3つ目のタイプは『資産性・収益性バランス型』です。東京23区のその他の区がイメージとなります。利回りは4.5%前後となり、構造も一棟RCマンションのほかに一棟鉄骨造マンションなども候補に入ってきます。金額は2億円以上から投資することが可能です。
4つ目のタイプは『収益性重視型』です。23区外の東京都下や、神奈川、埼玉、千葉の3県、あるいは地方の政令指定都市が該当します。利回りは5%以上、実質アパートであれば6%や7%くらいまで出てくる場所もあります。構造としては一棟RCや鉄骨造のほかに、木造アパートなども候補に入り、金額は1億円以上から投資することができます。
『資産性重視型』や『資産性・収益性バランス型』の立地に関しては、駅からの距離や駅自体の利便性やブランド力によって評価が異なるため、一律に区ごとで分けられるものではありません。あくまでも目安としてお考え下さい。」
世古口「わかりました。資産性を求める方ほど上のタイプ、収益性を求める方ほど下のタイプになるわけですが、個人の資産背景も大きく影響しますね。上に行くほど最低投資金額が大きくなるため、ご自身の純資産規模によって投資可能なターゲットが変わってくるのではないでしょうか。」
中武「はい、その通りです。不動産投資は大前提として銀行の融資を利用することが多いため、ご自身の資産背景から乖離している物件には、そもそも融資がつきません。そのため当社では、お客様の状況に合わせて、どのレンジが適切かを我々プロの目からアドバイスさせていただいております。」
世古口「この分類の中で、資産性重視型とバランス型の表面利回りは、赤色で表示されていますが、この点をご説明ください。」
中武「この表を作成したのは約1年前です。その時期と比較すると、若干変化が見られます。直近の金利上昇や建築価格の高騰の影響もあり、見た目の表面利回りは0.1〜0.2%ほどですが、やや低くなってきている傾向にあります。」
世古口「以前は資産性重視型で4%台前半、バランス型で4%台後半が狙えましたが、0.1%~0.2%とわずかですが、利回りが若干落ちているということですね。」
中武「はい。物件価格の上昇に対し、家賃が追いつくまでにタイムラグがあるため、このような利回りになっています。」
投資物件選定戦略まとめ
世古口「ここまでの投資物件選定のポイントをまとめると、以下のようになります。」
ポイント1)インフレ連動性を重視する場合は資産性重視型
中武「資産性重視型に関してはインフレ連動性がかなり高いため、ここを重視される方や、相続税の圧縮効果を求める方に選ばれるケースが多いです。」
ポイント2)インカムゲインを重視する場合は収益性重視型
中武「インカムゲインを重視する場合は、利回りが高く手元にキャッシュが残りやすい収益性重視型が選ばれます。」
ポイント3)インフレ・インカムゲインの両立ならバランス型
中武「インフレ対策とインカムゲインの双方に配慮したバランス型は、いいとこ取りを狙うイメージで、実は最も多くの方に選ばれている印象があります。」
ポイント4)資産性重視型とバランス型の需要が特に高い
中武「特に需要が高いのは都内であれば価格帯が3億円から5億円に該当するバランス型や資産性重視型であり、このあたりのニーズが非常に強くなっています。」
世古口「どのタイプが絶対にいいというわけではなく、資産背景や投資目的、何を求めているかによって最適な物件タイプは変わります。」
ここまで、2026年の不動産市況と、富裕層がどのような視点で投資物件を選定しているのかを整理してきました。
しかし、最適な物件が見えても、それだけで投資成果が決まるわけではありません。次に重要になるのは、金利上昇局面のなかで、どの金融機関をどう使い分け、どの条件で融資を引くかです。後編では、富裕層が実践している最新の不動産融資戦略と運用実例を詳しく見ていきます。