2021
08/19
資産運用入門

世界の富裕層の資産を守り、増やす、「個人のCFO」とも呼ばれるスイスのプライベートバンク。他の国にもプライベートバンクは存在する中で、なぜ世界のセレブは「スイス」のプライベートバンクを信頼し続けるのでしょうか?

今回はスイスのプライベートバンクの歴史や成り立ちを紐解き、その利回りや口座開設に必要な資産額、具体的な口座開設の方法などについてくわしくお伝えします。

なぜ「スイス」のプライベートバンクなのか?

そもそもなぜ富裕層はこぞって「スイス」のプライベートバンクを利用するのでしょうか。
プライベートバンクの歴史や成り立ちを振り返り、その理由を考えてみます。

プライベートバンクの定義

広義の意味のプライベートバンクとは、一般的に最低預入金額が設定されている「一定以上の資産を持つ富裕層」のための資産管理・運用サービスのことです。
元々は最低1名以上の無限責任を負う「プライベートバンカー」がパートナーとして経営に参画している資産管理・運用サービスという狭義の意味で使われていました。そこには、スイスにおけるプライベートバンクの歴史と成り立ちが関わってきます。

スイスのプライベートバンクの歴史と成り立ち

プライベートバンクの起こりは11世紀の十字軍遠征の頃までさかのぼります。

十字軍以降も戦乱が続いたヨーロッパでは、傭兵として戦場で活躍したスイス軍人に富が集中しました。しかし常に戦場に赴き、生死の境を行き来する傭兵たちはお金があってもそれを管理・運用する手立てがありません。

そこでその傭兵たちの資産を管理する管理人があらわれました。それがプライベートバンカー、そしてプライベートバンクの始まりです。

傭兵たちが命をかけて稼いだお金を預かるのですから、傭兵とプラベートバンカーの間には強い信頼関係が必要となります。そこで資産の運用・管理には「無制限の責任を負う」プラベートバンカーが運営する現在のプライベートバンクが成立したというわけです。

「プライベートバンキング」との違い

プライベートバンクとよく似たサービスに「プライベートバンキング」があります。双方とも一定以上の資産を持つ富裕層のための資産管理・運用サービスという点では共通していますが、プライベートバンクがプライベートバンカーを中心とした「私的銀行」という性格が強いのに対し、プライベートバンキングはメガバンクなどの金融機関や証券会社など規模の大きな企業体がサービスを提供する違いがあります。

日本でも三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行といったメガバンクや、信託銀行、大手証券会社などがプライベートバンキングサービスを提供中です。

現在も「プライベートバンカー」を有する「プライベートバンク」は6社

金融機関として規模が大きくなりすぎるとどうしても無限責任を負うプライベートバンカー経営の中心に置くことは難しくなります。
そのため現在でもプライベートバンカーを有する「狭義」のプライベートバンクは以下の6社のみとなっています。

・Bordier & Cie(ボーディエ)
・Rahn + Bodmer(ラン・アンド・ボドマー)
・Baumann & Cie(バウマン)
・E.Gutzwiller & Cie Banquiers.(ガットウィラー・バンカース)
・Reichmuth & Co. Private(ライヒムース)
・Mourgue d’Algue & Cie(モーグ・ダルグ)

スイスのプライベートバンクの利回り

最低でも数億円の資産を預かるといわれるスイスのプライベートバンク。
その運用利回りはどれほどになるのでしょうか。

他国のプライベートバンクとの比較

顧客の秘密保持を第一とするスイスのプライベートバンクでは、具体的な期待利回り(目標とするリターン)は公表されていませんが、おおよそ2~5%前後とされています。

意外と低いと思う方もいると思いますが、これは無限責任を前提とするプライベートバンクの特徴上、保守的でリスクをあまり取らない運用方法を行うためです。

一方でプライベートバンカーを持たないスイス系の商業銀行では3~8%、日系の銀行や証券会社では5~10%程度で運用しているといわれています。もっとも利回りの高いプライベートバンキングが集まるのはアジアの金融都市シンガポールです。

期待利回り17.5%を達成しているプライベートバンクもあるといわれ、税金面でのメリットが大きいこともあり、世界中の富裕層の資産が集まり始めています。

スイスのプライベートバンクで口座開設するにはいくら必要?


プライベートバンクを利用するには一定以上の資産を有することが必要となります。
ではスイスのプライベートバンクで口座開設するためにはいくら必要なのでしょうか。

これについてはいわゆる狭義のプライベートバンクは秘密保持の観点から公表していません。
そこで参考までにスイスの商業系プライベートバンクの金額を調べますと、
・クレディ・スイス・・・5億円以上
・ロンバー・オディエ・・・3億円以上
・UBS・・・2億円以上
・ ジュリアス・ベア・・・非公開
となっています。

日本のメガバンクのプライベートバンキングは、
・三菱UFJ銀行・・・非公開
・みずほ銀行・・・10億円以上
・三井住友銀行・・・5億円以上
としているようです。

スイスのプライベートバンクで口座を開設する方法

プライベートバンクで口座を開設できるのは限られた富裕層のみです。
ではどのようにしたら口座を開設できるのでしょうか。

どの国のプライベートバンクを選ぶのかが大切

プライベートバンクに口座を開設する場合、どの国のプライベートバンクを選ぶかが重要となってきます。なぜなら国によって金融に対する規制や指導方法が異なり、そのことが受けられるサービスに影響を及ぼすからです。

スイスのプライベートバンクがなぜ世界中の富裕層から指示されるかというと、その安全性、確実な運用利回り、絶対的な秘密保持といった点に信頼を置いているからです。では他の国のプライベートバンク(プライベートバンキング)はどうなっているのでしょうか。

まず、中東のシンガポールとよばれ最近では国際金融センターとして注目されている、アラブ首長国連邦の首都・ドバイですが、税制面でのメリットはかなり大きく魅力的な反面金融市場としての歴史が浅く、バンカーとしての人材が育っていないという欠点があります。

次にアジアの国際金融センター香港ですが、現在は中国政府による統制がかなり強くなっており、資産を預けること、また情報の管理に不安が感じられるようになっているというのが実状です。

またアメリカの場合はSEC(証券取引委員会)の権限が大きく、金融をコントロールしているため、自由度が低い傾向にあります。アメリカ国内に資産を持っているだけでスイスのプライベートバンクでは口座開設を断られてしまうケースもあるなど多くのリスクもあります。

以上のことからスイスのプライベートバンクに口座を開設するのがベストという結論となり、世界中の富裕層の資産が集まるというわけです。

プライベートバンクの口座開設の方法

通常の銀行と同じようにプライベートバンクでの口座開設にはいくつかのステップがあります。

①プライベートバンクとコンタクトをとる
コンタクトを取る一般的な方法は、すでに顧客となっている知人からの紹介です。
また紹介をビジネスとしているコンサルタントも存在します。

②事前審査
近年ではブラックマネーのマネーロンダリングが問題となっていることから、口座開設希望者には徹底的な調査、審査が入ります。
資産の状況や資産形成の過程はもちろん、家族構成やさらには精神状態の鑑定まで行うプライベートバンクもあるほどです。

③面談
元々個人的な資産の管理人として発展してきたプライベートバンクでは、信頼関係が最も重要視されます。
そのため事前審査と前後して面談を行います。

④口座開設
面談が終わると個人情報に関する書類の他、誓約書などにもサインをし、口座が開設されます。
契約の期間は特に定められることはなく、契約者の終身、または相続なども含めて長いお付き合いが始まるというわけです。

まとめ

世界の富裕層がスイスのプライベートバンクを重用するのは歴史に裏付けられた「信用」があるからです。

もしご自分の大切な資産を守り、運用していきたいとお考えなら、プライベートバンクを利用している知人やコンサルタントを探してみてはいかがでしょうか。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者14万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

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