目次
はじめに
皆さん、こんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。
本日のテーマは、「会社オーナーが富裕層になれる3つのパターン」です。私が20年の間、会社オーナーや富裕層の方の資産運用をお手伝いしてきた経験から、会社オーナーの方が富裕層になれるパターンをたくさん見てきました。そういったなかで、多くの場合、富裕層になれるパターンは3つに分類されると思っています。今回はそれをお伝えさせていただくことによって、会社オーナーの方の資産形成や、最終的に目標にされる富裕層のイメージのご参考になればと思います。
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会社オーナーが富裕層になれる3つのパターンとは
会社オーナーが富裕層になれる3つのパターンをご説明します。こちらの表をご覧ください。
3パターンが一番上に載っています。1つ目が❝会社蓄財富裕層❞、2つ目が❝会社売却富裕層❞、3つ目が❝会社上場富裕層❞です。大体この3つに分類されると思います。それぞれの富裕層のパターンごとのイメージ、メリット、デメリットをお伝えします。
会社蓄財富裕層
まずは❝会社蓄財富裕層❞から見ていきましょう。イメージは、会社オーナーなので事業会社があり、その事業会社で発生する利益をコツコツと蓄財していきます。毎年、数千万円〜数億円の税引き後の利益、純利益を毎年積み上げていき、純資産を厚くしていって富裕層になるパターンを、❝会社蓄財富裕層❞と勝手に呼ばせていただいています。
事業会社に限らず、事業会社の親会社(兼資産管理会社)に配当で吸い上げて蓄財してももちろん良いのですが、会社蓄財富裕層はこのようなイメージです。多くの会社オーナーの富裕層がこれに分類され、全体の約7割が会社蓄財富裕層なので、一番層が厚い会社オーナーの富裕層といえます。事業会社の利益をコツコツ蓄財している方です。
会社蓄財富裕層の一番のメリットは、会社オーナーを続けながら、その会社のお金を自由にできることです。その他のパターンは、株の一部を売却して一部オーナーではなくなるので、その会社の資金を自由にできません。しかし、100%オーナーの場合は、ほとんどの場合、ある程度会社を自由にできますので、そのようなメリットが会社蓄財富裕層にはあります。
逆にデメリットは、100%オーナー会社の資金とはいえ、あくまで会社に蓄財されたお金ですので、個人では使えない点です。個人のお金ではありませんので、若干不自由な部分はあると思います。また、仮に会社に蓄財された資金がたくさんあったとしても、1%でも他に株主がいると、1%はその株主のお金になります。外部株主や他に株主がいると、不自由なお金になるわけです。自由に使うことができないのでデメリットといえます。これが一番層が厚い、一番多いパターンかと思います。
会社売却富裕層
2つ目が❝会社売却富裕層❞です。最近は会社を売却される方もかなり増えてきました。会社を売却して数億円~数10億円のキャッシュを得て、富裕層になる方は結構増えています。イメージとしては、M&Aでご自身の会社や未上場会社などを、上場会社等の大手の会社に売却して、キャッシュリッチになられた方です。
会社売却富裕層の方は会社を売却していますので、完全に自由なキャッシュと、身軽になり時間をゲットできます。会社売却富裕層の方しか味わえない自由を満喫できるのは、一番のメリットではないかと思います。会社蓄財富裕層ともう一つの会社上場富裕層も、会社のオーナーであり続けながら経営をし続けるという前提ですが、会社売却富裕層の場合は、基本的に会社の株は全く持っておらず、なおかつ、しばらく経った後(引継ぎや統合プロセス後)は経営には携わらないパターンが多いので、完全に自由になるのはメリットではないかと思います。会社から解放されてキャッシュだけ残るという状態です。
デメリットも2つ考えられます。会社の売却代金の金額によっては、それだけではその後の人生を過ごせないという場合も往々にしてあります。例えば、年齢が若い場合、30代から40代で会社を数億円で売却し、その後その数億円でずっと働かずにやっていけるかというと、おそらく難しいでしょう。その場合は、もう一度再戦しなければいけないわけです。また会社を経営したり、どこかで働いたり、業務委託をやったり、そういった必要がありますので、また0から始めなければなりません。
今まで積み上げてきた会社があって、そこから役員報酬を得ている場合は、継続的に安定的に得られます。しかし、会社売却して0になっていますから、また0から事業をスタートしなければいけないので、売却代金の金額次第では、新たに0から起業するような再戦が必要になってくる可能性があります。
2つ目のデメリットもすごく多いのですが、燃え尽きるリスクです。会社の経営者は、会社売却して1回0になりますから、それによって解放されます。今までとても大変で、我が子のように大切にしてきた会社を売却するわけですから、一旦放心状態になるのは無理もありません。
その放心状態が続く方が結構いらっしゃいます。つまり、❝燃え尽きリスク❞です。今までその会社がその人の全てで、全ての時間をコミットしてやってきた会社が一旦なくなったわけですから、当然のことでしょう。
30代・40代である程度キャッシュもあり、数億円~10億円ほどあって、もう一度20代や30代の若いときのように0から始めて、以前と同じような熱量でできるのかといったら、なかなか厳しいでしょう。また0から起業するには、相当な大変さや苦労があります。ですから、燃え尽きてしまうリスクというのは間違いなくあると思います。
では、60代や70代で会社を10億円~20億円で売却できていたらどうでしょう。その後はまた再戦する必要もないですし、仮に燃え尽きたとしても特に問題はありません。しかし、若くして燃え尽きてしまった場合は若干問題があると思います。その後の人生は長いですので、そういったところが会社売却富裕層の方のデメリットではないかと思います。次にやることが決まっている場合や、やりたいことがある場合は良いと思います。
会社上場富裕層
最後が❝会社上場富裕層❞です。創業した会社の創業社長や創業メンバーの方が株を持っており、上場することによって保有している自社株の価値が爆上がりして、莫大な資産価値になるというイメージです。持っている自社株の保有比率によりますが、仮に3%の株を持っている場合、その会社の時価総額が100億円だとしたら3億円になり、10%待っていて時価総額が200億円だとしたら20億円になる、そのような資産家になる可能性があるのが会社上場富裕層です。
この会社上場富裕層のメリットは、「夢と伸び代がMAX」な点です。創業して10年ほどの会社で、時価総額が1000億円、2000億円、5000億円の会社もあります。1000億円の時価総額だとすると、10%保有していたら100億円です。正直、未上場会社の場合、100%自分がオーナーで100億円の会社を作るのは相当厳しいです。また、今は100億円ですが、会社が成長することによって、500億円、1000億円、1兆円になるなど、そのような事例の会社ももちろんありますから、そういった意味で「夢と伸び代MAX」というのは、会社上場富裕層の素晴らしいところではないかと思います。
デメリットの1つ目は「超絶狭き門」です。1年間に東証マザーズ以上に上場してくる会社は100社弱程度で、上場予備軍の会社は1,000社以上あるといわれています。毎年100社が上場するなか、世の中にベンチャー企業などの会社が何社あるかと考えると、「超絶狭き門」、上場できる可能性は相当低いといえます。夢があって伸び代もあるのですが、上場できる確率はかなり低い、よほどうまくいかないとできないというのが現実です。
もう1つのデメリットは上場した後の話です。上場した後、流動性ができますので、一応いつでも売却できるのが建て付けになりますが、意外とこの自社株は簡単に売れません。会社の役員などをやっていると、インサイダーや株価の関係がありますし、上場時の株価が低いとその価格で株を買っている方もいますので、売却しづらいでしょう。他の株主の方が見ているので、そもそも役員の方は簡単には売却できません。ですから、意外と売れない株であるということがデメリットではないかと思います。
会社上場富裕層の方は、会社売却富裕層のように個人のキャッシュリッチというより、株をたくさん持っている富裕層というイメージなので、この株をどこかのタイミングでうまく売却することや、それを担保にお金を借りる(証券担保ローンなど)ことを活用するような一手間が必要になるのが特徴です。ただし、夢と伸び代はMAXなわけですので、素晴らしいと思います。
まとめ
今回のテーマである「会社オーナーが富裕層になれる3つのパターン」をまとめます。ポイントは4つです。
ポイント1)蓄財・売却・上場のいずれかになることが多い
もしかしたら他にもパターンがあるかもしれませんが、私が知っているなかでは、事業会社の利益を蓄財していく❝会社蓄財富裕層❞と、M&Aで売却する❝会社売却富裕層❞、会社を上場させる❝会社上場富裕層❞、この3つのいずれかのパターンが、会社オーナーの方が富裕層になる場合は多いと思います。
ポイント2)蓄財7割、売却2割、上場1割の割合イメージ
蓄財・売却・上場のそれぞれの富裕層のパターンの分布(割合)が大体どれぐらいになるか、これは私の完全に個人的な、今までの20年ほどの経験のイメージですが、会社蓄財富裕層が一番多いです。売却や上場という方はそれほど多くありません。大体7割が会社蓄財富裕層であることが多いと思います。
そのなかで最近増えているのが、会社売却富裕層です。今まで育てた会社を売却するパターンが2割ほどです。会社上場富裕層の方は1割程度かと思います。もちろん既に上場している会社もたくさんあって、その株主の方はいらっしゃるので、そういった方も含まれるイメージにはなりますが、割合として一番少ないのが会社上場富裕層のイメージです。
ポイント3)蓄財パターンで売却も見せるのが現実的か
どのような会社オーナー富裕層を目指すのが一番確率が高く、現実的なのかというと、私が見てきたなかでは、会社に資産を蓄財していく❝会社蓄財富裕層❞のパターンです。この会社蓄財富裕層のパターンから売却も見据えるのが、一番現実的で確率が高い富裕層への道ではないかと思います。
会社を継続していて、安定的に利益が出ている会社であれば、それを基本的に貯めていく方が一番良いと考えています。それを売却してしまうと、その後、その会社の利益を得ることはできませんので、続ける気持ちがあるうちは続け、相続が起こるとか、ご自身の情熱がなくなるとか、そのようなときには売却した方が良い可能性があるので、売却を考えるのが良いかと思います。
また一方で、売却はある程度その会社の状況を整え、市場がどういう状況になっているかを把握しておかなければいけないので、売却する際はやはりある程度の準備が必要です。ですから、売却の準備はしつつ、しっかりと会社に利益を蓄財していくのが一番現実的ではないでしょうか。
ポイント4)最近は上場目指していて売却パターンが多い
最近の傾向として、ベンチャー企業、スタートアップ会社を創業して、最初は上場を目指すケースが多いです。ベンチャーキャピタルなどから資金調達して上場を目指してやっていくのですが、やはり1年で上場できる会社はかなり少なく、100社にも満たないので、上場はかなり難しいことがわかったときに、売却を検討して実際に売却する、そして富裕層になれるというパターンが最近は増えていると思います。
本日は「会社オーナーが富裕層になれる3つのパターン」という内容でお届けさせていただきました。
株式会社ウェルス・パートナー
代表取締役 世古口 俊介
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。
2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者1万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
メディア掲載情報:「m3.com」「ZUU online」「MONEY zine」「マネー現代」でコラムを連載中