超円安時代到来!?新NISAが呼び起こす本当の円安

はじめに

皆さんこんにちは。株式会社ウェルス・パートナー 代表の世古口です。

本日は、「超円安時代到来!?新NISAが呼び起こす本当の円安」というテーマで届けしたいと思います。
いよいよ2024年から新NISAが始まりました。従来のNISAからおよそ3倍と大幅に投資枠が拡大して新NISAが始まったのですが、1月が終わった段階で「どれくらい投資金額が増えたか」というデータが公表されました。

データをみると投資枠が拡大した分、そのままが投資金額として増えており、それ自体は好ましいことだと思います。

ただし、海外投資が増えるということは、円を売って外貨を買うということなので、これが中長期的な円安につながると考えられるため、今回は新NISAが呼び起こすであろう円安の影響について紹介していきたいと思います。

新NISAが円売りを加速させる

「新NISAが円売りを加速させる」ということを表しているのがこちらの統計データです。

この棒グラフは、2022年1月から1ヶ月ごとに、海外のインデックスファンドへNISA枠を使って投資された金額を統計で表したものです。
海外株式インデックスの中で、特に規模が大きい15ファンドに絞った「つみたて投資枠」と呼ばれる枠の投資金額になっており、棒グラフに毎月の金額が載っています。

このグラフをみると、一番新しいデータは2024年1月、新NISAが始まった1ヶ月分まで入っているのですが、2024年1月は投資金額が突出しています。
大体、2022年から2023年までの2年間をならすと、平均で2,000億円くらいの投資金額です。

2024年1月は6,500億円弱くらいの投資金額なので、倍率では大体3.5倍くらいに投資金額が増加していることになります。

このつみたてNISA枠が大体3倍になったので、これまでNISAを利用していた方が、投資額を概ね3倍に増やしている。

また、新NISAが始まったということで、新たに投資を始めた方の投資が寄与して、投資額が増えているとも考えられると思います。

そして、このNISAというのは、積立投資になっていますので、この2024年1月だけで投資額増が終わるのかといえば、そんなことはありません。

積立投資ですから、投資金額の増加した分が毎月同様に増えていく。これがずっと継続する可能性が高いというのがNISAの特徴なので、投資額が増えるごとに基本的には、円を売って外貨を買うという、円売り外貨買いの経済活動が行われるということです。

したがって、中長期的に円を押し下げる、円安に向かわせるという圧力が働いていくということになります。

そして、日経新聞に書いてあった試算によると、仮に海外インデックスファンドなどの年間買い付け金額が毎年約5.2兆円ずつ増えていたとすると、2024年度から2027年までの4年間で、対ドルの円相場を最大で6円も円安に押し下げる効果があるということでした。

4年で6円を押し下げるということなので、単純計算で10年だと15円、20年だと30円、30年で45円も円安に押し下げる効果があるということです。
30年というかなり長い期間ではありますが、今から45円の円安と考えると、1ドル190円台という話になります。

あくまでも、この試算に基づいて為替や金利などの影響がなく、ほかの経済条件に変化がないと仮定した場合は、このように1ドルが190円台という時代も中長期的にはあり得ると考えた方がよいと思います。

日本人の金融資産構成

それから、元々の話ではあるのですが、円安になりやすい理由が分かりやすく表れているのが、日本人の金融資産構成です。

これは、日本銀行の資金循環統計に載っているデータ、つまり公に公表されてるデータなのですが、日本人個人の純資産が概ね金額で2,022兆円あります(①)。
このうち現預金が1,109兆円(②)、純資産の中で(外貨ではない)円資産が1,960兆円(③)もあります。

これは、純資産に対する構成比率で言うと97%ということですから、日本人の金融資産の97%は円資産で、外貨資産は3%しかないということです。

何が言いたいかというと、「円売りの伸びしろがたっぷりある」ということです。

円売り外貨買いの伸びしろが半端ではないということです。例えば、現在では円資産の構成比率が97%ですが、10%減ってその分が外貨投資にまわったとしても、まだ構成比率としては87%にすぎません。まだまだいけるはずです。

では、円資産が10%減った時の金額といえば、200兆円くらいということになります。

200兆円くらいの円売り外貨買いの取引をされる可能性があるわけです。

それでもまだ87%残っていますから、仮に円資産が20%減ったとしても77%残っているということです。

そして20%の円資産が減ったとすると、400兆円の円売りになっているわけですので、200兆円や400兆円の円売りがされ、円安に動いたとしても、まだ70何%という円資産が残っているということです。

このような訳で、やはりまだまだ外貨に投資される可能性があるという「伸びしろ」が日本人の金融資産構成に表れています。

したがって、日本人の金融資産構成をみると、先ほどのNISAの投資増と相まって、まだまだ円売り外貨買いによって、中長期的には円安につながる理由の1つになっていると思います。

まとめ

それでは今回のテーマ「超円安時代到来!?新NISAが呼び起こす本当の円安」について、まとめていきたいと思います。

新NISAの海外積立投資でジワジワ円売り圧力

まとめの1つ目は、新NISAの海外積立投資でジワジワ円売り圧力になっていくだろうということです。

これは突発的な円安ではありません。NISAは、基本は積立だと思うので、ジワジワとボディーブローのように効いてくる円売り圧力、円安というのが、このNISAの影響による円安といえると思います。

したがって、こういう円安圧力に関しては、2024年だけとか来年とかだけという短期的ではなく、中長期で見ていく必要があって、5年とか10年とか本当に20年とか30年とか、それくらいの目線で考えていくと、確実に円売り圧力になって、海外投資が円安の方向に向かわせるのは間違いないのかなと思います。

円資産97%なので円売りの伸び代しかない

まとめの2つ目は、伸びしろの話です。円資産が97%ですので、円売り外貨買いの伸びしろしかないわけです。

ここから3%の外貨を売って円高にするといっても、たかだか3%なので、日本人の場合は、明らかに円資産の97%を売って外貨を買うという経済活動が多くなる可能性が高く、伸びしろしかないという話です。

特に海外投資、日本人の個人の金融資産からの海外投資が円売り、円安につながる可能性が高いということがいえるということです。

アナウンスメント効果で突発的な円安の可能性も

3つ目です。「突発的な円安はない」とお伝えしたのですが、アナウンスメント効果によって急速な円安という可能性は一部あるのかなと思います。

円を売って海外投資をする。このような、実際のNISAの投資活動によって、ジワジワ円安になっていくのが通常の円安効果です。
アナウンスメント効果とは、そういうものを織り込み「日本人はNISAに投資をしている」「海外投資が進んでいく」ということを見越して、海外の投資家や投機筋、トレーダーなどが、先回りして円を売り外貨を買うようなことをいいます。

やはり、海外投資家の方は新NISAに注目しており、このようなアナウンスメント効果によって、突発的な円安になるという可能性は、一部考えられると思います。
日本人のほとんどの資産が円資産で、なおかつ新しいNISAが始まって、海外投資がどんどん進んでいく。

これを分かっていて注目しているわけなので、そういった円安圧力を見越して、円売り外貨買いが先行して行われる可能性があるため、突発的な円安につながる可能性があるのかなと思います。

10年で15円、20年で30円の押し下げ試算も

最後の4つ目です。これは、どうなるかわからないですし、あくまで「そういう試算もある」という話になります。

ある試算結果から、年間で5.2兆円の海外投資の買い付けあったとすると、10年間で15円、20年で30円もドルに対して円安に、日本円を押し下げる可能性があることは、理解しておいた方がよいと思います。

これは、あくまでも年間の買い付け枠が5.2兆円ということで、巡行速度でもそれくらいいくと思いますので、新NISAがもっと広まり、NISAを使った投資が増えれば、買い付け額はもっと増えて、倍くらいになる可能性も十分あると思います。

したがって、そういった試算よりもドル高円安になっていく可能性も十分あるのかなと思います。

現状の試算においても、10年後は1ドル165円、20年後は1ドル180円とされており、NISAによる海外投資の効果だけでこれほどの円安になりますので、ほかの理由と相まると、もっとドル高円安に動いていく可能性が十分にあると考えています。

今回は、「超円安時代到来!?新NISAが呼び起こす本当の円安」という内容をお届けしました。

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