目次
はじめに
富裕層の方が資産を最大限に生かした「レバレッジ投資」を可能とする方法に「証券担保ローン」があります。保有する有価証券を担保に、柔軟な資金調達を可能にするこのサービスでは、金利や返済条件など、商品を比較することが重要な決断基準となります。
本記事では、証券担保ローンの基本からメリット・デメリット、賢い選び方、そして主要証券会社のサービスを徹底比較します。ぜひ、最適な証券担保ローンを見つけ、効率的な資産運用を目指してください。
証券担保ローンとは?基礎知識から解説
証券担保ローンとは、株式や債券などの有価証券を担保にして、金融機関から資金を借りる仕組みです。
証券担保ローンは、株式や債券を売却せずに資金が調達できるため、引き続き株主としての権利を行使したり配当金、利息を受け取ったりすることができます。
証券担保ローンは、保有する有価証券を担保にするため手続きは簡単で、最短で当日または翌日に借入可能です。ただし、借入可能な金額は、有価証券の種類と金融機関により異なります。
ローンの種類と特徴
証券担保ローンとは、株式や債券などの有価証券を担保として融資を受けるローンです。他の無担保ローンと比較して、低金利での借入が可能な点が特徴ですが、有価証券の価格変動リスクを考慮する必要があります。また、返済条件は金融機関によって異なるため、融資額や担保評価額、金利などをしっかり比較して選ぶことが重要です。
利用するメリットとデメリット
証券担保ローンのメリットは、資産を売却せずに資金を調達できる点や、金利が一般的な無担保ローンに比べて低い点です。しかし、デメリットとして、市場変動により担保価値が下がった場合、追加担保を求められたり、場合によっては強制売却される点があります。証券担保ローンを選ぶ際は、これらのメリットとデメリットを総合的に考慮することが重要です。
証券担保ローンの選び方
証券担保ローンを選ぶ際は、金利や返済条件、サービスの充実度を慎重に比較・検討することが重要です。
より条件に合った証券担保ローンの選択は、将来的な財務負担を軽減し、安心してローンを利用するための基盤を作ります。適切なローン選びは、あなたの資産運用戦略における重要な一歩となるでしょう。
金利の比較で見るべきポイント
証券担保ローンを選ぶ際、金利の比較は必要ですが、単に金利の低さだけを追求するのではなく、借入期間や返済時期から金利負担額を比較することが重要です。証券担保ローンの金利には固定金利と変動金利があり、経済状況によって後者の支払い額が変わる可能性があるためです。さらに、金利以外の手数料やコストも負担を大きく左右します。従って、総合的な視点でローンの条件を比較し、長期的な返済計画に適した選択をすることが肝心です。
返済条件を理解する
証券担保ローンを選ぶ際、返済条件を確認することが重要です。返済方法は、自由返済方式や元利一括返済方式があるので、自分の利用方法に合った返済条件を選ぶ必要があります。予期せぬ負担を避けるためにも、細かい条件を比較し、理解することが重要です。
サービスの充実度で選ぶ
証券担保ローンの選び方を考える際、サービス充実度は大きな判断材料となります。
「全国対応か」「Webで手続き可能か」「来店の必要があるか」はもちろん、サポート窓口の対応状況も大きなポイントになります。
ことが望まれます。
主要証券会社の証券担保ローン比較
主要証券会社が提供する証券担保ローンを比較する際、重要なポイントは金利、担保となる証券の範囲、担保掛目(LTV)です。例えば、大手証券A社は低金利を売りにしている一方で、B社は担保にできる証券の種類が豊富です。また、C社は追加融資の手続きの容易さで選ばれることが多いです。金利比較では、金利の低さだけでなく、固定金利か変動金利かも重要な判断材料となります。また、担保掛目(LTV)は、担保種類や金融機関によって異なります。担保掛目(LTV)によって借入可能な金額が異なるので、事前に比較しておくことが大切です。
なお、証券担保ローンはおもに、日本の証券会社と外資系プライベートバンクが取り扱っています。それぞれの特徴を比較してみましょう。
日本の証券会社の証券担保ローン
日本の証券会社の証券担保ローンは、担保のメインが日本株という特徴があります。
シングルストックローン(1銘柄の株式を担保にしたローン)に強い証券会社もあるため、売却できない自社株を持っている富裕層の方におすすめです。
外資系プライベートバンクの証券担保ローン
外資系プライベートバンクの証券担保ローンは、担保にできる金融商品の幅が広いという特徴があります。
このため、さまざまな資産に分散投資している方におすすめできます。
ただし、担保のリスク判定に厳しく、シングルストックの証券担保ローンに弱いという欠点もあるので、取扱い可能な担保種類に注意が必要です。
証券担保ローン利用時の注意点
証券担保ローンを利用するためには、次の通りいくつかの重要な注意点があります。
・リスク管理の重要性を理解する
・金利変動がある点に注意する
利用目的を明確にする
証券担保ローンは、原則的に資金使途が自由です。ただし、借入である以上、やみくもに利用する訳にはいきません。
利用目的を明確にすることで、必要な金額や返済計画を具体化することが大切です。
リスク管理の重要性を理解する
証券担保ローンには、担保価値の変動リスクや流動性リスクがあるため、リスク管理の重要性を理解することが大切です。
まず、有価証券の価格は市況や企業の業績に影響を受けるため、担保価値の変動リスクがある点に留意しましょう。有価証券の価格が大きく下落して担保価値が減少すると、追加担保が必要となる可能性があります。
同時に、担保価値が下落した場合、担保を売却して借入を返済せざるを得ないケースも考えられます。このため、早く換金できるように流動性の高い資産を持つ必要があります。
金利変動がある点に注意が必要
変動金利型証券担保ローンの場合、借入金利は日本の政策金利(短期金利)に連動して変動する点に注意が必要です。
国内ではマイナス金利解除によって、今後は金利が上昇する可能性があります。
金利上昇は、証券担保ローンのリスクそのものといえるため、金利情勢については注視していく必要があります。
これらを踏まえ、証券担保ローンを利用する際は、自分の資産状況に適切な融資プランを選択し、リスク管理を徹底することが求められます。
申込みから融資実行までの流れ
証券担保ローンを利用する際、まず重要なのは各金融機関の条件を比較し、最適なローン会社を選ぶことです。
また、申込にあたっては、事前に必要書類を用意するとともに、審査から融資までの流れをつかんでおくことが大切です。
必要書類と申込手続き
証券担保ローン申込時の必要書類は、金融機関によって異なります。
運転免許証など本人確認書類のほか、所得証明書類が必要な場合もあるため、事前に用意しておきましょう。
また、申込方法も証券会社や商品によって異なります。Webで申込から融資まで完結可能な場合もあれば、対面での申込が必要な場合もあります。
審査のポイント
証券担保ローンの審査では、担保となる有価証券の信用力や流動性がポイントになります。
証券担保ローンは原則として資金使途は自由ですが、金融機関によっては事業性資金として利用できないなど、資金使途に制限がある場合もあります。
また、金融機関によっては返済計画が審査されることもあります。
融資実行までの時間
証券担保ローンの融資実行までの時間は金融機関によって異なります。
最短、当日融資実行可能な金融機関もありますが、翌日以降の融資となる場合が一般的です。
また、金融機関に有価証券を預ける必要がある場合は、融資実行まで数日程度必要になる場合もあります。
証券担保ローンの活用事例と戦略
証券担保ローンは原則として資金使途が自由であるため、さまざまな活用方法があります。
ここでは、富裕層の方々の資産運用に関する次の活用事例と戦略について紹介します。
・不動産投資への活用
・分散投資への活用
レバレッジをかけた資産運用
証券担保ローンは、借り入れた資金を再投資にあてることができます。つまり、レバレッジをかけた資産運用が可能になります。
例えば、1億円の外国債券を保有している場合、証券担保ローンを利用して5,000万円を調達し、再投資すれば1.5倍のレバレッジ運用が可能となります。
不動産投資への活用携
証券担保ローンは、不動産投資に活用することも可能です。
通常、賃貸マンションやアパートへ投資する場合、銀行のアパートローンを利用しますが、証券担保ローンを利用して資金調達した場合は、担保物件への抵当権設定が不要であるほか、審査に通りやすく、返済条件に自由度があるなど、さまざまなメリットがあります。
また、アパートローンを利用する場合、通常2割〜3割程度の頭金が必要となりますが、頭金の調達方法として不動産担保ローンを活用することも可能です。
分散投資への活用
証券担保ローンは、分散投資へ活用することが可能です。
例えば、国内株式を保有している場合、国内株式を担保にして資金を調達し、外国債券を購入するといった活用ができます。
なお、外国債券は国内株式と異なる値動きをするため分散効果が高く、インカムゲインを得られるというメリットがあります。また、外貨資産であるため、保有することで外貨比率を高め、円安リスクに備えることが可能です。
証券担保ローンの将来性
証券担保ローンはネット証券による取扱いが増えたことにより、取扱い金融機関や商品、利用者が増加傾向にあります。
また、これにより各金融機関が特徴・メリットのある商品を提供するようになり、証券担保ローンはますます利用しやすいサービスとなっていくでしょう。
特に、富裕層の方々にとって、証券担保ローン利用によるレバレッジを効かせた資産運用は、大きな魅力といえるのではないでしょうか。
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株式会社ウェルス・パートナー
ポートフォリオマネージャー
早稲田大学国際教養学部卒業後、大和証券株式会社へ入社。富裕層と会社経営者を中心とした資産運用のコンサルティング業務に従事。顧客の資産全体の最適化や会社経営者への相続対策まで支援をしたいという思いがあり、株式会社ウェルスパートナーに入社。