2020
12/14
資産運用入門

はじめに

レバレッジ型ETFは大きな利益を狙えますが、思惑と反対にいった場合に大きな損失になるリスクがあります。とくに2020年春からの日経平均株価の上昇によって、レバレッジ型ETFの空売りで大きな損失をだしている投資家が増えています。この記事では、レバレッジ型ETFの特徴と、取引する際に気をつけるポイントについて解説します。

レバレッジ型ETFとは

レバレッジ型ETFとは、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などの指数の日々の値動きに、一定の倍率を掛けて算出されるレバレッジ型指標に連動する商品。たとえば、日経平均ブル2倍上場投信(銘柄コード:1579)は、日経平均株価の値動きに対して日々2倍の値動きをするように設計されています。

レバレッジ型ETFは、市場が予測通りに動けば大きなリターンを得られます。しかし、予測を外した場合は大きな損失を被る可能性があるので、リスク管理をきちんとする必要があります。

レバレッジ型ETFは株価急変の原因にもなる

レバレッジ型ETFは、個人投資家の人気を集めています。基準となる指標が日経平均株価やTOPIXといった指数なので値動きがわかりやすく、短期間で高い利益を得られる可能性があるからです。

ただ、値動きが期待通りに動かなければ、大きな損失をだすリスクがあります。そして、レバレッジ型ETFが株価の急変動をもたらす原因になっているともいわれているのです。

たとえば、日経平均株価に連動することを目指すレバレッジ型ETFは、日経225先物に投資します。レバレッジ型ETFは、東証1部の売買代金ランキングでも上位に入っており、NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ上場投信(1570)は売買代金トップになることも珍しくありません。

レバレッジ型ETFの分だけ証券会社は日経225先物を購入しており、マーケット動向に影響を与えることもあるのです。

中長期では株価の騰落率と連動しない

日経レバレッジ型ETFは、日経平均レバレッジ・インデックスの値動きに連動することを目指して運用されています。日経平均レバレッジ・インデックスは、日経平均株価の2倍の騰落率で動くように設計されていますが、あくまでの日々の騰落に対してであり、複数の日に対する騰落率は、必ずしも日経平均株価の2倍とはなりません。

ですから、中長期で日経平均レバレッジ型ETFを保有していても、指数の2倍のパフォーマンスを下回る可能性があるのです。レバレッジ型ETFはリスクも高いので、あくまでも短期の取引を検討するようにしてください。

レバレッジ型ETFに巨額の逆日歩

レバレッジ型ETFでは、信用取引も可能です。今後、日経平均株価が下落すると考えた場合、日経平均レバレッジ型ETFを空売りすることもできるのです。ただし、空売りは通常の現物買いよりもリスクが高いので注意が必要。

現物買いは最悪でも株価がゼロになるだけですが、空売りの損失は無限大だからです。2020年11月6日に日経平均株価は24,389円まで上昇し、29年ぶりの高値を更新しました。

11月4日からの日経平均株価の上昇幅は、3日間で1,030円。弱気ポジションを組んでいた投資家は、買い戻しを迫られました。買い戻しの動きは、レバレッジ型ETFにも表れています。

「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(1570)」の貸株残高は、4日と5日に急増しました。貸株残高とは、証券会社が空売りしている投資家に貸し付ける株式のことです。

多くの個人投資家が日経平均株価の下落を見越してレバレッジ型ETFを空売りしましたが、日経平均株価は29年ぶりの高値を更新。個人投資家はレバレッジ型ETFの空売りを積極的にしていたので、買い戻しを迫られることになったのです。

空売りをする場合、株を借りるコストである品貸料がかかります。6日には品貸料が1日当たり約0.7%、年間で240%に高騰しました。

もともとリスクの高いレバレッジ型ETFですが、空売りによって大きな損失を被った投資家が多かったのです。

インバース型ETFを利用する

レバレッジ型ETFの空売りは、損失が無限大であることや品貸料がかかるので、投資初心者が取引するのは危険ですし、信用口座を開設する手間もかかります。株式市場が下落すると考えた場合は、インバース型ETFを利用した方がいいでしょう。

インバース型ETFとは、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などの原資産の日々の値動きに、負の一定倍率(-2倍や-3倍など)を掛けて算出されるインバース型指数に連動する商品。原資産とは逆の動きになるように設定されていて、たとえば、日経平均ベア2倍上場投信(1360)なら、日経平均株価の値動きに対して日々-2倍の値動きになるように設計されています。

ですから、日経平均株価やTOPIXが値下がりすると考えているときは、インバース型ETFを購入しておけば利益を狙えます。そして、レバレッジ型ETFの空売りのように品貸料や逆日歩はかからないというメリットがあるのです。

まとめ

レバレッジ型ETFは、うまく取引すれば大きな利益が狙えます。ただし、期待通りの値動きをしなければ、大きな損失をだす恐れがあります。とくに、レバレッジ型ETFの空売りには注意が必要です。

保証金以上の損失が発生する可能性があるからです。取引する際はリスク管理をきちんとするようにしましょう。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者3万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

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