2020
07/03
不動産

はじめに

個人事業主の方にとって、生命保険はサラリーマンよりもはるかに重要なものです。自分に万一のことがあったら事業が回らなくなり、生活をしていけなくなってしまいます。

また、個人事業主は適切に税金を支払うために、「経費」に対する知識を正しく身につける必要があります。

基本的に個人事業主は、事業に関係する費用については、ほとんど経費として計上することが可能です。

その中には一部の税金や損害保険などの保険料も含まれており、支払っていれば経費になります。

では、生命保険の保険料はどうなのでしょうか。

1.個人事業主の生命保険料は経費にできない

生命保険は事業を行っている自分自身を守るものなので経費にできる、と考える人もいるのではないでしょうか。

しかし、結論からいうと、個人事業主自身や、その家族を被保険者とした生命保険の保険料は経費にすることは出来ません。あくまでプライベートな支出として扱われるのです。

一応、個人事業主の場合は生命保険料控除制度により、特定の保険であれば支払った保険料が所得から控除されます。

しかし、生命保険料控除制度は所得税・住民税それぞれに控除額の上限が定められており、上限を超えるような保険料を払っていた場合、その分が控除に入りません。

これが法人になると話は別です。法人向けの生命保険には、一部または全額を損金に計上できるものがあります。

つまり、生命保険を経費にしたいなら、法人化する必要があるということですね。

法人化すると税金対策やお金の積立等において、保険活用の幅が一気に広がります。

2.個人事業主の生命保険料を経費にする方法

上記で述べましたが、個人事業主は原則として生命保険料を経費にすることは出来ません。

しかし、一部例外があります。それは従業員に対して保険をかけた場合です。

従業員に対する一部の保険は、福利厚生費と見なされるため、経費計上ができます。

(1)掛け捨て型保険で被保険者が従業員の場合

定期保険や収入保障保険などの掛け捨て型の保険で、被保険者が従業員の場合であれば、生命保険料を福利厚生費として経費にすることが出来ます。

この場合、受取人については、契約者である事業主か従業員の家族のどちらかを選ぶことが出来ます。

もし従業員に万一のことがあった時、受取人が事業主の場合は保険金を事業の収入として受け取ることになります。

基本的には従業員の遺族に対する死亡退職金として支払うことになると思いますが、何らかの理由で手元に残す場合、その年度の所得税が高くなりますので注意が必要です。

受取人が従業員の家族の場合は、家族への相続財産となります。

(2)従業員の退職金積立に保険を利用する場合

養老保険などの積立式の生命保険を活用し、満期保険金を従業員の退職金に充てる場合も、保険料を福利厚生費として計上できます。

退職金確保のための保険運用となるため、満期保険金の受取人は当然、契約者である事業主となります。

その上で、死亡保険金の受取人を誰にするかによって、経費にできる金額も変わってきます。

死亡保険金の受取人が事業主である場合、保険料は全額「資産」として扱われるため、経費に計上することが出来ません。

但し、死亡保険金の受取人が従業員の家族である場合、従業員の家族が受け取る死亡保険金を福利厚生として積み立てると見られます。したがって、福利厚生費として保険料の1/2を経費にすることが出来ます。

基本的には死亡保険金の受取人を事業主にするということはありません。したがって、退職金の積立に養老保険などを利用する場合は「保険料の1/2を経費にできる」と覚えておくと良いでしょう。

3.まとめ

ここまで個人事業主の生命保険料が経費になるかどうかについてご説明してきました。

基本的に個人事業主の生命保険料は経費にすることができません。その代わりに生命保険料控除制度によって税金控除を受けることが出来ます。しかし、控除額には上限があります。

もし様々な生命保険に加入しており、どうしてもその保険料を経費にしたいというのであれば、法人化するのがおすすめです。

法人化することで、法人専用の生命保険に加入することが出来るようになり、そういった保険を活用することで、保険料の一部、もしくは全額を「損金」として計上することができます。

例外として、従業員を雇っていて、その従業員に特定の生命保険をかけている場合は、個人事業主でも保険料を経費にすることが可能です。この場合、保険料は福利厚生費として扱われます。

もし従業員全員に、福利厚生として特定の保険をかけていた場合は、事業主やその家族の保険料も経費にすることが可能です。ただし、個人事業主で家族以外の従業員を雇うということもあまりないと思います。

どうしても生命保険料を経費にしたいのであれば、法人化するしかありません。法人化すると、保険料以外でも税金面で有利に働くことが多いので、是非一度検討してみてください。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者14万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

<ご注意事項>

  • 当社の所属金融商品取引業者等は株式会社SBI証券、東海東京証券株式会社、エアーズシー証券株式会社です。
  • 当社は所属金融商品取引業者等の代理権は有しません。
  • 当社はいかなる名目によるかを問わず、その行う金融商品仲介業に関して、お客様から金銭および有価証券のお預かりを行いません。
  • 各商品等へのご投資には、商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。

[金融商品仲介業者]

商号等:株式会社ウェルス・パートナー

登録番号:関東財務局長(金仲)第810号

[所属金融商品取引業者]

商号等:株式会社SBI証券

金融商品取引業者 登録番号:関東財務局長(金商)第44号、商品先物取引業者

加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本STO協会、日本商品先物取引協会

商号等:東海東京証券株式会社

金融商品取引業者 登録番号:東海財務局長(金商)第140号

加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人日本STO協会

商号等:エアーズシー証券株式会社

金融商品取引業者 登録番号:関東財務局長(金商)第33号

加入協会:日本証券業協会

ご相談はこちらから
お名前*
お名前カナ*
メールアドレス*
電話番号*
第一希望日*
ご希望のお時間*
第二希望日*
ご希望のお時間*
面談場所*
ご相談を希望するアドバイザー
当日は代表の世古口が同席する場合がございます。
大まかな保有資産額を教えてください。*
ご年収を教えてください
当社を知ったきっかけ*
ご相談内容
利用規約*
上記でご入力いただいた内容は、当社からの連絡や情報提供などに利用するためのもので、それ以外の目的では使用いたしません。
また、その情報は、当社以外の第三者が利用することはございません。(法令などにより開示を求められた場合を除きます)
詳しくは、個人情報規約をご覧ください。
https://wealth-partner-re.com/policy/