2020
04/01

はじめに

IPOとは、「Initial Public Offering」の略で、未上場企業が新規に株式を証券取引所に上場することをいいます。IPO株は、多くの銘柄が上場時に値上がりし、比較的簡単に利益がでるので、個人投資家にも人気があります。

また、通常の株取引ほど知識や手間が必要ないので、投資初心者にもおすすめの投資手法です。この記事では、IPO株の仕組みや始め方について解説します。

IPOとは

通常は、証券取引所に上場している企業の株しか買えませんが、IPO株は違います。これから上場する未上場企業の株を買い、上場した日に初値で売って利益を狙うこともできるものです。もちろん、必ずしも初値で売る必要はありません。上場後も保有して値上がり益を狙うことも可能です。ただし、上場後の株価は上下に乱高下する傾向にあるので、最初は初値で売却することを検討した方がいいでしょう。

IPO株を手にするための方法

IPO株を手に入れる流れは証券会社によって異なりますが、一般的には以下の通りです。

証券会社に口座を開設
IPO投資の資金を用意する
IPO株の銘柄情報をチェックする
抽選に応募(ブックビルディング)
当選したらIPO株を購入

ブックビルディング方式とは

IPOにおいては、ブックビルディングが抽選突破への登竜門となり、事実上の申し込みになります。主幹事証券会社はIPO企業の財務や業績を調査し、類似企業との比較や証券会社へのヒアリングを重ねながら目安となる価格帯を設定します。これを「仮条件」といいます。

そして、投資家はブックビルディングに参加します。たとえば「1,000円~1,200円」の仮条件だった場合、この範囲内で購入を希望する値段で需要を申告するのです。人気が高い銘柄であれば上限の1,200円で公開価格が決まりますし、人気がない銘柄なら下限の1,000円に近づきます。投資家の反応を探る一種のオークションだといえるでしょう。

ただし、最近は IPOの人気が高いので、仮条件の上限で決まるケースが多くなっています。

IPO株のメリット

高い確率で利益がでる

2019年の国内の IPO は前年より4社少ない86社。株価がついた85社のうち初値が公開価格を上回ったのは75社、下回ったのが9社、同じだったのが1社でした。初値でみた2019年のIPOは「75勝9敗1分」けでした。勝率は88%にもなり、高い確率で利益がでていることがわかります。初値ベースの勝率は、2018年とほぼ同じでした。

ただし、毎年必ず高い勝率になるとは限りません。リーマンショックが起こった2008年の勝率は50%を割り込んでいますし、IPOの件数も翌年にかけて大きく減りました。マーケット環境を見極めることも大切です。

少ない資金で投資できる

銘柄にもよりますが、IPO株は通常の株式と比べると一株当たりの価格が低く設定されています。市場で買うのに資金が足りなくても、IPO株なら買える可能性があるのです。また、ブックビルディングに申し込むだけなら、資金がいらない証券会社もあります。

IPOのデメリット

損失になることもある

IPO株を初値で売却すれば利益を得られる確率が高いものの、ときには公開価格を下回ることもあります。あくまでも株式投資なので、元本が保証されているわけではないという点に注意が必要です。

以下のような点に注意してからブックビルティングに申し込むようにしましょう。

赤字企業はなるべく避ける

IPOではベンチャー企業も多いので、現在の業績よりも将来の成長性が評価されます。それでも、赤字企業の場合は公募割れの恐れもあるので、きちんと事業内容と将来性を確認してから申し込むようにしましょう。

新規公開株数が多い銘柄は注意

ブックビルディングを申し込むときは、目論見書を確認するようにします。目論見書には、公開株数も記載されています。公開株数が多すぎると、初値で売る人が買う人よりも多くなり、値が下がってしまう場合もあるので注意が必要です。ほかのIPO銘柄と比べて極端に公開株数が多い銘柄は、なるべく避けるようにしましょう。

当選確率が低い

初値で売却すれば利益になる確率が高いので、IPO株は人気があります。そのぶん、当選確率は低くなっています。注目が高い銘柄では数百倍もの倍率になることもあり、簡単にIPO株を手に入れることはできません。

そのためには、以下のようなことを行い、当選確率を上げる必要があります。

主幹事証券で申し込む

未上場企業がIPOをして上場する際、支援業務を行う証券会社を「幹事証券」といいます。通常、4~7社程度が幹事証券になりますが、そのなかでも中心的な役割を果たすのが「主幹事証券」です。

主幹事証券は、IPOの引受数も多くなりますので、個人投資家への割り当て株数も多くなります。IPO株を手に入れたい場合には、まず主幹事証券から申し込むようにしましょう。

資金をできるだけ準備して、複数の証券会社から申し込む

当選確率を上げるためには、主幹事証券だけでなく幹事証券にもブックビルディングを申し込むようにしましょう。複数の証券会社で申し込むためには、ある程度の資金が必要になります。ただ、ブックビルディングだけなら資金が必要ない証券会社もあります。

まとめ

今回は、IPO株のメリット・デメリットと、申し込みの注意点について解説しました。IPO株を手に入れることができれば過去の実績では高い確率で利益が出ているようですが、元本が保証されているわけではありません。企業業績や公開株数などを目論見書で確認するようにしましょう。

また、人気の高い銘柄は倍率も高くなるので、主幹事証券で申し込んだり、複数の幹事証券で申し込んだりするなどして当選確率を少しでも上げるようにするようにしましょう。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者14万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

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