目次
はじめに
IFA(Independent Financial Advisor)は、独立系ファイナンシャルアドバイザーとも呼ばれ、特定の金融機関に属さず、独立した立場で顧客の資産運用をサポートする職業です。この記事ではIFAの実態とメリット・デメリット、今後の課題について解説します。
IFA(資産運用アドバイザー)とは?
IFAは「Independent Financial Advisor」の略で、「独立系ファイナンシャルアドバイザー」または「金融商品仲介業者」と呼ばれます。IFAは特定の金融機関に属さず、独立した立場で顧客の資産運用のサポートをする職業であり、組織に縛られずにアドバイスを行えることが特徴です。
IFAは、全員が金融商品仲介業者として登録されており、その登録には証券会社との業務委託契約が必要です。ただ、IFAの業務委託契約先数には制限がなく、複数の証券会社と契約を結ぶことができます。
そして、IFAと証券会社は協業相手として扱われ、販売方針を指示されることはありません。IFAは証券会社と契約しながらも、経営の独立性を維持しているため、「独立系ファイナンシャルアドバイザー」と呼ばれているのです。
IFAは2004年4月の「証券仲介制度」の施行によって証券界で普及し、欧米では税理士と並ぶ地位を確立しています。
IFAの市場
IFAである金融商品仲介業者の外務員の数は、増えています。日本証券業界の「協会員の従業員数」によると、登録外務員数は6,237人(2022年12月末時点)となっており、2013年12月末時点の3,119人から約2倍になっています。
また、日本経済新聞によると、IFAが顧客に仲介する株式や債券、投資信託などを提供する主要金融機関(SBI証券、楽天証券、PWM証券、エース証券、東海東京証券)のIFA経由の預かり資産残高は、2020年5月末時点で約2兆円となっています。
FAを利用してのメリット
IFAを利用するメリットについて解説します。
中立的なアドバイスを受けられる
IFAと証券会社の営業員の違いは、アドバイスの中立性にあります。証券会社の営業員は、自社の利益やノルマを考慮しなければならず、顧客にとって最適な提案をするとは限りません。一方のIFAは、証券会社と業務契約を結び、独立した立場で顧客にとって最適な提案やプランニングが可能です。
また、IFAの前職は証券会社であることが多いので、証券会社の営業員と比較してもスキルや能力に遜色はありません。そして、組織や商品に縛られず、自己裁量で顧客をサポートすることにやりがいを感じているIFAも多いのです。
豊富な金融商品
IFAは複数の証券会社と業務委託契約を結ぶことができ、さまざまな金融商品について仲介が可能です。これは証券会社の営業員とは異なる大きなメリットです。
また、複数の証券会社から情報を得て知識を得られる点も、IFAにとって大きなメリットです。IFAが常に最新情報を持ち、複数の証券会社の情報を取り入れることで、より多様で質の高いアドバイスを提供することができます。
また、IFAにはコスト面でのメリットもあります。人件費や家賃のコストが圧縮でき、提携証券会社のシステムを使うためメンテナンス費用がかからないため、低コストでの経営が可能です。そのため、高い営業ノルマを課す必要性がなく、顧客に寄り添った提案を実現しやすい環境が整っているというメリットもあります。
IFAを利用してのデメリット
IFAは銀行や証券会社などの金融機関に比べると規模が小さくなります。ですから、IFAに資金を預けることに不安を感じる人もいるかもしれません。しかし、実際には安心して預けることができます。なぜなら、預けたお金はIFAではなく証券会社にあり、分別管理によって、IFAや提携先の証券会社にもしもの事があっても、顧客の資産は守られるからです。
IFAとIFA利用者の信頼関係
IFAの人数は増えていて利用するメリットも多いものの、顧客との信頼関係が築けているとはいえません。一般社団法人投資信託協会の調査によると、IFAを利用している投資家に「資産運用の相談相手として最も頼りにしている人」を聞いた結果、「特に頼りにしている人はいない」が54%と過半数を占めました。
そして、「投資先金融機関の担当者/あなた(IFA)自身」は7%に過ぎませんでした。IFAの回答では76%が自身(IFA)を頼りにしていると自認していますが、顧客とのギャップが存在しているといえます。
顧客との信頼関係を築くには、定期的な面談や連絡を通じ、資産運用の状況や変更点について共有することが大切です。また、手数料や金融商品の仕組みを明らかにし、利益面だけでなくリスクについてもきちんと説明することが求められます。
まとめ
IFAは顧客に中立的なアドバイスを提供し、豊富な金融商品から最適な金融商品の選択をサポートします。IFAは規模が小さいことがデメリットとされることもありますが、分別管理により顧客資産は保護され、低コスト経営が可能です。しかし、IFAと顧客の信頼関係構築には課題が残っており、今後の進展が期待されます。
一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。