2026
08/31
IFA 資産運用 資産配分 IFA 相談

はじめに

純資産が3億円を超えてくると、現預金、国内外の有価証券、不動産、保険、事業資産、将来的な相続や贈与への対応など、資産全体をどのように整理し、どのような考え方で配分を見直していくかが資産運用において重要な論点になってきます。

こうした局面では、特定の商品を選ぶ以前に、資産全体を俯瞰しながら状況を整理できる相談先をどう考えるかが一つのテーマになります。

その候補の一つとして挙げられるのがIFAです。ただし、実際に検討する際には「IFAだからよい」「独立系だから安心」といった単純な見方ではなく、どのような観点で比較するかを整理しておくことが大切です。

本記事は、純資産3億円以上の方を想定し、資産配分を見直す場面でIFAを検討する際に、どのような点を確認しておくと整理しやすいかをまとめたものです。特定の事業者やサービスを推奨するものではなく、比較検討のための一般的な視点を提示することを目的としています。

資産規模が大きくなるほど、資産全体の見直しが重要になる理由

資産規模が大きくなるにつれて、保有資産の種類は増えやすくなります。現金や預金だけでなく、国内株式、外国株式、債券、投資信託、不動産、保険、未上場株式、会社経営者の場合は自社株、法人名義の資産など、性質の異なる資産が並行して存在することも珍しくありません。その結果、個々の資産の良し悪しよりも、全体としてどういう偏りがあるかを把握することの重要性が高まります。

たとえば、金融資産だけを見ると分散されているように見えても、不動産を含めてみると国内景気や金利動向に影響を受けやすい構成になっていることがあります。あるいは、資産額は大きくても換金しにくい資産の比率が高く、納税資金や生活資金の確保という観点では整理が必要な場合もあります。富裕層の資産管理では、このように資産の総量だけでなく、流動性、通貨、地域、リスク要因の偏りもあわせて確認することが重要な場合があります。

このため、資産配分の見直しを考える際には、単一の商品や単一の口座内の運用成績を見るだけでは不十分なことがあります。複数の金融機関や専門家から提案を受けている場合ほど、全体像を一枚の絵として整理する視点が求められます。

IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)とは何か

富裕層にとっての役割を整理する

IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)は一般に、特定の金融機関に所属せず、独立した立場で資産運用に関する相談・情報提供や金融商品の売買の媒介等を行う事業者・担当者を指します。銀行や証券会社の担当者とは異なり、組織ごとの商品ラインアップや営業方針とは別の立場から提案しやすい、という説明がなされることがあります。

もっとも、実際に検討するうえでは、「独立しているかどうか」だけで判断するのではなく、どの範囲まで見ているのかを確認することも重要です。富裕層にとっての論点は、金融商品の提案そのものより、資産全体をどう整理するか、また、その整理の前提がどこまで共有されているかにあることが多いためです。

たとえば、金融資産だけでなく、保有不動産、法人との関係、自社株の有無、今後想定される資金需要、家族構成や承継の方向性など、資産配分に影響する事情は幅広く存在します。したがって、どのIFAを選ぶかを検討する場合にも、単に商品を紹介する窓口としてではなく、資産全体の見方を共有できる相談先かどうかという観点が大切になります。

一方で、IFAがすべての論点を単独で完結できるわけではありません。税務、相続、法務、不動産実務などは専門領域が分かれることも多く、実際には税理士、弁護士、不動産関連の専門家などと役割分担をしながら考えるケースもあります。そのため、何を自ら扱い、何を他の専門家と連携して進めるのか、その整理があるかどうかも確認したい点です。

資産配分を考える際に、相談先の視点が重要になる理由

資産配分の見直しでは、個別商品の魅力よりも、どのような前提で全体像を捉えているかが重要になることがあります。

たとえば、「どの程度の流動性を残しておくか」「どこまで価格変動を受け入れるか」「収益性と安定性のバランスをどう考えるか」「家族や法人との関係をどこまで資産設計に織り込むか」といった点は、最初に整理しておくべき前提です。

しかし、実務上は金融機関などの相談先ごとに提案の切り口が異なります。証券会社であれば市場性のある金融商品が中心になりやすく、銀行であれば預金や融資、相続関連の話題が含まれやすいかもしれません。不動産会社であれば不動産の活用が前提となることもあります。それぞれの提案には役割がありますが、それだけで資産全体の配分方針が定まるとは限りません。

このような状況では、どの提案が正しいかを一つ選ぶというより、複数の提案を並べたうえで、自分にとっての優先順位に照らして整理する視点が必要になります。IFAを検討する意味があるとすれば、この整理作業にどこまで対応しているか、という点にあると考えられます。

したがって、面談や相談の場では、個別商品の説明に入る前に、現在の資産構成、今後の資金需要、リスクの捉え方、配分見直しの目的などをどの程度確認しているかを見ることが、比較のための一つの手がかりになります。

IFAを比較検討する際に確認したい5つのポイント

ここからは、実際に比較検討する場面で確認しておきたい観点を整理します。いずれも「この条件を満たせば十分」という性質のものではありませんが、面談や情報収集の際に視点をそろえるうえでは参考にしやすい項目です。

1. 資産全体を踏まえて整理しているか

最初に確認したいのは、相談対象となる資産の範囲です。金融資産のみを前提に話を進めるのか、それとも不動産、保険、法人資産、自社株、将来の資金需要なども含めて全体像を確認しようとしているのかによって、提案の前提は変わります。

富裕層の資産配分では、金融商品だけを見ていても実態を把握しにくいことがあります。たとえば不動産比率が高い場合、追加で取得する金融資産には異なる値動きや流動性を求める考え方もあり得ます。逆に、流動性資産が多い場合には、長期で保有する資産との組み合わせを検討する余地があるかもしれません。

このため、相談の初期段階で「何を保有しているか」だけでなく、「それぞれの資産が全体の中でどういう役割を持っているか」を確認しようとするかどうかは、一つの比較ポイントになります。初回から具体的な商品名に話題が集中する場合には、資産全体の整理という観点で追加確認が必要になることもあります。

2. 提案の考え方や前提が説明されているか

次に見ておきたいのは、提案内容そのものよりも、その考え方です。なぜその配分を想定しているのか、どのようなリスクを意識しているのか、どの程度の期間を前提としているのか、見直しの判断基準は何か、といった点が説明されているかどうかは重要です。

資産配分は、相場見通しだけで決まるものではありません。本人の資産背景、使途、流動性の確保、承継の予定、税務上の制約など、複数の条件から組み立てられるものです。そのため、提案内容が同じに見えても、背景の考え方が異なれば、相場環境が変わったときの見直し方も変わってきます。

比較の場面では、「どの商品を勧めるか」だけでなく「なぜそう考えるのか」を確認しておくと、相手のスタンスを把握しやすくなります。特定の見通しや将来の価格動向について断定的に示すのではなく、前提条件や不確実性を含めて説明する姿勢があるかどうかも、確認しておきたい点です。

3. 報酬体系や費用構造が分かりやすいか

資産規模が大きくなるほど、費用の影響は見えにくくなりがちです。表面的には小さな差に見えても、長期では総コストに一定の差が生じることがあります。そのため、相談先を比較する際には、報酬体系や費用構造がどのようになっているかを確認しておくことが大切です。

たとえば、相談料が発生するのか、残高に応じたフィーなのか、商品ごとに手数料がかかるのか、あるいは複数の要素が組み合わさっているのかによって、実際の負担感は異なります。また、同じコスト水準であっても、どのようなサービス範囲が含まれているかで受け止め方は変わります。

ここで重要なのは、高いか低いかを一概に判断することではなく、何に対してどのような費用が生じるのかを把握できるかどうかです。説明が曖昧なまま進むと、後から認識の違いが出やすくなります。比較の際には、費用の名称だけでなく、その発生条件や継続性も確認しておくと整理しやすくなります。

4. 税務・相続・法人資産との関係に配慮があるか

富裕層の資産管理では、金融資産の運用方針だけで完結しないことが少なくありません。相続や贈与、納税資金、法人との資金関係、事業承継など、周辺領域との整合性が重要になる場面があります。そのため、相談先を比較する際にも、こうした論点にどの程度配慮しているかは確認しておきたい点です。

もちろん、IFAが税務や法務の個別判断を行うわけではありません。しかし、資産配分を考えるにあたって、税理士や弁護士など他の専門家と連携すべき場面を認識しているか、また必要に応じてその前提で話を進められるかどうかは、実務上の違いとして表れやすい部分です。

特に、個人資産と法人資産の関係が深い場合や、今後の承継が視野に入っている場合には、金融商品だけを切り出して判断することが難しいことがあります。資産配分の見直しを検討する段階でも、周辺論点との接続を意識しているかどうかは、確認材料の一つになります。

5. 継続的に相談しやすい体制か

資産配分は、一度決めたら終わりというものではありません。家族構成の変化、事業環境の変化、税制や制度の見直し、市場変動などに応じて、考え方を見直す場面が出てくることがあります。そのため、単発の提案だけでなく、継続的に相談しやすい体制かどうかも比較の観点になります。

ここでいう体制とは、担当者の人柄だけを指すものではありません。定期的なレビューの有無、連絡頻度、相場急変時の対応方針、情報共有の方法、説明の分かりやすさ、必要に応じた専門家連携など、相談が継続する前提で見ておきたい点は複数あります。

また、富裕層の相談では、情報の取り扱いやプライバシーへの配慮、説明の簡潔さも重視されやすい傾向があります。どれほど詳細な提案であっても、前提が共有されず、説明が分かりにくければ、実際の意思決定にはつながりにくくなります。したがって、面談時には内容だけでなく、どのような進め方をする相手なのかもあわせて確認しておくとよいでしょう。

面談時に確認しておきたい点

実際に相談する場合、事前に確認項目を整理しておくと、比較がしやすくなります。まず、確認しやすいのは「どの範囲の資産を前提に考えるのか」という点です。

金融資産のみなのか、不動産や法人資産も含めた全体像を前提にするのかで、提案の意味合いは変わります。

次に、「どのような前提で資産配分を考えるのか」も確認しておきたい項目です。たとえば、流動性をどの程度重視するのか、リスクの捉え方をどう整理するのか、見直しのタイミングをどう考えるのかなど、方針に関する説明があるかどうかを見ると、比較しやすくなります。

さらに、費用の考え方や、どの範囲まで支援対象になるのかも確認しておくと実務的です。面談時点では、すべてを細かく決める必要はありませんが、少なくとも「何を相談でき、何は別の専門家と進めるのか」という整理があるかは見ておきたいところです。

相談前に整理しておきたいこと

相談を受ける前に、自身でもいくつか整理しておくと話が進めやすくなります。まず、現在の資産一覧を大まかに把握しておくことが有効です。現預金、有価証券、不動産、保険、法人資産など、カテゴリごとに概算でも整理しておくと、資産全体の偏りを共有しやすくなります。

次に、資産配分を見直したい理由を言語化しておくことも大切です。たとえば、守りを重視したいのか、収益性を見直したいのか、承継を視野に入れて整理したいのかによって、比較する視点は変わります。目的が曖昧なままだと、提案内容を比較する軸も定まりにくくなります。

また、使いやすい資金とすぐには動かしにくい資産を分けて考えておくことも有効です。納税資金、生活資金、事業資金、家族の予定資金など、流動性を重視する必要がある部分を整理しておくと、現実に即した配分の議論につながりやすくなります。

まとめ

富裕層がIFAを検討する場面では、個別商品の比較だけでなく、資産全体をどのように整理し、どのような前提で見直していくかという視点が重要になります。確認したいのは、金融資産だけで話を進めるのか、資産全体を踏まえて考えるのか、提案の考え方が説明されているか、費用構造が分かりやすいか、周辺領域との関係に配慮があるか、継続的な相談体制があるか、といった点です。

IFAという名称だけで判断するのではなく、実際にどのような範囲を見て、どのような前提で整理し、どこまで対応するのかを確認していくことで、比較検討の軸を持ちやすくなります。資産配分の見直しは、単に商品を入れ替える作業ではなく、資産全体の位置づけを整理するプロセスでもあります。このため、相談先を選ぶ場面でも、結論を急ぐより、前提や考え方を確認しながら進めることが重要です。

本記事の著者

有泉愛子
有泉愛子 プライベートバンキング本部
広報・マーケティング・採用担当
プロフィール
大学卒業後、野村證券株式会社へ入社。主に富裕層の個人顧客や中小企業の経営者を対象に新規開拓営業、資産運用のコンサルティングに従事。
当社での役割
プレスリリースの配信、テレビや雑誌の取材対応や原稿チェック、
自社SNSの更新、メルマガ配信 、イベントの企画・進行
富裕層向け資産運用WEBメディア『WEALTH JOURNAL』運営
YouTubeチャンネル『世古口俊介の資産運用アカデミー』などをはじめとするYouTubeチャンネルを運営
このアドバイザーに相談

<ご注意事項>

  • 当社の所属金融商品取引業者等は株式会社SBI証券、東海東京証券株式会社、エアーズシー証券株式会社です。
  • 当社は所属金融商品取引業者等の代理権は有しません。
  • 当社はいかなる名目によるかを問わず、その行う金融商品仲介業に関して、お客様から金銭および有価証券のお預かりを行いません。
  • 各商品等へのご投資には、商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。

[金融商品仲介業者]

商号等:株式会社ウェルス・パートナー

登録番号:関東財務局長(金仲)第810号

[所属金融商品取引業者]

商号等:株式会社SBI証券

金融商品取引業者 登録番号:関東財務局長(金商)第44号、商品先物取引業者

加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人資産運用業協会、一般社団法人日本STO協会、日本商品先物取引協会、一般社団法人日本暗号資産等取引業協会

商号等:東海東京証券株式会社

金融商品取引業者 登録番号:東海財務局長(金商)第140号

加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人資産運用業協会、一般社団法人日本STO協会

商号等:エアーズシー証券株式会社

金融商品取引業者 登録番号:関東財務局長(金商)第33号

加入協会:日本証券業協会

無料個別相談