2020
11/17
不動産

はじめに

保険の中には契約者貸付という制度を利用することができるものがあります。

契約者貸付は契約している保険の解約返戻金を担保に融資を受け入れられるというものなので、急にまとまったお金が必要になった場合に役立つので、知っておくと便利です。

しかし、メリットが多い分、注意しなければならない点もいくつかあります。

今回は契約者貸付とは何か、どんなメリット・注意点があるのかを解説していきます。

1.契約者貸付とは

契約者貸付とは、保険会社が加入者に提供しているサービスの1つで、解約返戻金を担保に保険会社が契約者にお金を融資してくれる制度です。

解約返戻金を担保にするため、終身保険、養老保険、個人年金保険等、貯蓄性のある保険に特有のものです。

基本的には解約返戻金の80~90%程度の金額が借入上限となっており、現在であれば利息は2~3%程度であることが多いです。

契約者貸付には以下のような特徴があります。

・審査なしで借入が可能
・借入中に解約返戻金や満期保険金を受けとると金額が減る

それでは、詳しく見ていきましょう。

(1)審査なしで借入できる

契約者貸付の最大の特徴は、審査なしで借入ができることです。

契約者貸付では解約返戻金を担保にしてお金を借りるので、自身で積み立てた保険料の一部を一時的に借りているとも言えます。

なので、借入時に支払い能力があるかどうかを審査する必要がないのです。本人確認を行うだけで、簡単に手続を終わらせることができます。

(2)借入中に解約返戻金や満期保険金を受け取った場合

契約者貸付を利用しても、保険契約を解約することになったり、保険金等が減額されることはありません。

しかし、もし借入中に保険を解約して解約返戻金を受け取ることになったり、保険期間が満了して満期保険金を受け取ることになったり、万一のことがあって遺族が死亡保険金を受け取ることになったりした場合、解約返戻金や保険金の額は、借入している金額分だけ差し引かれます。

2.契約者貸付のメリット

契約者貸付の主なメリットは以下の通りです。

・保険の解約・保険金の減額を避けられる
・申請から入金が早い
・返済期限がなく返済方法が幅広い
・上限額以内であれば何度でも借り入れができる

(1)保険の解約・保険金の減額を避けられる

契約者貸付を利用した場合、保険の契約はそのまま維持されます。保障内容が薄くなってしまうということはありません。

保険金の減額や解約返戻金の減額などがないので、どうしても一時的にお金が必要になった時には、他の融資の方法よりも抵抗なく借り入れをすることができるでしょう。

ただし、先述したように、契約者貸付を利用している間に解約返戻金や保険金を受け取る場合は、受け取るお金で精算が行われます。

(2)申請から入金が早い

契約者貸付には審査がないため、申請してから入金が早いというメリットがあります。

基本的には、申請当日から遅くても1週間以内には入金されるので、すぐにまとまったお金が必要という場合でも有効に活用することができます。

(3)返済期限がなく返済方法が幅広い

契約者貸付には返済期間が設けられていません。

しいて言うならば、保険の契約が終了する時です。

保険の満期や、解約した日に終了します。また、契約者貸付の元本と利息の合計が解約払戻金を上回った場合、保険の契約が効力を失って終了します。

それまでの間であれば自分のペースで返済できます。返済方法は幅広く、一括、分割、不定期と様々返済方法を自由に切り替えることができます。

家計の状況に合わせて柔軟に返済を行うことができるのは、他の融資方法にはない大きなメリットです。

(4)上限額以内であれば何度でも借入ができる

上限額以内であれば、制限なく何度も借入することができます。

利用目的などを問われることもなく、保証人も必要ないため、身構えることなく借入を行うことができます。

3.契約者貸付の注意点

契約者貸付はメリットが多く、融資を受ける方法として有能ですが、注意しなければならない点もいくつか存在します。

契約者貸付の注意点は以下の通りです。

・利息は保険加入時の景気に左右される
・保険契約初期は借り入れできる金額が少ない
・知らないうちに利息が膨れ上がることがある

(1)利率は保険加入時の景気に左右される

契約者貸付の利率は保険商品によっても異なりますが、保険契約時の景気によっても左右されます。

基本的に、契約者貸付の利率は、保険契約をした年度の景気から算出された予定利率に乗っ取って決定されるのです。

景気が良いほど予定利率は高くなる傾向があるので、バブル時に契約した保険の契約者貸付制度を利用する場合は、借入した際の利率が高い可能性があります。

契約者貸付の借入金にかかる利率は複利で計算されるので、要注意です。この点については改めて後ほどお伝えします。

(2)保険契約初期は借入できる金額が少ない

契約者貸付では、借入できる金額が解約返戻金の80~90%程度となっています。

したがって、そもそも解約返戻金の金額が少ない契約初期では、借入できる金額が少ないのです。

(3)知らないうちに利息が膨れ上がることがある

上で述べたように、契約者貸付には返済期限がなく、返済方法も特に決められていません。

それはつまり、返済についての催促がないことを意味します。

催促はなくとも金利はかかるので、放っておくとどんどん返済金額が増えていってしまうのです。

契約者貸付の金利は、先に述べたように複利で計算されます。

利息の計算方法は以下の通りです。

「利息額=元金額×金利(利率)×借入期間(年)」

もし金利2%・6%の契約者貸付制度で100万円を借入した場合、2年後の利息は以下のようになります。

「2%の場合」
1年目:1,000,000×2%×1年=20,000円
2年目:(1,000,000+20,000)×2%×1年=20,400円
利息合計:40,400円

「6%の場合」
1年目:1,000,000×6%×1年=60,000円
2年目:(1,000,000+60,000)×6%×1年=63,600円
利息合計:63,600円

上記より、もし100万円単位で借入をして何年も放置してしまうと、利息の金額がどんどん増していってしまうことが分かります。

さらに、もし借入金と利息の合計が担保となっている解約返戻金の上限を超えてしまうと、保険契約が解約されてしまうこともあるのです。

契約者貸付をする場合はしっかりと返済計画を立て、自己管理を怠らないようにしましょう。

上記のメリットと注意点を踏まえると契約者貸付は、

・一時的にまとまったお金が必要ですぐ返せる時
・銀行の融資の審査を待っていたのでは間に合わない時

に活用するのが有効でしょう。

ただし、どちらにしろ返済計画をよく考えた上で、可能な限り早期に返済するのがおすすめです。

まとめ

契約者貸付は解約返戻金を担保にしている分、審査等がなく、比較的迅速に融資を受けることができます。

また、基本的には借入することによるペナルティーもなく、返済期限もないので、上手に利用すればいざという時に便利です。

しかし、催促などがないため、借入する際にはしっかりと返済計画を立て、自己管理をしないと、利息がどんどん増えていき、返済が困難になってしまうリスクもあります。

したがって、契約者貸付を利用するのは、

・一時的にまとまったお金が必要ですぐ返せる時
・銀行の融資の審査を待っていたのでは間に合わない時

のみにすることをおすすめします。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者14万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

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