2020
09/30

はじめに

2020年3月にコロナショックにより株式市場は大きく下落しましたが、個人投資家の投資信託の買い意欲は衰えず、株式市場の回復とともに投資信託の残高は、8月に過去最高を更新しました。

ただ新型コロナウイルスの感染拡大は続いているので、予断を許さない状況です。ウィズコロナ時代の資産運用はどのようにすればいいのでしょうか。

投資信託の純資産(ETF含む)が過去最高を更新

日興リサーチセンターの調べによると、ETF(上場投資信託)を含む公募株式投資信託(追加型)の純資産残高は、2020年8月末に112兆円と2019年12月以来8カ月ぶりに過去最高を更新しました。

これまで最高だったのは2019年12月の109兆円。新型コロナウイルスの感染拡大により世界の株式市場が急落した3月には93兆円まで減少していましたが、投資信託の残高はコロナ前の水準を回復したのです。

4月には個人投資家が大幅買い越し

急落した3月の翌月の4月には、投資信託に個人投資家の買いが集まりました。投資信託の種類では、米国株など世界の株式を組み入れた投資信託や、REIT(不動産投資信託)への資金流入が目立ちました。日興リサーチセンターの推計では、4月は1,481億円(ETFを除く)の流入超となったのです。

また投資信託の残高が急回復したのは、先進国の大規模な金融緩和や財政出動で株式市場が3月以降、大きく上昇したことも原因といえます。3月末から8月末にかけて日経平均株価は2割強、NYダウは3割ほど上昇したからです。

海外の投資信託が人気

個人投資家の人気を集めたのが、海外株式型の投資信託。1~8月の流入額は約1兆7,000億円となり、全体の2割を占めています。グーグルの親会社であるアルファベットやフェイスブック、アップル、アマゾン・ドット・コムなど主力ハイテク株への上昇期待が強く、とくに米国に投資したいと考えている個人投資家が増えているのです。

国内公募の追加型株式投資信託(ETFを除く)で、2020年7月末時点の純資産総額首位は、「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」の9,970億円。残高上位20本のうち、増加額がもっとも大きかったのは、「グローバル・プロスペクティブ・ファンド<愛称:イノベーティブ・フューチャー>」の487億円でした。

6月末と比べて300億円以上残高を増やしたのは、すべて先進国株式に投資するファンド。パフォーマンスが良かったことと、個人投資家の資金流入が進んだことが背景にあると考えられます。

日本株ファンドの伸びは鈍い

好調な海外ファンドに比べ、日本株で運用する投資信託の伸びは鈍くなっています。日銀のETF(上場投資信託)購入で、1~8月の国内株式型投資信託の資金流入は5兆円近くになっていますが、ETF を除けば5000億円ほどの流出。日本株は人口減少などを背景に将来の成長期待が低く、長期保有したいと考える個人投資家が少ないことが背景だと考えられます。成長性の高い米国の主力ハイテク株を中心に、投資信託の残高の伸びも海外株が主導しそうです。

増えるESG投信

新規設定ファンドで大きく資金を集めたのが「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)<愛称:未来の世界(ESG)>」です。アセットマネジメントOne が7月20日から運用を開始し、当初設定額は3,830億円と歴代2位の大型設定となったのです。

このファンドは、世界の株式のうち企業の成長性や競争優位性に加え、ESGへの取り組みも評価しながら銘柄を選んで投資します。ESG投資とは、Environment(環境)・Social(社会)・Governance(企業統治)に配慮している企業を重視・選別して行う投資のことです。

日本でESG投資が注目を集めるようになったのは、2017年にGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、ESG関連指数への投資を始めたことがきっかけです。ESG投資で先行する欧米では、ESGへの取り組みに優れた企業は、投資リターンも高いといわれています。

新型コロナウイルスの感染拡大により、医療サービスや社会的安全などの社会問題が課題になっています。これはESG投資の「S(社会)」を強化する要因です。また人の健康や地球環境への関心が高まり、これはESG投資の「E(環境)」の分野です。

ですから「ウィズコロナ時代」には、ESG投資への関心がますます高まっていくと考えられるのです。

野村證券がESG投信強化

証券会社最大手の野村證券が、ESG関連の投資信託の提案を強化しています。野村アセットマネジメントが8月24日に設定した「野村ブラックロック循環経済関連株投信(ザ・サーキュラー)の当初設定額は約780億円となり、高い関心が寄せられました。

このファンドは、廃棄物再利用や資源再利用を通じて実現する持続的な経済構造「サーキュラー・エコノミー(循環経済)」をテーマに掲げ、世界の株式に投資します。

リサイクル事業に取り組む企業や、製造と使用の過程で環境負荷が少ない製品開発に取り組む企業を選択します。野村証券では、このほかにすでに取り扱っているインパクト投資ファンドなども含めて「ESG商品ラインナップ」として紹介し、販売手数料を還元するキャンペーンなどを行っているのです。

まとめ

コロナショックにより2020年3月に株式市場は大きく下落しましたが、個人投資家の投資意欲は高まっています。投資信託の残高も、8月に過去最高を更新しました。ただ、日本株ファンドの人気はあまり高くなく、海外の株式で運用するファンドの人気が高まっています。

また、社会問題や健康、環境問題への意識への高まりからESGを重視した投資信託への資金流入が続いています。今後のウィズコロナ時代を見据え、ますますESGを重視したファンドの人気は高まっていくでしょう。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者3万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

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