2026
02/04
不動産 資産運用入門 不動産売却 不動産売却資金 不動産売却後の資産運用

はじめに

皆さん、こんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。
今回のテーマは、「不動産売却富裕層4億円のバランスを重視した金融資産運用実例」です。

世古口「今回は、不動産を売却して富裕層になられた方の金融資産運用実例について、弊社アドバイザーの河村と共にお伝えしていきます。」

河村「私はもともと信託銀行に在籍し、相続富裕層や都内で不動産を売却された富裕層の方々を対象にコンサルティング業務に従事してきました。昨年、ウェルス・パートナーに入社し、引き続き富裕層の方の資産戦略をご提案するお手伝いをさせていただいております。」

世古口「今回のように、不動産の価値が上がって富裕層になられた方からのご相談は、ここ1年ほどでかなり増えてきている印象ですが、実際はいかがでしょうか。」

河村「入社して1年ほどですが、かなり多くのお問い合わせをいただいています。特に不動産売却富裕層の方の場合、想定外に資産が膨れ上がっているものの、どう運用すべきかわからない、と戸惑いながらご相談をいただく方が多いと感じています。」

世古口「そうですよね。都心のタワマンは数年で2~3倍になっている状況なので、急に富裕層になった方が増えており、弊社でもご相談が急増しています。今回は、そのような不動産売却富裕層の方の具体的な運用実例についてお話しします。」

不動産売却富裕層4億円のバランスを重視した金融資産運用実例

資産配分(当初)

世古口「こちらは、当初の状態の資産配分シートです。ご本人情報や資産状況、ご要望について確認していきましょう。」

河村「ご本人情報からお伝えします。40歳代後半の男性の方で、家族構成は奥様・長女の3人家族、職業は未上場会社役員で、年収は3,500万円です。今回ご相談いただいた主な不動産として国内不動産を2つお持ちで、1つはご自宅(今の価値で約2.9億円)と、それに伴う借入が1.5億円あります。もう1つは投資用の不動産で4.7億円、それに伴う借入は4,000万円という状況です。」

世古口「この投資用の不動産はどのような物件ですか。」

河村「もともとは10年ほど前にご自宅として購入された不動産です。数年前にご自宅を住み替えたタイミングで投資用不動産に切り替えている物件です。」

世古口「この不動産価値が急上昇したことによって、富裕層になられた方というイメージでしょうか。」

河村「はい。もともとは1.7億円ほどで購入された物件で、約3億円の利益が乗っている状態になっていました。」

世古口「いわゆる都内のタワマンでしょうか。」

河村「その通りです。都内のある程度立地のいいタワマンです。」

世古口「わかりました。では、当初の資産状況について見ていきましょう。」

河村「資産状況は、国内不動産に加え、日本株式、日本債券、先進国株式、新興国株式、先進国債券、日本REIT、コモディティ金を保有されています。現預金については6,000万円、キャッシュでお持ちです。

全体のバランスとしては、借入比率が127%。今回ご要望があった実物資産比率は86%と、かなり高い状況です。外貨比率は6.3%で、国内不動産や円の資産に偏っています。株式比率は34.4%、債券比率は16%となっています。」

世古口「特徴としては、不動産の価値上昇で、資産価値が実物資産に偏っており、外貨比率が低く、金融資産比率は株式の方が多く、攻めの資産配分といえるのではないでしょうか。」

河村「はい、そう考えています。」

世古口「この方は、どのようなご要望をお持ちなのでしょうか。」

河村「1つ目のご要望は“値上がりした投資用不動産の売却検討”です。数年前から不動産が値上がりしているため、いつ売却するのが最適なのか、常々検討されていました。そのタイミングと、今回新たに海外転勤の可能性も出てきたことから、“海外転勤に備えた資産配分の見直し”が2つ目のご要望となっています。このような変化が重なったタイミングで、弊社にご相談いただいたという経緯です。

3つ目のご要望は“あらゆる資産へ投資してリスク分散したい”、4つ目のご要望は“攻めよりもやや守りを重視したい”ということでした。」

世古口「資産価値の変化とご本人の仕事の状況の変化、この2つの変化によって保有している不動産をどうしようかと検討するに至ったということですね。」

河村「はい、それがうまいタイミングで重なった形です。」

運用目標の設定

世古口「このようなご本人情報や資産状況、ご要望全て踏まえて、担当した河村が設定した運用目標が次のようになっています。」

河村「1つ目は“換金性とバランスを重視した資産配分”です。海外転勤の可能性がある場合、保有している不動産をすぐに売却することは容易でありません。そこで、事前に売却しておいて、必要なときにすぐに動かせるよう、金融資産にシフトしておくということです。

2つ目は“転勤の可能性を考慮し当面は金融資産だけで運用”です。

3つ目は“株式・債券中心にあらゆる金融資産にリスク分散”です。

4つ目は“運用純資産の年間成長率+6%”です。以上のような目標を設定しました。」

資産配分(不動産売却)

世古口「お持ちの不動産を売却した後はどうなったのか、その資産配分がこのようになっています。」

河村「減少させた資産は、投資用の国内不動産の売却で4.7億円、それに伴う国内ローンが4,000万円なくなっています。

増加させた資産は、不動産売却資金に対して税金6,000万円を控除した3.7億円が15番の現預金にキャッシュとして貯まっている形です。」

世古口「不動産利益が3億円分乗って20%の税金が6,000万円、国内ローンと税金を4.7億円から差し引いて3.7億円の現預金が売却代金の手残りというイメージです。」

資産配分(再配分)

世古口「4億3,000万円ある現預金を再配分する形になります。その再配分後の資産配分がこちらです。」

河村「減少させる資産と増加させる資産をご説明します。キャッシュとして2,000万円程度が手元にあれば大丈夫ということで、残りの4.1億円を、資産配分する振り分け原資として活用します。増加させる資産は、日本株式に3,000万円、先進国株式に6,000万円、新興国株式に2,000万円、日本債券に2,000万円、先進国債券に1,7億円、日本REITに2,000万円、外国REITに2,000万円、そしてオルタナティブには4,500万円、コモディティ金に1,500万円、コモディティその他に1,000万円としました。

最も特徴的なのは債券です。日本債券と先進国債券には合わせて1.9億円振り分けています。守りの運用がしたいというご要望があったので、債券を中心に振り分けており、さらに利回りの向上を図るべく、株式を組み入れています。またその他には、REIT、オルタナティブはヘッジファンド、コモディティ金やコモディティその他は銀や穀物を入れ、幅広く再投資させていただきました。」

世古口「日本株式・日本債券・日本REITといった日本資産の割合が多めに見えますが、何か意図はあるのでしょうか。」

河村「今回は国内不動産に投資しないため、通常よりも日本資産の比重を若干高めに設定しています。このようなケースでは、外貨比率が80%まで高まってしまうことがあります。そのため、外貨比率が過度に高くならないよう、日本株式・日本債券・日本REITといった日本資産を厚めに組み入れています。」

世古口「なるほど。それ以外にも、オルタナティブも4,500万円と多いですが、これはどのような資産ですか。」

河村「今回、オルタナティブはヘッジファンドをご提案しています。主にマーケットが下落した局面でパフォーマンスを出してくれるようなヘッジファンドなどを取り入れて、資産全体の安定性を底上げしています。」

世古口「株式と債券が中心ですが、その他のREITやオルタナティブやコモディティにもかなりリスク分散しています。金融資産の中で全方位的にリスク分散ができている配分という印象ですね。」

河村「はい、金融資産の中でも色々と値動き要因があるので、それを分散してリスク要因を分けている形になります。」

再配分の投資効果(分散・成長)

世古口「こちらは再配分後の投資効果です。どれぐらいリスク分散できているかということと、資産成長についてご説明します。」

河村「借入比率は127%から123%へわずかに減少しています。これは不動産売却に伴う借入4,000万円の返済が主な要因になっています。実物資産比率は86%から40%程度まで減少しており、ポートフォリオ全体の構造が大きく変化しています。外貨比率に関しては6%から58%に上昇、株式比率は34%から32%となる一方、債券比率は16%から44%と大きく増加しました。

今回の特徴は、国内不動産を活用しない場合、外貨比率が極端に上がってしまうケースがあるため、50%台に留めている点、さらに、やや守りの運用がしたいというご要望に沿い、株式よりも債券の比率を厚めに設定している点にあります。」

世古口「次に、成長についてはいかがでしょうか。」

河村「運用純資産の年間成長率+6%を目標に設定しています。これを達成するために複数の資産を組み合わせた資産配分をしています。今回は、やや守りの運用を希望されていたため、債券を中心に組み込みましたが、債券だけでは年間+6%の成長を目指すのは難しい現状です。そのため、株式・オルタナティブ・REITをバランスよく組み入れることによって、期待成長率をしっかり底上げしている点が重要なポイントの一つとなっています。」

世古口「債券の期待成長率は4%~5%というイメージでしょうか。」

河村「はい。現在のマーケットであれば、それぐらいは期待できると考えています。」

世古口「債券だけでは+6%を達成できないので、株式やオルタナティブ、REITといった期待成長率が7%以上見込める資産もバランスよく組み入れることによって、最終的に+6%以上を達成するポートフォリオにしているということですね。」

河村「まさにその通りです。複数の資産を組み入れることで、全体の底上げができるのが一つと、値動き要因を分けられることがメリットではないかと考えます。」

世古口「全体的に、設定した運用目標を達成するための資産配分になっているのがお分かりいただけたのではないでしょうか。」

まとめ

世古口「最後に、今回のテーマである『不動産売却富裕層4億円のバランスを重視した金融資産運用事例』をまとめます。ポイントは4つです。」

ポイント1)不動産の価値上昇で歪んだ資産配分を見直し

河村「近年、不動産の価値上昇によって、資産配分を見直したいというご相談いただくことが増えています。」

世古口「都内タワマンや一棟不動産の中でも好立地な物件は、購入したときよりも物件価値が2倍~3倍、場合によっては4倍、5倍と大きく上昇しています。その影響もあり、不動産売却をきっかけに、今回のように金融資産へのシフトや、あるいは不動産も含めた資産ポートフォリオ全体の見直しをご相談いただくケースがかなり多くなっています。」

ポイント2)状況や希望次第では金融資産に投資対象限定

河村「弊社では、金融資産と実物資産を組み合わせたご提案をすることも多いのですが、今回のように“海外転勤の可能性がある”“不動産が高いのではないか”と考える方については、そうした点も踏まえたうえで、内容に組み込みながらご提案しています。」

世古口「この方のご要望に適っていたため、今回は金融資産のみの再配分となりました。不動産の中でも、タワマンと一棟RCマンションでは資産性も経済効果も全く異なります。そのため、不動産を一度売却して改めて不動産を購入する方もいらっしゃいます。最終的には、お客様のご要望次第といえるでしょう。」

ポイント3)株式・オルタナティブ・REITで期待成長率を底上げ

河村「債券だけでは達成できない目標を、値上がり資産を入れてしっかり底上げするのは、重要なポイントと考えています。」

世古口「投資対象を金融資産に限定する場合、成長のドライバーは株式やオルタナティブやREITと考えられます。オルタナティブに関しては対象資産となるのはヘッジファンドのような資産でしょうか。」

河村「はい。オルタナティブでメインとしているのは、ヘッジファンドや暗号資産です。」

ポイント4)外貨比率が過度に上がりすぎない工夫が必要

河村「今回は日本株式・日本債券・日本REITの比重を少し高めて、外貨比率が適正な水準で収まるようご提案しました。」

世古口「今回の件に限らず、金融資産のみで運用する場合は、どうしても外貨資産の割合が高くなりがちで、比率が70%や80%になってしまう方が少なくありません。その場合、円高リスクが大きくなってしまいます。そのため、今回のように日本株式・日本債券・日本REITを多めにすることによって、外貨比率をできるだけ上がりすぎないように工夫することも重要になってきます。」

世古口「本日は『不動産売却富裕層4億円のバランスを重視した金融資産運用実例』という内容でお届けさせていただきました。」

河村「近年、不動産価格の上昇を背景に、今回のようなケースでご相談をいただくことが多くなっています。資産全体の見直しや今後の運用方針についてお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。」

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本記事の著者

河村 慎太郎
河村 慎太郎 プライベートバンキング本部
ポートフォリオマネージャー
プロフィール
慶應義塾大学商学部卒業後、三井住友信託銀行株式会社へ入社。
富裕層や会社経営者、地主を中心とした資産運用、相続対策のコンサルティングに従事。お客様と強い信頼関係を築きたいと思い株式会社ウェルス・パートナーに入社。
当社での役割
富裕層、会社経営者の資産配分最適化。
具体的な金融資産の投資実行サポート。
地主への相続対策を主とした税務の最適化。
資産管理会社設立、運営のアドバイス、サポート。
会社経営者の資産承継サポート。
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