2021年制度化予定「給与デジタル払い」のメリット・デメリットとは?

はじめに

2021年の早い段階で「給与のデジタル払い」が制度化される予定です。

デジタル払いとは、給与を口座振替や現金手渡しで支払うのではなく、「〇〇ペイ」などのデジタルペイで払う方法になります。
従業員側はデジタルのかたちで給与を受け取るわけです。

制度が成立すれば、日本の給与の形が変化する可能性があります。
給与について考えるために知っておきたい、給与デジタル払いのメリットとデメリットについて解説します。

給与デジタル払いのメリット

給与のデジタル払いには3つのメリットがあります。

アルバイトや日雇いなど短期で報酬を受け取りたいときに便利

短気のアルバイトや日雇いなどの場合、給与のような一定期間ごとの支払いではなく、短いスパンでも支払いになるケースも少なくありません。
また、外国人労働者の場合は給与支払いに金融機関の口座を利用しようとしても、口座開設ハードルの高さから給与振り込みを利用できないケースがあります。
給与のデジタル払いはこのようなケースでも状況やニーズに合わせて使えるというメリットがあるのです。

給与のデジタル払いにより会社や業務のコスト削減が期待できる

給与のデジタル払いを利用すれば給料日の度に給与振り込みをせずに済みます。
そのため、給与担当の事務負担を減らし、業務の効率をアップできるというメリットがあるのです。
会社側は給与振り込みの際の手数料負担を軽減できるメリットもあります。

日常生活の決済や支払い時の利便性が向上するメリットも

給与をデジタル払いすることにより、日常生活でデジタル払いを多く利用している従業員にメリットがあります。
給与をデジタルで払ってもらえるわけですから、自分でチャージしなくても会社側からチャージしてもらえるわけです。
チャージなどの手間が省け、日常生活でより決済が使いやすくなります。

給与デジタル払いのデメリット

給与デジタル払いのデメリットも3つあります。

不正送金などにより給与を失う可能性がある

2020年にゆうちょ銀行の不正送金が話題になりました。
ドコモ口座やPayPay、LINE Payなどでも不正送金が問題になり、再発防止に向けた取り組みなどが行われています。

給与を現金で受け取っても、盗難や紛失といったリスクがあるはずです。
銀行振り込みで給与を受け取っても、キャッシュカードの不正使用のリスクなどがあります。
同じく、給与デジタル払いにも不正送金やセキュリティ上のリスクなどがあるのです。

災害時に支払えないなど生活上のリスクもある

給与デジタル払いには災害時などの生活上のリスクもあります。

たとえば台風などでシステム障害や停電が起きてしまったとします。
このようなときに現金の持ち合わせがないと生活必需品すら購入できなくなるリスクがあるのです。

災害時にはデジタル決済やクレジットカード決済などができなくなった例があります。
2018年に起きた北海道の地震です。このときは店の営業こそ継続できたものの、キャッシュレス決済などには対応できませんでした。

給与デジタル払いですべてがデジタルになってしまうと、災害など危急の事態に支払い難民化する可能性があります。

資金移動業者が破綻したときの対策が十分ではない

資金移動業者とは銀行以外で資金の移動(送金)サービスを提供する登録業者のことです。
PayPayやLINEペイなどがこれに該当します。
資金移動業者が破綻した場合、ユーザーの保護が十分ではないという指摘があります。

金融機関が破綻した場合は預金保険制度により元金1,000万円まで守られます。
しかし資金移動業者の場合は保護が十分ではなく、一部しか払い戻しできない可能性などもあり、業者の破綻により従業員の給与が大幅に減ってしまうリスクがあるのです。

まとめ

給与デジタル払いは2021年の早期に制度を成立させる予定で動いています。
仮に成立すれば給与に新しい形が生まれるに違いありません。

給与デジタル払いは給与の支払いを受ける側である従業員にも、支払う側である経営者にとっても見逃せない制度になります。
メリットやデメリットをふまえ、続報を注視したいものです。

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