2019
08/15
最終更新日:2019/08/16

はじめに

最近、投資信託に類似するものとして、ロボアドバイザー(以下、ロボアドと記載)による金融サービスが、人気を集めています。

ロボアドは、人工知能を利用して、自分のリスク許容度等を答えることで、資産運用の助言を行うサービスのことを指します。(※1)

今回は、このロボアドの特徴とロボアドを利用するメリットとデメリットについてご紹介します。

ロボアドの特徴

ロボアドによる投資では、投資家がロボアドの質問(年齢、金融資産、リスク許容度等)に回答すると、各投資家に最適な資産運用方針(ポートフォリオ)が提案されます。

投資家はこの提案を了承すれば、口座入金後、すぐに投資を開始することができます。

本来であれば、自分で投資する資産を決め、それぞれの資産にどれくらい投資するかも決めなくてはなりませんが、ロボアドでは、この手間を省くことが可能です。

以下、このロボアドを利用するメリットとデメリットを、それぞれ3つずつ紹介します。

ロボアドを利用するメリット

運用を自動化できること

ロボアドによる投資には大きく分けて、アドバイス型と運用一任型の2つの種類があります。

前者は、ロボアドが、運用を開始するときの運用方針や運用資産の配分の決定まで行います。後者は、ロボアドが、前者に加え、運用開始後のリバランス、つまり、運用方針や運用資産の配分の見直しまで自動的に行います。

どちらかというと、現在は、後者のタイプが主流です。後者であれば、運用開始時点だけでなく、運用開始後の様々な資産運用の手間を省くことができます。

このように、投資を実践する上での手間の大部分を自動化できる点は、ロボアドによる投資を行うメリットの1つです。

投資の知識がなくても始められること

一般的に資産運用を始めるには、投資に関する知識が必要です。

しかし、ロボアドによる投資では、前述の通り、投資の手間のほとんどを省いて自動化できますので、特別な投資知識を必要とせずに資産運用を始められます。
ここも、ロボアドによる投資を行うメリットの1つだと考えることができます。

人間の感情に左右されずに運用できること

さらに、ロボットによる投資を行うのであれば、人間の感情が入り込む余地がありません。
著名な投資家でも、相場が急落した際に投資判断を誤り、大きな損失を出すことが過去の歴史上多数あります。

しかし、ロボットによる投資であれば、相場が上昇局面であろうと下落局面であろうと、あらかじめ運用方針に沿って行われます。そのため、こういった判断ミスは生じなくなります。

このように、人間の感情に左右されずに運用できる点もメリットです。

ロボアドを利用するデメリット

手数料が必ずしも安いとは言えないこと

ロボアド利用時の手数料についても、投資家によっては、割高であると考える余地があります。

ロボアドで投資を行う場合、各社のサービスによりますが、毎年1%前後の手数料がかかります。一方で、自分で投資信託等を利用して運用する場合、毎年1%もコストをかけずに運用することも可能です。

ロボットで投資の手間が省けるメリットとコストとを比較して、この1%の手数料が高いと判断する場合は、コストがデメリットになります。

なお、ロボアドのサービスを提供する金融機関の一部に手数料の引き下げの動きもありますので、今後是正される可能性もあります。そのため、ここは、今後の動向にも意識を向ける必要があるでしょう。

非課税制度の利用ができないこと

ロボアドによる投資では、NISA、つみたてNISA、iDeCoといった非課税制度を、少なくとも現在利用することができません。

ですので、ロボアドを利用して資産形成できても、利益分には20%程度の課税が行われます。

ロボアドも基本的には、非課税制度利用による投資と同じく、長期的投資による資産形成を目指す金融商品です。

非課税制度を利用した投資と比較して、ロボアドを利用した投資のメリットを感じないと判断すれば、この点はデメリットになるでしょう。

投資でお金のリテラシーを向上させるのが難しいこと

資産運用を行う過程では、勉強することや、様々な場面で投資判断することで、お金のリテラシーを向上させることができます。

この資産運用を自動化してしまえば、資産運用により、お金のリテラシーを身につけることが難しくなります。

その結果、仮にロボアドで資産形成ができたとしても、そのお金を思うように使うことができないという事態が考えられるかもしれません。

もちろん、ロボアドを利用しても、意識的に勉強等していれば問題ありません。ただ、そうしなくても資産形成し得る点で、投資家によっては、デメリットと考えることができるでしょう。

まとめ

ロボアドによる投資には、ご自身で投資するのに比べて、メリットもありながらも、投資家によってはデメリットと感じられる点も複数あります。

利用を検討される場合は、商品性や投資を行う上でのメリットやデメリットを1つ1つ検討して、納得してから投資を始めてみて下さい。

※1出所)日本証券業協会HP 投資の時間 金融・証券用語集
http://www.jsda.or.jp/jikan/word/336.html

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者14万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

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