「携帯電話市場」、「シルバー向け旅行市場」といった“市場”は、こうした財・サービスの需要が全体としてどのくらいあるか、という意味で用いられています。 金融関連の“市場”もそれに近い意味で用いられます。
ただ、確かに売り手と買い手が存在し、双方が納得のいく価格・受け渡し方法で売買が成立する場に違いありませんが、通常用いられる金融“市場”(債券、株式、商品、為替など)は、そうした取引が行われる物理的建物が想定されていて、そこに売り手と買い手が一堂に会する、というニュアンスが込められています。
昔からある、農産物・海産物などの朝市がこれに近いイメージですね。
金融市場の場合、この規模が非常に大きいので、今は、建物は象徴的な意味に後退し、バーチャルな空間が“市場”と呼ばれることがほとんどです。
銀行、証券、保険、仲介会社等の金融機関が、そうしたバーチャル空間を通じて“市場”を形成しているわけです。
大切なのは、その“市場”で一定のルールのもと売買(または貸し手と借り手との間の貸借)が成立し、「資産が買い手や借り手に移管する+代金が逆の方向に移動する」ことを通じて、経済全体の効率性が向上するという重要な機能が存在することです。
上記のようにまとめる事ができますが、通常、私たちが意識するのは1番の市場でしょう。
株式投資をなさる皆様にはこれがお馴染みの市場です。
ただ、昨今話題のマイナス金利といった事態は、3番に掲げたような市場での出来事です。
2番も3番も普段、馴染みが薄い市場ではありますが、こうした市場もあるのだという知識も必要な事態になっている、というわけです。 なかなか難しい世の中です。
日本銀行が2016年2月に導入(決定は1月)したいわゆるマイナス金利は、民間銀行が日本銀行に預けている“日銀当座預金”の一定額に対して利息を“徴収する”(普通は、貰える)という、新金融政策です。
これが、3番の“市場”におけるイベントである旨をおさえておけば、個人に直接的な影響はない事が理解できるでしょう。
しかし、間接的な影響は当然発生します。3番の市場が2番に伝搬し、1番にも通常伝搬するからです。
というか、この伝搬を日銀としても意図している訳です。
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(本稿は経済学の知識ではなく、株式やオルタナティブ投資を中心とする資産運用の基礎知識を学んでいただく目的で長期連載いたします。 ”今すぐ儲かる有望銘柄30選”といった内容ではないことをご承知おき下さい。)