皆さん、こんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。
本記事では、2026年3月〜5月(春)に米ドル建て債券への投資を検討されている方に向けて、最新の投資戦略をお伝えします。
取り上げるテーマは以下の4つです。
①米ドル債券利回りの現状と見通し
②米ドル円の現状と見通し
③2026年春の米ドル債券投資戦略
④米ドル債券ポートフォリオ最新設計例
本記事の内容は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の推奨や投資成果を保証するものではありません。
実際の投資判断にあたっては、ご自身の資産状況やリスク許容度を踏まえた慎重な検討が必要です。
目次
米ドル債券の利回りの現状と見通し
まずは現状の利回りの推移を見ていきます。
米10年国債利回りの推移(過去5年)
こちらのチャートは、米ドル債券への投資を考えるうえで、最も重要な指標となっている米国10年国債利回りです。この利回りが上昇すれば、皆さんが投資する米ドル債券の利回りも上がり、低下すれば利回りも下がるということになります。
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過去5年の推移を振り返ると、2022年以降は上昇基調が続き、2023年〜2024年以降は、上がり下がりを繰り返しているものの比較的「凪」の状態で、高止まりで推移しています。水準としては概ね4%前後が、ここ2年〜3年にわたって続いている状況です。
直近の動きを具体的に見ると、2025年1月14日に4.7%程度と直近の最高水準を記録しており、その後4月7日に4.0%まで低下し、5月には再び4.5%程度まで上昇するなど上下動を繰り返しています。そして2026年3月4日時点では4.06%となっており、大きなトレンドとしては緩やかに低下する方向にあるといえます。
アメリカ政策金利の予想(2026年3月4日時点)
米国10年国債利回りの方向性をさらに大きく左右するのが、FRB(米連邦準備制度理事会)が決定する政策金利です。アメリカ政策金利の予想はFRBの会議ごとに予測されています。2026年3月4日時点の市場予想は以下の通りです。
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表の右上をご覧ください。現在の政策金利予想は3.50%〜3.75%です。向こう3回の会合については据え置きが見込まれており、その後、2026年7月頃に1回目の利下げ(0.25%)が実施され、さらに12月頃にも2回目の利下げ(0.25%)が行われる見通しです。そして、2027年以降はその水準が維持されると予想されています。
2026年中に計0.5%の利下げが見込まれており、これに伴って米国10年国債利回りにも低下圧力がかかる見通しです。
代表的な債券種類・格付けの利回り(最新・予想)
次に代表的な債券種類と格付けごとの最新の債券利回りと私の個人予想利回りをお伝えします。
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まずは最新利回り(2026年3月4日付)です。米国債(AA+相当・期間10年)は、現在4.0%となっています。次に最も多くの富裕層が投資する普通社債(A-相当・期間10年)は4.2%、そして普通社債よりもリスクがやや高い期限付劣後債(BBB相当・期間10年)は4.4%となっています。
2026年12月末時点の私の予想としては、米国債は3.8%程度に落ち着くと見ています。普通社債は4.0%、期限付劣後債は4.2%と、それぞれ現状から0.2%程度低下すると予想しています。利下げが予定通り実施されれば、全体的に0.2%程度の利回り低下が見込まれるでしょう。ただし、米国・イラン間の紛争に起因する原油高・インフレ基調の懸念もあり、少し下がる程度にとどまり、大幅な低下には至らないと見ています。
現在の利回り水準に比べて12月末は、全体的に債券利回りが低下するという状況を個人的には予想しています。
米ドル債券利回りの現状と見通しまとめ
「米ドル債券利回りの現状と見通し」について、ポイントを4つにまとめました。
ポイント1)米10年国債利回りは低下しつつ4%台をキープ
大きなトレンドとしては、米10年国債利回りは、低下しながらも4%を維持しています。
ポイント2)FRB次期議長候補で決まれば利回り低下要因
トランプ大統領が推薦しているFRB議長候補が新議長に就任すれば、2026年5月以降FRBの舵取りを担うことになります。そうなったとすると、基本的に利下げ方向の議長が3年間在任することが予想されるため、米ドル債券の利回りにとって低下要因の一つになると考えられます。
ポイント3)アメリカ・イラン紛争は激化すれば利回り上昇要因
米国・イランの紛争が激化した場合、利回りの上昇要因となります。 現状でもすでに原油価格は上昇していますが、紛争がさらに激化すれば原油高からインフレ再燃へとつながり、米ドル債券の利回りにとっては上昇要因となります。
アメリカ・イラン紛争による上昇要因と、ポイント2の利下げ要因とのせめぎ合いが、最大の注目ポイントです。今後の利回りの行方を大きく左右する2大要因といえるでしょう。
ポイント4)米国債4%に魅力を感じる富裕層の米債投資継続
大きなトレンドとして、米国債利回りは低下傾向にあるものの、それでも10年国債で4%台という水準に魅力を感じる富裕層の方の米ドル債券への投資意欲は現在も続いています。
米ドル円の現状と見通し
次に米ドル円の推移を見ていきましょう。
米ドル円の推移(過去5年)
過去5年のドル円相場を振り返ると、2022年以降は基本的に上昇トレンドにあります。2024年7月を頂点にした後は上下動を繰り返す展開となりました。直近のトレンドとしては、2025年1月に158円を記録し、その後、同年4月には140円まで急落(円高)しました。
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しかしその後は一転して上昇基調となり、2026年3月4日時点では157円となっています。大きなトレンドとしては、1年前と比べるとドル高・円安方向に推移しているといえます。
米ドル円と米10年国債利回りの推移(過去5年)
こちらは、先ほどの米ドル円と米10年国債利回りを合わせた、過去5年のチャートです。
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米国債利回りとドル円相場は、基本的に連動する傾向があります。利回りが上昇すればドル高・円安に、低下すればドル安・円高に向かうというのが基本的な関係性で、相関性が高いといわれています。
一方で、債券利回りは上昇して円高が進むときもあり、そのようなときは投資チャンスと捉えることができます。また、為替のみがドル高になり利回りが下がるときもあります。そのようなタイミングは米ドル債券投資にとっては不利な状態といえます。
このようなタイミングの有利不利をあまり意識せずに、為替と利回りをどちらも見たうえで判断する必要があるため、このように比較したチャートを参考にしていただきたいと考えています。
このチャートを見ると、概ね連動していることがわかります。利回りが上がればドル高・円安に進み、利回りが下がると円高に進んでいます。
しかし、2025年には、利回りと為替が乖離していたタイミングがありました。利回りが高水準で4.5%前後を維持していたものの、ドル安・円高が確認できます。これはトランプ大統領就任による米国の孤立化への懸念からドル売りが先行したためです。
ただし、2025年後半からは米国への信認が回復し、ドルは再び上昇基調に転じています。さらに、高市政権が量的緩和姿勢である可能性が高いという読みがあるため、さらに米ドル高・円安に拍車がかかったといえます。
2025年の年末頃から現在のチャートを見ると、連動性が取り戻されています。「米債券利回りが上昇すれば円安、低下すれば円高」といった連動した状況が続いているため、タイミングをあまり意識せずに米ドル債券投資に取り組みやすい環境といえるでしょう。
ドル円の現状と見通しまとめ
ポイント1)米利下げ基調、日本政策期待で米ドル高・円安進行
アメリカが利下げに向かう一方、日本の高市政権は安倍元首相の経済政策の流れを汲み、量的緩和的な財政スタンスを維持するとみられています。この兼ね合いで、ここ半年ほどは米ドル高・円安が進行していると考えられます。
ポイント2)日本の減税、金利上昇は財政不安連想し円安要因
通常、国の政策金利が上昇すると、その国の通貨を買えば利回りが上昇するため、通貨は買われる傾向にあります。しかし現在の日本においては、金利を上げると1,000兆円超の国債残高に対する利払い負担が増加し、財政の重石になることが懸念されます。
また、経済活性化策として消費税減税等が取り沙汰されていますが、これらも日本の財政不安を連想させ、結果的に円安を招く一因となっている点は見過ごせないポイントといえます。このように「金利上昇=円高」という従来の金利と為替のセオリーが成り立たなくなることで、円安要因が連鎖的に発生する可能性があると考えられます。
ポイント3)口先介入、日米協調でなんとか150円台をキープ
ドル高・円安が進行すると、輸入物価の上昇を通じてインフレが加速し、国民生活に深刻な影響を及ぼします。政府・日銀はこの事態を回避すべく、口先介入や日米間の協調により円安の進行をなんとか150円台にキープしているのが現状です。
しかし、こうした口先介入や日米協調がなければ、ドル円は160円〜170円台に達していた可能性もあるとみられています。実際のドル円の相場はドル高・円安が進行している印象がありますが、現在の157円前後という水準は、政治的な介入によって支えられている側面が強いといえるでしょう。
ポイント4)さらなる円安を懸念する富裕層の米債投資が増加
ドル高・円安進行の主因は、日米金利差の拡大にありました。しかし現在、アメリカは利下げ局面に入り、日本は利上げに転じることで、日米金利差は縮小しつつあるにもかかわらず、ドル高・円安が続いています。この背景には、日本の財政不安に対する懸念があります。
ギリシャ財政危機の例を見てもわかる通り、財政不安は、一度表面化すると解決せずに長期化・深刻化する恐れがあります。そのため、こうした財政不安による連鎖的・継続的な円安を危惧する富裕層の間では、自衛策として円資産を減らし、ドルの比率を高めるべく米ドル債券投資を増やす動きが強まっています。
2026年春の米ドル債券投資戦略
2026年春の米ドル債券投資の基本戦略を4つにまとめました。

戦略① 守りつつ攻めるバランス型で平均利回り5%目指す
過去1年を振り返ると、大きなトレンドとしては、米ドル債券利回りは下降局面にあります。そのなかで、最新の米ドル債券利回りは、米国債4.0%、米ドル社債でA-の格付けで4.2%、劣後債で4.4%が目安です。これらだけでポートフォリオを組むと、平均利回りは4%前半〜中盤にとどまります。
富裕層の方の目標として多い「平均利回り5%」を達成するには、守りを中心としつつ攻めを一部組み合わせるバランス型の設計が有効です。攻めすぎるとリスクが高まるため、攻めと守りのバランスが重要となります。
戦略② 格付けA台以上の信用力高い債券が中心
これは「守り」の部分です。ポートフォリオの土台となるのは、格付けA台以上の信用力の高い債券です。倒産リスクが低いこれらの債券を、ポートフォリオ全体の7割〜8割程度組み入れるのが基本戦略となります。
戦略③ 劣後債・低格付け債を一部活用し利回り底上げ
これは「攻め」の部分です。利回りの高い劣後債や低格付け債を組み入れ、ポートフォリオ全体の平均利回りを引き上げます。7割~8割を守りの格付けの高い債券で固め、残りの2割~3割を劣後債や低格付け債を活用することで、効果的に全体の利回りを底上げすることがポイントです。
戦略④ 残存期間を長くして高利回りを長期間享受
過去1年を振り返ると、米ドル債券利回りは下降局面にありますが、4%台という水準は決して多くないタイミングです。この利回りは歴史的に高いことを認識し、できるだけ残存期間の長い債券でポートフォリオを組み、高利回りを長期間固定することは、特に重要な戦略といえるでしょう。
米ドル債券ポートフォリオ最新設計例(2026年3月)
2026年春の米ドル債券投資戦略を踏まえた、最新の米ドル債券ポートフォリオ設計例をご紹介します。こちらは、実際に2026年3月時点の各債券の最新条件に基づいて作成したポートフォリオです。
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発行体(業種・国)
このポートフォリオは20債券で構成されています。業種はさまざまで、できるだけ分散することを意識しており、自動車メーカー、保険会社、銀行、娯楽、ITなどです。発行国は米ドル債券という性格上アメリカが中心となっていますが、日本やイギリスなど一部の国も組み入れています。
債券種類
普通社債が中心ですが、20債券中5債券は「攻め」の意味合いから期限付劣後債(普通社債より高リスク・高利回り)を一部含んでいます。
通貨・投資金額・保有比率
通貨は全て米ドル建てで、投資金額は1債券2,500万円、合計で5億円の債券ポートフォリオとなっています。1債券あたりの保有比率は5%です。
残存期間
残存期間は、一番短くて4.2年、一番長くて35.6年です。具体的には4年台、7年台、9年台、10年台、20年台、30年台と段階的に幅広く分散させたラダー型の設計となっており、平均残存期間は19.1年となっています。1年〜2年おきに償還を迎える構造になっているため、満期になった資金をまた長期債に再投資していくことで、長期にわたって安定した利回りを確保し続けることができます。
債券格付け
格付けは全体の約7割がA-以上の債券で構成されています。BBB台が4銘柄、BB・Bが2銘柄、ポートフォリオ全体の約9割がS&Pの格付けベースで投資適格債(BBB以上)となっています。残存期間が短い債券に投資非適格債(低格付け)を配置し、残存期間が長くなるほど格付けの高い債券を厚くしています。平均格付けはA-で、日本のメガバンク相当の水準です。
利回り
利回りは大半の債券が4%後半で構成されています。一部米国債やその他の債券に4%前半が含まれています。その中で、特に利回りが高い債券が3銘柄あり、No. 2の日本の投資会社の債券が8.9%、No. 9の米国の自動車会社の債券が6.0%、そしてNo. 13の石油会社の債券が7.7%となっています。これら3銘柄がいわば「スパイス銘柄」としてポートフォリオ全体の利回りを押し上げており、平均利回り5.1%を実現しています。
先ほどの戦略でお伝えしたように、「守りと攻め」のバランスをうまくとった債券ポートフォリオとなりました。組み合わせが非常に重要で、利回りを引き上げるのはあくまでも3銘柄に絞り、残りは守りを重視した債券の割合といえるでしょう。その結果、平均格付けはA-で、平均利回り5.1%を確保できています。また、残存期間は長めに設定しており、平均で19.1年と長期間、高利回りを固定できる設計となっています。
米ドル債券ポートフォリオ設計ポイントまとめ
米ドル債券ポートフォリオの設計ポイントを4つにまとめました。
ポイント1)平均利回り5.1%(米10年国債上乗せ+1.1%)
アメリカ10年国債利回りが4.0%である現在、それを1.1%上回る5.1%の平均利回りを得られるポートフォリオは、米ドル債券投資としてかなり魅力的な水準といえるでしょう。
ポイント2)利回り6%以上のスパイス3銘柄で平均利回り底上げ
攻めの債券として利回り6%以上の債券を3銘柄組み入れることで、利回りの向上に貢献しています。攻めの債券を多くし過ぎると、利回りは上がりますがリスクも高くなるので、3銘柄に留めています。銘柄数の調整はポートフォリオ設計において非常に重要なポイントです。
ポイント3)平均債券格付けA-(日本のメガバンク相当)
債券運用において最も重要なのは「守り」です。高利回りを狙うあまり、スパイス銘柄を入れすぎると、平均格付けがBBB、BBB-に下がってしまいます。したがって、格付けの高いA台の債券を主軸に据え、ポイントの債券で平均利回りを底上げする考えが大事です。格付けの高い債券を多めにして「守り」を重視することで平均格付けA-を維持しています。
ポイント4)平均残存期間19.1年(通常は10年前後が多い)
通常、相場観を意識せずにポートフォリオを組むと、平均残存期間は10年前後になることが多いです。しかし現在は、米ドル債券の利回りが歴史的に高い水準にあります。この認識のもと、平均残存期間を19.1年とあえて長めに設定しています。これにより、現在の高い利回りを長期間にわたって固定することが可能となるのです。
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