目次
はじめに
皆さん、こんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。
今回のテーマは、「トルコ人から学ぶ!円安・インフレ地獄の日本で資産を守る方法【トルコ現地調査実施】」です。
投資経験が豊富な方は、トルコに対して「高金利・高利回りの通貨」「インフレ率が高く、物価が上がり続けている国」といったイメージをお持ちではないでしょうか。実際、トルコでは過去10年以上にわたり通貨安が進行し、それに伴って輸入物価が上昇、高インフレが常態化しています。
その結果、生活費は5年前、10年前と比べて大きく上昇し、不動産価格や株価も急激に伸びてきました。まさに「通貨安・インフレ」が深刻な形で表面化している国といえます。
一方で、日本はどうでしょうか。現状はトルコほど極端ではないものの、円安の進行や物価上昇が続いており、「トルコの軽いバージョン」ともいえる状況にあります。この通貨安や物価上昇がさらに進めば、日本も将来的にはトルコと同じような状況に近づいていく可能性は否定できません。
こうした点から、日本の中長期的な未来を考えるうえで、トルコは貴重な研究対象であると考えています。実際に私は2025年12月にトルコを訪れ、現地で生活する人々の声を聞き、実際の物価水準、不動産市場、株式市場などを調査してきました。
本記事では、そのトルコの実情とデータをもとに、現在の円安・インフレ地獄の環境にある日本で、どのように資産を守っていくべきかをお伝えします。
本記事の内容は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の推奨や投資成果を保証するものではありません。
実際の投資判断にあたっては、ご自身の資産状況やリスク許容度を踏まえた慎重な検討が必要です。
トルコリラ円の推移(過去10年)
まず確認しておきたいのが、トルコリラの対円レートの推移です。こちらのグラフは、トルコリラ円の過去10年間の推移を示したものですが、ご覧のように、ほぼ一貫して下落を続けています。
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10年前と比較すると、トルコリラの通貨価値は約10分の1と大きく下落しています。もちろん、日本円もここ4〜5年でさまざまな主要通貨に対して売られ、円安が進行してきました。しかし、トルコリラの下落はその比ではありません。国の通貨としての価値は明確に下落基調であることがわかります。
トルコのインフレ率の推移(過去10年)
こちらは、トルコのインフレ率の推移です。前年と比べて、物価が何%上昇したのか、過去10年分の物価上昇率を表しています。
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このグラフを見ると、2016年から2021年頃までは、物価上昇率はおおむね10%前後で推移していました。もともとインフレ率は高い国ではあったのですが、2022年以降になると、物価上昇はさらに深刻になっていきます。月によっては30%、高い月では50%、60%近くまで上昇している月もあり、2022年以降のインフレ率はかなり厳しい水準になっています。
平均で見ると、過去10年では、毎年おおよそ20%から30%程度、物価が上がり続けているイメージです。仮に毎年20%ずつ物価が上昇すると、10年で物価は約6倍になりますし、30%であれば13倍程度になります。この水準まで物価が上がると、正直、通常の生活はかなり厳しくなります。
私自身、実際にトルコを訪れて感じたこととして、最初は「リラがこれだけ安いので、円をリラに替えれば、かなり安く生活できるのではないか」というイメージを持っていました。
しかし、実際にはそうではなく、食事や日用品の価格はかなり高く感じました。体感としては、日本では1,000円で買えるものが、トルコではそれ以上するケースも多く、日本の1.3倍から1.5倍程度の価格水準になっている印象です。
トルコでは通貨の価値は10年で約10分の1に下がっていますが、その一方で物価は年率20%〜30%上昇しているため、結果として価格が相殺されている状態といえます。
ただ、これは旅行者や海外から来た人にとってはまだ対応できます。トルコでは物価は上がっていますが、トルコリラ自体の価値は下がっているため、円をリラに換えれば、一定程度やりくりできます。
一方で、現地でリラ建ての収入だけで生活している人にとっては、非常に厳しい状況です。多くの人は十分な外貨資産を持っているわけではなく、毎年20%〜30%も物価が上昇するなかで生活を続けるのは、本当に大変です。実際に現地の人たちの話を聞いてみても、生活はかなり苦しいという印象を受けました。
こうした状況になる背景には、まずトルコリラの下落があります。トルコリラが長期間にわたって下落を続けることで、輸入物価が上昇し、輸入品の価格が大きく上がっていきます。
さらに、2021年には通貨安が進んでいるにもかかわらず、利下げを行う金融政策が取られたことで、リラ安とインフレに拍車がかかりました。その結果、通貨とインフレのコントロールが難しい状況に陥っている、というのが現在のトルコの実情です。
もちろん、日本は現時点でここまで深刻な状況ではありませんし、物価や金利も一定程度コントロールされているとは思います。ただし、今後も円安が続いたり、政策判断を誤ったり、金利上昇が続いたりするなど、想定外のことが起こった場合には、物価をコントロールできなくなり、通貨安とインフレが負のサイクルとして加速し、トルコまでの状況にはならないまでも、今よりも状況が悪化する可能性は十分にあるのではないかと考えています。
トルコを実際に訪れてみて、日本も決して他人事ではないと感じたのが率直な実感です。
トルコの住宅価格指数の推移(過去10年)
次に不動産価格がどのように推移しているのかを見ていきます。こちらは、トルコの住宅価格指数の過去10年の推移です。

このグラフを見ると、住宅価格は大きく上昇しています。2016年から2021年頃までは大きな変化はありませんでしたが、2021年に金融政策として利下げが行われ、リラ安に拍車がかかって以降、状況が大きく変わっています。
実際にインフレ率が急激に高くなり、50%を超えるような高いインフレ率が続くようになったのが2022年頃ですが、それ以降、トルコの不動産価格は大きく上昇しています。2022年以降を見ると、前年と比べて毎年プラスで推移していることがわかります。
では、過去10年間で住宅価格がどれくらい上昇したのでしょうか。2016年と比較して、約23倍になっています。日本でも「不動産価格が上がっている」といわれていますが、トルコの上昇率はそれとは比較にならない水準です。
このように、トルコでは住宅価格が極めて大きく上昇しており、これが過去10年のトルコの住宅価格指数の動きになります。
イスタンブール100種指数の推移(過去10年)
最後に、株式市場の動きを見ていきます。こちらのチャートは、日本でいう日経平均株価に相当する、トルコ株式市場の代表的な指数「イスタンブール100種指数」の過去10年の推移を示したものです。
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2016年から2021年頃までは、指数は比較的なだらかな動きで、緩やかな上昇にとどまっていました。ところが、インフレが急激に悪化した2022年以降、株価は明確にトレンドを変え、急上昇局面に入ります。結果として、過去10年間でイスタンブール100種指数は約15倍にまで上昇しました。
この動きは住宅価格と同じです。住宅価格は10年で約23倍、株価は約15倍となっており、いずれも大きく上昇しています。つまり、これらの推移からもわかるように、通貨安をきっかけにインフレが進み、その結果、不動産や株価の上昇につながっています。
一方で、生活コストや家賃が急激に上昇するなかで、「給与を受け取り、預金だけで生活する」という選択肢は、トルコでは現実的に成り立たなくなっていました。仮に、物価が10年で6倍、あるいは10倍以上になる環境で、預金だけに頼って生活を続けたとしたらどうなるでしょうか。生活が立ち行かなくなるのは当然のことです。
現地で多く聞かれた資産防衛の方法は極めて明確です。それは「不動産を保有する」ことと「株式を保有する」ことです。10年で不動産は約23倍、株式は約15倍という状況で、インフレに強い資産を持つことが「生き残るための前提条件」になっているのです。
資産を守る4つの方法
それでは最後に、今回のテーマである「トルコ人から学ぶ!円安・インフレ地獄の日本で資産を守る方法」について、これまでお伝えしてきたトルコの現状や経済的な各種データを踏まえたうえで、4つのポイントにまとめてお伝えします。

ポイント1)資産全体に占める外貨の割合を5割以上にする
外貨比率をしっかり高めておくことが重要と考えます。今後、円がどうなるかは正直誰にもわかりません。ただ、円安が今後も続く可能性は十分に考えられますし、そうしたなかで円だけを持ち続けるのは、通貨リスクを抱えることになります。
そのため、円だけでなく、外貨を持つということが、通貨安に対する当然の対抗策と考えています。
今後、円安・円高どちらにいったとしても、ニュートラルな通貨のバランスは、5割ずつです。まずはこの5割を目指して、円と外貨に振り分けていくこと、これが通貨安から資産を守る最もシンプルな方法かと思います。
ポイント2)外貨建て債券で外貨の利息収入を増やす
1つ目は「資産の一時点」の話で、資産の半分を外貨にすることで、円安リスクをヘッジできます。2つ目は「収入」の話になります。
入ってくる収入も通貨安の場合、通貨安が進みインフレになると、円の価値は実質的に下がっていきます。例えば、毎年1,000万円の円収入があったとしても、インフレが進めばその実質的な価値は700万円、800万円程度に目減りしてしまう可能性もあります。
そこで重要になるのが、外貨建ての収入です。外貨で利息収入を得ていれば、円安が進んだ場合には、その価値は上昇していくので、結果として、円安インフレについていくことができるわけです。通貨安になると、実際の収入が増えるような利息は、外貨建ての収入です。
それを安定的に得るための有効な選択肢は、外貨建て債券への投資です。米ドルなどの外貨建て債券を保有することで、毎年安定的に外貨の利息収入を得ることができます。資産全体の半分を外貨にし、その外貨を「外貨建ての収入を生む資産」に変えていくこと、これが2つ目の方法です。
ポイント3)借入を使って国内不動産への投資を増やす
先ほどご紹介したトルコのデータからもわかるとおり、インフレに最も強い資産は、やはり国内不動産です。特に実物資産の王様といえる国内不動産は、実物資産の中でもインフレ耐性が最も高い資産といえます。
さらに、国内不動産の大きなメリットは、借入を使って投資できる点です。例えば、1億円の物件を、全額自己資金で購入するのではなく、頭金3,000万円、借入7,000万円といった形で投資することができます。不動産は、このように借入を活用して、一定程度以上の規模の投資ができる数少ない資産です。
投資後にインフレが進んだとすると、資産価値の上昇や家賃収入の上昇が期待でき、今後のインフレについていける可能性が高いのが国内不動産です。インフレから資産を守る、シンプルかつ王道の手段として、借入を活用した国内不動産投資は最も有効な策ではないかと思います。
ポイント4)日本株式の投資割合を多くする
トルコの株式市場のデータでもお伝えしましたが、インフレが進むと、その国の株価は基本的に上昇しやすくなります。トルコでは株価指数が10年で15倍にもなりました。
日本株式もここ数年で大きく上昇していますが、企業業績の改善だけでなく、インフレの影響も大きいと考えられます。実際にインフレ率は高くなりつつあり、政策を見ても、今後さらにインフレを容認していく流れのように見えます。
インフレについていくという観点で考えると、その国の株式を持つことは非常にシンプルな選択です。つまり、日本でインフレが進むのであれば、日本株式の投資割合を増やすことが、結果的にシンプルにインフレから資産を守る方法につながるのではないでしょうか。
本日は「トルコ人から学ぶ!円安・インフレ地獄の日本で資産を守る方法【トルコ現地調査実施】」という内容でお届けさせていただきました。
円安とインフレが同時に進む環境では、「何に投資するか」だけでなく、「資産全体をどう設計するか」がこれまで以上に重要になります。外貨比率の考え方、外貨収入の確保、借入を活用した不動産投資、日本株式の位置づけなど、これらはすべて、資産全体を捉えた戦略の中で判断すべきテーマです。
ウェルス・パートナーでは、お一人おひとりの資産状況やご意向を丁寧に伺いながら、円安・インフレ時代に対応したオーダーメイドの資産戦略をご提案します。ぜひ一度ご相談ください。