皆さん、こんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。
今回のテーマは、「医師が株式や円高でも一喜一憂しない資産運用法」についてです。
現在は2025年4月ですが、株や為替は非常に激しい値動きが続いています。株価については、指数ベースで1日に5%前後上がったり下がったりすることもあり、為替市場でも急速に米ドル安・円高へ動く場面が見られています。
こうした状況の中で、医師の先生方の中にも、株や為替の動きにストレスを感じている方がいらっしゃるかもしれません。しかし、資産運用というものは、基本的に長期的な視点で取り組むべきものだと考えています。だからこそ、目先の値動きに一喜一憂することなく、腰を据えて資産運用に向き合うことが大切です。
今回は、仮に株安や円高でも、一喜一憂せず、長期目線で資産運用に取り組むための考え方と具体的な方法について、お伝えしていきたいと思います。
目次
日経平均株価とS&P500の推移(過去3年)
まずは、直近の株式市場の動きについて、日経平均株価とS&P500の過去3年間の推移を確認していきましょう。
こちらのチャートは、日経平均株価(青)とS&P500(赤)の、過去3年間における株価の推移を示したものです。グラフの右端が直近(2025年現在)の動きになります。
基本的にはこの3年間、両指数とも右肩上がりで推移してきましたが、特に2025年3月以降、大きな下落が見られています。
その背景には、アメリカが高関税政策を発表したことにより、世界経済の減速懸念が広がったことが挙げられます。それを受けて株価が急落している様子が、このチャートからも読み取れるかと思います。
このような値動きを見ると、「今、株を買うのは少し怖い」と感じる方も多いのではないでしょうか。実際、今回のタイミングでは、日経平均株価が3万8000円台から3万2000円台へと急落し、10%以上の下落となっています。
こうした大きな値動きがある中で、多額の資金を投資するには、やはり相応の勇気が求められます。しかし、まさにこうした値動きこそが、株式という資産の特性とも言えます。
S&P500日次推移(2025年4月1日-16日)
こちらは、S&P500(アメリカ株)の2025年4月1日から4月16日までの日次推移を示したものです。
ご覧の通り、わずか2週間程度の短期間でも、非常に大きな値動きがありました。たとえば、4月3日と4日にはそれぞれ-4.8%、-5.9%と、2日間で合計10%強の下落を記録しています。一方で、4月9日には+9.5%と、大幅な上昇も見られました。
このように、株式市場は短期的に非常に激しく上下することが、こうした指数の動きからもよく分かります。
まとめ
では、今回のテーマ、「医師が株安や円高でも一喜一憂しない資産運用法」をまとめます。ポイントは4つです。
ポイント1)本来の運用目標を思い出し長期運用に徹する
株価が数%上下するだけでも、資産額にはある程度のインパクトはあります。ただ、そもそも株式などに投資を始めた目的を、今一度考えてみていただきたいと思います。たとえば、インフレに対するリスクヘッジ、経済成長に対応するための資産形成、資産配分の最適化、あるいは将来的にお子様へ資産を引き継いで相続対策を行うことなど、いずれも長期的な目標があったはずです。短期的な値動きに一喜一憂するのではなく、自分自身の原点となる運用目標を思い出し、目先の変動に感情を左右されないことが大切ではないでしょうか。
ポイント2)安全資産の割合を高めた上でしっかりリスク分散
これは感情論ではなく、具体的な実践方法になります。先ほどご覧いただいたチャートの通り、株式市場は非常に値動きが激しいものです。そのため、特に一喜一憂しやすい先生方にとっては、資産全体に占める株式の割合を控えめにし、ヘッジファンドのような安全資産、たとえば預金や債券などの割合を高めることが有効だと考えます。値動きが激しくない資産の割合を高めた上で、さまざまな資産にしっかりとリスク分散をすることが大切です。実際、株式市場が下落している局面でも、金(ゴールド)などは値上がりすることがあります。このように、異なる値動きをする資産にも分散投資を行い、安全資産の割合を高めていくことが重要な手法だと思います。
ポイント3)株式や暗号資産など値動きの激しい資産は積立投資
たとえば、まとまった5000万円を一括で株式に投資するのは、かなり勇気が必要ですよね。もし投資した翌日に10%下落してしまったら、資産に大きな影響が出てしまいます。そのため、株式や暗号資産のように値動きが激しい資産については、時間を分散して積立投資をしていくことをおすすめします。たとえば、5000万円を半年から1年、あるいは長い方なら2年ほどかけて、毎月200万円ずつ投資していくという方法です。このように時間を分散することで、大きな下落リスクを抑えて購入単価を平準化していくことで、安心して資産運用を続けていくことができるのではないでしょうか。
ポイント4)資金や収入など余裕のある範囲で運用する
仮に5億円の資産を持っている方が、そのすべてをリスク資産に投資してしまうと、たとえ10%下落しただけでも、大きな金額の変動となり、不安を感じやすくなります。たとえば、5億円の資産がある場合でも、投資額を3億円や4億円に抑えるといった判断や、さらに定期的な収入がある方であれば、運用資産が多少値下がりしても収入が支えとなり、より安心感を持つことができます。このように、自分にとって無理のない運用額になっているかを、しっかりと見極めることが大切です。もし株安や円高の局面で強い不安を感じる場合は、運用に回している金額が少し大きすぎる可能性もあります。適切な運用額を見直し、精神的に余裕を持てる範囲で資産運用を行うことが、非常に重要だと考えています。
本日は、「医師が株安や円高でも一喜一憂しない資産運用法」という内容でお届けさせていただきました。

株式会社ウェルス・パートナー
代表取締役 世古口 俊介
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。
2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者1万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
メディア掲載情報:「m3.com」「ZUU online」「MONEY zine」「マネー現代」でコラムを連載中