目次
はじめに
資産管理会社で資産運用を行うことには、多くのメリットがあります。
しかし、「資産管理会社とは何か」「どんなメリットやデメリットがあるのか」と疑問に感じる方も多いでしょう。
そこで、この記事では、資産管理会社とは何か、資産管理会社を利用するメリットとデメリットや、実際の活用事例例について解説します。この記事を最後までお読みいただければ、資産管理会社の活用法を理解し、より安心して資産運用を進めることが可能になります。資産運用に関する知識が深まり、今後の資産運用の一助となることでしょう。
資産管理会社とは?基本的な役割と目的
資産管理会社とは、金融資産や不動産など資産の運用や管理を専門的に行うことを目的とした企業を指します。
資産管理会社が一般の会社と異なるのは、資産運用・管理以外の業務を行わないことです。
主な収入は、不動産による賃料収入、株式や債券を運用することによる配当・利息収入です。
また、資産管理会社は資産承継、相続対策を目的として活用される場合も多くあります。
資産管理会社設立のメリットとデメリット
富裕層の方々にとって資産管理会社の設立にはメリットとデメリットがあります。
次の表は、金融資産を個人と資産管理会社で運用した場合の税金に関するメリット・デメリットを比較したものです。
ここでは、金融資産運用における税金の面から資産管理会社のメリット・デメリットを解説します。
税率
税率の点では個人が約20%、資産管理会社が利益の金額によって実効税率が21~33%です。
このため、税率の点だけ見ると、個人で運用する方にメリットがあるということになります。
経費算入
個人の場合、基本的に金融資産運用で経費算入はできません。
一方で資産管理会社の場合、例えば米ドル債券の運用で一定の利益があり、その利益に対して会社の目的を達成するために支払われた経費は、原則として経費に算入することができます。
この場合、米ドル債券の利益に関する支出だけでなく、資産管理会社の目的(例えば資産承継など)を達成するために生じた経費であれば、基本的に全て経費参入できます。
このような意味で、資産管理会社は経費算入の幅が非常に広いため、大きなメリットがあるといえるでしょう。
損益通算
損益通算は個人の場合でも、ある程度は可能です。米ドル債券の利息と株の売却損など、または米ドル債券の損失、値下がり損、株の配当などを損益通算できます。
ただし、個人の場合は金融資産以外、例えば個人で不動産を保有している場合や、事業を行っている場合は、これらの損失や利益とは損益通算できません。あくまで、金融資産のなかの損失と損益通算できるため、損益通算は△としています。
一方で資産管理会社は〇です。資産管理会社など法人は、発生した利益と損失を全て合算できるので、損益通算の点では◯になり、大きなメリットがあるといえます。
所得の分散
個人の場合、金融資産運用で利益が発生した場合でも所得分散はできません。例えば、米ドル債券運用で2,000万円の利息が得られたとしても、家族へ分散することは不可能です。
一方、資産管理会社であれば家族を役員や社員とすることで、利息2,000万円のうち一定額を役員報酬や給与として渡すことができます。
このため、資産管理会社には所得分散の面でも大きなメリットがあるといえます。
損失繰越
次に損失繰越についてです。これは、米ドル債券投資やその他の投資など、金融資産の運用で損失が出てしまった場合、その年で消化しきれなかった損失を何年間繰り越すことができるかということです。
個人の場合、損失は3年繰り越しできるので△としています。一方、資産管理会社は10年間の長期にわたって損失繰越が可能です。このため、損失繰越の面でも資産管理会社にメリットがあります。
資産承継
個人で金融資産を運用する場合、基本的に資産承継効果はありません。
例えば個人が米ドル債券を運用して対して発生した利息や値上がり益は、すべて個人の利益になります。つまり、個人として資産が増えていくので、基本的に資産承継効果はありません。
一方で資産管理会社の場合は、親族(特にお子様)を資産管理会社の株主にすると、債券の利息や値上がり益で純資産が増えていくと、あくまでも親族の資産として増やせる効果があります。
このため、資産管理会社は、中長期に見て資産承継効果が非常に高く、大きなメリットがあるといえます。
メリット・デメリットをまとめると、個人の場合は、税率のみ20%は優れていますが、基本的に×や△で、税率以外の5つの項目は、資産管理会社の方にメリットがあります。
また、資産管理会社は経費算入や損益通算、損益通算などで、実質的に税金の軽減効果が高い点も見逃せません。
相続対策に悩む富裕層の方々にとって、資産承継効果は大きなメリットといえるでしょう。
資産管理会社を資産承継に活用した事例
ここまで解説したとおり、豊富な資産を持つ富裕層の方々にとって、資産管理会社の設立は税金面で大きなメリットがあります。
また、紹介したとおり、資産管理会社の設立は資産承継面でも大きなメリットがあります。
ここでは、資産管理会社を資産承継に活用した事例について解説します。
まず、資産管理会社を資産承継に活用するイメージをみてみましょう。
これは、代表(富裕層である親御様)や銀行からの借入金6億円を、外国債券や国内不動産に投資している資産管理会社のイメージです。
この資産管理会社を設立する際には、お子様が出資をして株式を取得しています。
このため、運用資金は代表(富裕層である親御様)や銀行からの借入金ですが、お子様が株式を持っているため、運用によって増加した資産もそのままお子様の資産となります。
つまり、資産管理会社を設立にあたって、親御様が株式を持たず、お子様が株式を保有することで資産承継の効果が得られるということです。
では、資産管理会社を資産承継に活用することで、どんなメリットがあるのでしょうか?
相続税対策になる
1つ目のメリットは相続税対策になるということです。
すでに解説したとおり、お子様が株主のため投資で増えた資産は、そのままお子様の資産となっているので、これで相続対策になっています。
つまり、最終的には運用で増えた資産分の相続税を減らせるということになります。
また、資産管理会社で不動産に投資している場合は、管理会社の株式の評価が下がりますので、この面でも相続税の対策になります。
実質的に不動産の贈与が可能
上記イメージでは、外国債券だけでなく国内不動産にも投資しています。
資産管理会社で不動産に投資すると、実質的に不動産の贈与が可能になるというメリットがあります。
不動産を個人で持ってる場合、贈与するには登記を変更する必要があるため、手間やコストがかかります。
しかし、不動産を資産管理会社に持たせると、お子様に管理会社の株式を渡すだけで、実質的に不動産を贈与しているということになります。
また、不動産を複数の親族へ贈与する場合は、非常に手間がかかります。
資産管理会社であれば、株式を株数単位で譲渡するだけで実質的に不動産の贈与が可能となります。
資産管理会社を活用した資産承継対策については次の動画で詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
まとめ
資産管理会社による資産運用は富裕層の方々にとって、さまざまなメリットがあります。
ただし、資産管理会社の設立と維持にはコストと労力がかかるのも事実です。
また「どうやって資産管理会社を設立するのか分からない」「誰に相談すべきか」と悩まれる方も多いでしょう。
私たちウェルス・パートナーは、これまで多くの富裕層の方々から資産管理会社に関する相談をいただき、設立のお手伝いをさせていただいております。
相談は無料となっていますので、資産管理会社の設立を検討されている方は、ぜひ気軽にご相談ください。
株式会社ウェルス・パートナー
ポートフォリオマネージャー
早稲田大学国際教養学部卒業後、大和証券株式会社へ入社。富裕層と会社経営者を中心とした資産運用のコンサルティング業務に従事。顧客の資産全体の最適化や会社経営者への相続対策まで支援をしたいという思いがあり、株式会社ウェルスパートナーに入社。