目次
はじめに
皆さん、こんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。
本日のテーマは「利回りが下がっても米ドル債券に投資する富裕層が減らない理由」といった内容でお届けします。
今回も米ドル債券に関してですが、2024年の今年は、大半のタイミングでアメリカの10年国債利回りは基本的に4%を超えているタイミングが多かったので、非常に世の中の金利が非常に高く、皆さんが投資されるようなドル建ての社債であったり、その他の債券の利回りもかなり高い状態にありました。
しかし、実は足元では、この米10年国債利回り水準は3.6%〜か3.7%ぐらいを推移しているという状況になりますので、2024年という1年の中だと、比較的金利が下がっている低い状態です。米10年国債利回りが低いので、ドル建て債券の利回りの水準も一時期よりかなり下がっている可能性が高いと思っています。
今回のタイトルの通り利回りは実際に下がっていますが、ただ私の実感として、実際に当社にご相談いただく富裕層の方の、米ドル債券投資のニーズは衰えておらずmいないと言いますか、相談数も全くまったく減っていません。投資されたいという方がむしろ多い状況になっています。このようにアメリカの債券の利回りが下がっても、そのような富裕層の方の投資が減らない理由について、今回はご説明できればと思います。
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利回りが下がっても米ドル債券に投資する富裕層が減らない理由
では、利回りが下がっても米ドル債券に投資をする富裕層が減らない理由についてお伝えできればと思います。今回結論からお伝えできればと思います。
ポイント1)米国債の利回り3%台ならまだチャンス
1つ目は、米国債利回りは一時期より下がっているとは言っても、米10年国債利回り3%台というのはアメリカの経済の実力や長期債の利回りの水準などを考えると、まだ高い水準であると考えている富裕層が多いので、投資される方が減らないのだと考えているのが1つ目です。
一時期は、今年の6月や7月は米10年国債利回りでも、4.3%~4.4%程度の水準もありましたし、2024年で一番高い時だと4.7%の時もありました。今3.6%~3.7%ですから、一番高い時から1%程、利回りが下がっていることになります。そのほかの債券の利回りも近いぐらい下がっていることにはなるのですが、ただそれでも、米国債利回り3%後半であれば、まだまだこの利回り水準は高い状態であると、多くの富裕層が考えられているので、投資する方が減らないと考える1つ目の理由です。
ポイント2)米20年、30年債はまだ利回り4%台
2つ目は、ずっと利回りが3.6〜3.7%とお伝えしているのですがいるのは、これはアメリカの10年国債利回り、期間10年のアメリカの国債の利回りの話です。一方でさらに期間が長い、期間20年の米国債、30年の米国債は、実はまだ利回りは4%台、4%強程度を維持しています。ですので10年国債利回りよりも、20年・30年の方が、0.3%、0.4%程度利回りが高い状態になっています。
米ドル建ての社債に投資するとしても、期間10年の債券よりも20年債やとか30年債の利回りは方が、基本的に0.3%や0.4%でなど基準になるような利回りは、高いということになりますので、20年債や30年債など長い債券に投資すれば、まだまだ米国債利回りベースで4%水準の利回りが得られるということです。
それであれば、短い債券より期間が長い債券に投資することで、利回り4%を得ることができます。まだ高水準の利回りを得ることができるということで、このような期間の長い債券に投資すればいいと考えて、実際に投資される富裕層の方が多いので、投資が減らない理由の1つになっていると思います。
ポイント3)社債に投資すれば利回り4%以上は確保できる
3つ目は、米国債の利回りは、確かに10年国債利回りで3%後半が大分定着はしてきたのですが、ただあくまでもアメリカという国が発行している米国債だからです。会社が発行しているドル建ての債券ですと、高格付けのAやAA程度の債券で会社が発行している債券であれば基本的に利回りは4%以上です。
期間10年の債券でも4%以上は出る債券が大半だと思いますので、米国債だと少し利回りは見劣りしますが、社債に投資して利回り4%以上を得ることができます。それであれば米国債に投資するのではなくて、社債に投資して4%以上の比較的高い利回りを得ればいいということで富裕層の方の米ドル建て債券投資が減らないという理由になっていると思います。これが3つ目です。
ポイント4)米ドル円は円高で投資しやすい140円台の水準
最後に、4つ目の理由は為替です。為替もドル建て債券の最終的な利益に与える影響が大きいです。利回りと同じぐらい重要な要素にはなっているのですが、為替に関しては、一時期ドル円の水準で、今年の7月は160円前半ぐらいまで、161円や162円までドル高円安の水準になっていたのですが、足元で円高がかなり進んだわけです。今だと140円前半になっているわけですから160円台の時からすると、10数%分円高になって行っているわけです。
多くの富裕層の方は日本円をたくさん持っていますので、このようなドルに投資したい、ドル建て債券に投資したい方が多かったのですが、やはり為替がドル高円安すぎて投資できない方が非常に多かったわけです。
ですので、もし今の水準より円高に行ったら、円をドルに変えて債券に投資したい方が多くいるわけです。
為替が理由で、ドル建て債券に投資できなかった方たちが、円高が進んで、ドル円が140円台前半になっていることによって、ようやくドル建て債券に投資できるようになった。エントリーできるようになったというのがありますので、そのような人たちが今まさに投資をされているわけです。
ですので最後の4つ目の理由は、為替のことところです。ドル円140円台前半という、非常に投資しやすい為替の水準になっているところが、富裕層の方の投資がドル建て債券の投資が減らない、理由の4つ目となっています。こういったところが、利回りが下がっても米ドル債券に投資する富裕層が減らない理由のまとめです。
特に重要なのは、1つ目の米国債利回り3%台なら、まだチャンスであるというところは、若干漠然としていると思いますので、過去のチャートや10年国債利回りのチャート・、推移を見ながら、私なりの考えであったりをお伝えしてより詳しくご説明できればと思います。
米10年国債利回りの推移(過去5年)
こちらの資料でアメリカの今の3%台の利回りというのがどういう状況なのかについてお伝えしていければと思います。こちらはアメリカ10年国債利回りの過去5年の推移のチャートを表しています。この青いチャートが10年国債利回りの過去5年の推移になっているわけです。
色が違う網掛けをさせていただいているのですが、これが利回りの水準になっています。アメリカの経済の状況を考えた時に、この水準の利回りであれば、すごくチャンス・普通にチャンス・普通の状態である・利回りが低い状態である、と考えて色分けをしていますので、1つずつご説明できればと思います。
利回り4%以上の時は、一番上の網掛けをしている薄い赤い色になります。、これぐらい利回りが高いと、間違いなく超投資チャンスと言っていいと思います。利回りが3〜4~4%、今まさにそうなのですが、3〜4~4%でもかなりチャンス、普通にチャンスと言っていいと思います。まさに今のタイミングです。
その下の利回り2〜3~3%、薄い緑色の色を掛けているところなのですが、2~3%で、普通の利回りの状態と考えていいと思います。アメリカの今の経済の実力や成長率、インフレを考えて、経済がニュートラルな状態であったとすると、これぐらいが2~3%というのが普通の状態と考えてよいと思います。
利回り0~2%はどうかと言いますと、0~2%、2%以下になってくると、やはり2%以下だと少し低いと思います。2~3%が普通ですので、利回り2%以下だと低い状態です。アメリカの経済が2%以下の状態はどういう時かというと、コロナの対策のために金利を下げて、経済の対策をした時2020年や2021年は2%を切っていたわけです。
経済が衰退している時は2%を切ったりするわけですので、やはりそういう時だと2%を切るのですが、そのタイミングはやはり、米10年国債利回りのタイミングとしては低い状態です。あるので、投資のチャンスではない可能性が高いと考えているわけです。普通の状態が2~3%、緑の状態で、今はどうかというと、足元の状態はこのチャートの一番右側になっているわけです。
2024年大半のタイミングで4%の利回りではあったのですが、今年の7月後半ぐらいから金利が下がってきました。ので、そこから4%台を切って、足元だと2024年の9月19日だと3.7%になっているわけなのですが、ただ4%を割ったとしても、今の利回りは3.7%ですから、まだ普通のチャンスの真ん中より少し上ぐらいある状態になりますので、チャンスはチャンスです。
チャンスはチャンスですので、富裕層の方々も、さらに今後下がっていく前に、今の状態であれば普通に利回りは高いので投資した方がいいと考えます。米ドル債券が4%を割っても今の状態でも投資される富裕層の方が多い。投資される富裕層の方が減らない理由になっているわけです。
まだまだチャンスに考えている富裕層の方が多いということになっています。
本日は、「利回りが下がっても米ドル債券に投資する富裕層が減らない理由」といった内容でお届けさせていただきました。
株式会社ウェルス・パートナー
代表取締役 世古口 俊介
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。
2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者1万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
メディア掲載情報:「m3.com」「ZUU online」「MONEY zine」「マネー現代」でコラムを連載中