目次
はじめに
(世古口):皆さん、こんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。本日のテーマは、「富裕層の一棟不動産投資最新実例①東京都渋谷区の物件」です。当社で不動産実務を行っている中武と共に進めていきます。今回は一棟不動産投資の最新実例ということで、富裕層の方が一棟不動産投資をするときの典型的なパターンの投資実例を出してご説明していきます。2記事に分かれてまして後半では神奈川県の物件について解説していきます。
(中武):今回は2パターン用意しています。それぞれ比較的多いパターンですので、ご参考にしていただければと思います。
(世古口):2記事に分かれてまして後半では神奈川県の物件について解説していきます。不動産投資は主に2パターンあり、その方の不動産投資の目的や資産背景によってどちらを選んだ方がよいのか、明確に分かれる実例の違いがあるので、ぜひ皆さんの不動産投資のご参考にしていただければと思います。
▼神奈川県川崎市の物件事例はこちら
▼今回の内容はYouTubeでご覧いただけます
富裕層の一棟不動産投資最新事例①東京都渋谷区の物件
物件概要
(世古口):富裕層の一棟不動産投資最新事例、2つのうち1つ目からお話しします。最初にどのような物件実例なのかをご説明します。
(中武):立地に関しては、東京都渋谷区の物件です。最寄駅徒歩10分とありますが、恵比寿や渋谷などの駅から徒歩10分、かなり好立地の物件といえます。建物の種別は一棟RC造、鉄筋コンクリート造の一番強固なマンションです。築年数は8年、それほど築年数は経っておらず、比較的築浅といわれるものです。
(世古口):10年以内なので、ぎりぎり築浅ですね。
(中武):物件の金額は4億5,000万円、そのうち土地が3億2,000万円、建物部分が1億3,000万円という内訳になっています。
(世古口):これぐらい立地がいいと、土地の割合はこれぐらい高くなるイメージが多いですか?
(中武):はい。こちらは多分25%くらいが建物の割合なので、比較的土地の割合が大きい不動産かと思います。
(世古口):もう少し中心を外れると、土地6割、建物4割や、半分半分くらいのイメージが強いですが、これぐらい立地がよいとこの程度の割合になるのですね。
(中武):はい。次に借入条件は、3億5,000万円まで借入できて、金利は0.8%、期間は35年まで借入することができます。
(世古口):借入金額は4億5,000万円の物件金額に対して3億5,000万円なので、割合はどれぐらいでしょうか?
(中武):75%~80%に近い金額の割合です。
(世古口):これは今の融資状況考えると、破格の条件ではないかと思いますが、いかがでしょうか、
(中武):はい。都内で、銀行の評価が珍しく高い物件になっています。
(世古口):金利が相当よいですが、取り組まれた方の属性に起因するところが大きいのでしょうか?
(中武):そうです。この方の属性、資産状況、資産背景からこの金利になっています。
(世古口):純資産ベースでどれぐらいある方がこちらの物件に取り組まれて、この金利だったのでしょうか?
(中武):5億円以上です。
(世古口):5億円~10億円ですね。投資不動産ローンの場合、期間30年がMAXというのが一般的な理解かと思いますが、期間35年は結構長いですね。
(中武):そうですね。期間30年が一般的ではありますが、なかには期間35年も可能な金融機関もあります。この物件に関しては、金融機関もそうですし、この物件ありきというところで期間35年で承認をいただきました。
(世古口):なるほど。借入条件に関しては金額、金利、期間共に申し分ないというか、かなり破格の条件に思えます。
(中武):今回のこの物件は、特に借入条件がすごくうまくいってる物件なので、投資としてもかなり成功しやすいかと思います。自己資金は諸費用分、税金や手数料などを含んだ上で1億2,000万円が目安になっています。
(世古口):物件金額だけだと4億5,000万円ですが、借入3億5,000万円と自己資金1億2,000万円を合わせて、諸費用も含めると4億7,000万円の不動産投資ということですね。
(中武):そうです。表面利回りは4.5%、実質利回りベースで3.9%になっています。
(世古口):渋谷区で最寄駅から10分という立地を考えたときに、この4.5%という利回りは結構高いのではないかと思いますが、いかがでしょうか?
(中武):これは結構高い方です。4%前半が大体の目安かと思いますので、なかには3%台の物件がある相場状況のなかで4.5%というのは、かなりよい部類に入ると思います。
(世古口):実質利回り3.9%で、管理費や諸費用などを引いた後の手残りの利回りが3.9%ということですね。最後の実質ROE利回り、これは初めて聞く方もいらっしゃると思うので、詳しくご説明をお願いします
(中武):この実質ROE利回りとは、自己資金に対してどのくらい収益性が上がっているのかを示す指標です。今回、管理費や税金などを引いた実質利回りが3.9%です。そこから借入に対する金利分のコストを引いたものを自己資金から割り返すと出る数値になっています。ですから、1億2,000万円に対して、毎年12.3%という数値が資産として増えている部分、そのような値になっています。
(世古口):実際に、こちらの自己資金を出した人ベースの、自己資金に対する利益が毎年どれぐらい入ってくるのかというのが、この実質ROE利回りですね。
(中武):はい。借入がかなりうまくいっているので、10%を超えるような実質ROE利回りが出せています。
(世古口):そうですね。これだけ借入ができることはあまりないと思います。普通の実質ROE利回りは7%~9%でしょうか。
(中武):このような都心の物件の場合、借入を含めても7%~8%の間くらいのイメージです。
(世古口):分りました。このような収益性や、借入条件、物件の希少性などを含めて、かなりレアな、好条件の物件という理解でよろしいでしょうか?
(中武):はい、希少性のすごく高い物件であったと思います。
(世古口):このような案件は年に何回くらいありますか?
(中武):年に2回ほどあると思います。
(世古口):かなり掘り出し物ということですね。このような概要の物件ですが、次は損益とキャッシュフローシミュレーションを見ていきましょう。
損益・CFシミュレーション①
(世古口):損益とキャッシュフローは混同しがちで似ていますが、少し違うところがあります。損益は、会社でいうと利益や損失が最終的にどうなっているかということで、キャッシュフローは、実際に手元に残ったお金がいくらかということです。若干異なるので、その違いも含めてこの物件のシミュレーションを見ていただければと思います。
(中武):まず一番上の売上ですが、こちらは毎年入ってくるお金のイメージです。売上が2,000万円強ありまして、少し下の費用の部分、ここは税金上の費用です。法人の場合、決算書に出てくる費用で、固定の運営費や管理費、固都税、借入金利子、減価償却費などを含めて費用部分が約1,583万円です。一番左側の初年度に関しては、初年度諸費用、主に税金関係が発生するので、588万9,000円です。費用分としての合計はこの2,000万円強から1,583万円を引いた、434万円が初年度の損益、税務上の利益ということになります。
(世古口):初年度はいろいろ諸費用がかかっているので、その部分がマイナスになっているのですね。
(中武):はい。2年目以降に関しては、初年度費用がなくなった分が変わるというイメージなので、毎年1,000万円強の利益が出ている形になります。
(世古口):毎年同じ1,000万円強の利益が積み上がっていくイメージですね。一つ質問ですが、この売上のなかに空室期間や家賃下落がありますが、これがマイナス項目になっているので、簡単にご説明をお願いします。
(中武):空室期間に関しては4%を前提に組んでいます。また、家賃下落は毎年0.5%ずつ下がっていくという前提です。
(世古口):空室率4%は、どんなによい物件でも空室になるときがあるので妥当かと思いますが、家賃下落が-0.5%は、この立地の物件の場合あり得ないと思います。保守的に考えた方がよいからこのような想定になっているということでしょうか?
(中武):はい、念のため保守的にしています。実質は築8年ですが、新築時より家賃が上がっています。しかも結構上がっているので、実際の数値はプラスですが、保守的にマイナスにしています。
(世古口):普通の不動産の場合、建物が劣化するから、家賃が下落する方向性はあります。しかし、このような好立地の物件の場合、インフレに連動する部分が大きいので、今物価が上がっているとすると、家賃が上がっていく可能性が高いという感じがします。
(中武):次に支出です。実際に上の売上からキャッシュアウトする部分で、約1,400万円です。若干、税務上の費用とは違いますが、ここは借入の元本返済も入っていることが理由です。オレンジ色で示されている部分です。毎年870万円以上元本返済していくので、キャッシュには見えない部分ですが、資産としては増えている部分です。この売上の部分から支出、キャッシュアウトする部分を引いた税引き前利益が、1年目で600万円程度、2年目からは少しずつ家賃下落を踏まえて600万円弱程度になり、少しずつ下がっていく想定にしています。
(世古口):例えば、投資年数10年で築年数17年のタイミングの場合、積み上がった損益の利益はトータルで9,790万円、1億円弱の利益が積み上がっていて、税引き前ですがキャッシュフローでも5,600万円ほど積み上がっているイメージですね。
(中武):はい。借入金の残高は、10年目には2億6,000万円程度になっています。ですから、約9,000万円ほど減っているイメージです。
(世古口):わかりました。これぐらい利回りが高い物件の場合、これぐらい利益もキャッシュフローも残って借入も減っているので、不動産投資として成功する可能性が高い印象があります。
(中武):そうですね。このような物件に関しては、かなり成功の確率は高いと思います。
(世古口):以上が損益とキャッシュフローのシミュレーションでした。最後にこの物件の投資ポイントをまとめてお伝えします。
投資ポイント
(中武):投資ポイントは主に4点あります。
資産性と収益性のバランスを重視した物件選定
(中武):この物件に関しては、収益性もそうですが資産性を重視した物件です。ただ資産性を重視するといっても収益性を捨てていないので、バランスを重視した物件選定という形で記載しています。
(世古口):資産性何割、収益性何割ですか?
(中武):資産性は6割~7割くらいです。
(世古口):資産性6割~7割、収益性3割~4割ですね。富裕層の方は、このようなバランスの物件を選ぶ方が多いですか?
(中武):はい、そうですね。ほとんどの方はこのタイプの物件を選ばれます。
(世古口):なるほど、資産性の方が少し高いか、半々ぐらいでしょうか。
法人決算に合わせた価格交渉により10%減額
(中武):2つ目のポイントは、今回の物件は売主さんが一般の法人でしたが、ちょうど決算のタイミングに合わせて売上を確保しないといけないということで、かなり価格の交渉に乗っていただいた物件でした。当初出している物件の金額から10%程度減額することができたので、先ほどの4.5%という利回りになり、結論として、かなり資産性と収益性のバランスが取れました。
(世古口):価格が10%減額ということは、利回りが10%上がっていることだと思うので、元々4.1%だった利回りが減額によって4.5%まで上がったということですか?
(中武):はい、そのようなイメージです。
(世古口):4.1%と4.5%はかなり大きいですね。そのような意味でタイミングもよかった案件ですね。
家賃が相場と比較して割安で上昇余地あり
(中武):3つ目は記載はしていませんでしたが、家賃が相場と比較してまだ割安です。ですから、今の入居者さんが出ていったタイミングで、家賃を上昇する余地もあるという形になります。
(世古口):築8年ということですから、8年前は2016年なので、新築時から住んでいる人たちは、今と比べたら家賃相場はかなり安いのではないですか?
(中武):はいかなり安いです。25%オフくらいの家賃です。
(世古口):日本の法律上、住んでいるタイミングで家賃は上げられないですよね。
(中武):はい、そうです。家賃を上げるのがかなり難しいので、今住んでいる方が出ていった後は、おそらく家賃が上がって入居できると思うので、今提示している4.5%という利回りよりも、より上を目指せる可能性があると思います。
(世古口):分りました。そう考えると、築5年~15年の間の家賃の水準は低い状態だと思います。そのような物件は家賃相場よりも低い可能性があるので、狙い目なのではないでしょうか。
(中武):それほどではありませんが、見るポイントではあると思っています。物件選びの際はそのようなところも見て判断するのが大事だと思います。
(世古口):普通のワンルームの場合、入れ替えが結構早いと思います。2年~3年ほどで入れ替わりますよね。
(中武):はい。ですから、大きめな部屋であれば、そのような可能性は多少あるかと思います
(世古口):家族で住む場合などですね。わかりました。
管理費用含む支出の見直しにより利益UP
(中武):管理費用を含みますが、支出がかなり抑えられている物件なので、単純に毎年のキャッシュアウトが少ないです。管理面でもかなりよい物件になると思います。
(世古口):表面利回り4.5%で、実質利回りが3.9%は、結構実質利回りが高いと思ったのですが…
(中武):はい、少し高めです。
(世古口):なるほど。そういう意味でローコストで投資効率がよい物件ということですね。
(中武):はい。今回の1つ目の物件のポイントは、案件としてはかなりよい物件でした。このような物件もあるので、一棟RC造のものを投資される方は、ご相談に来ていただければと思います。
(世古口):頻繁ではありませんが、このような物件が出た場合は、投資した方がいいですね。これが1つ目の物件です。
本日は東京都渋谷区の物件の最新投資事例をお話しいたしました。
後半では神奈川県の物件について解説していきます。
株式会社ウェルス・パートナー
リアルアセットマネージャー
早稲田大学商学部卒業後、大和ハウス工業株式会社へ入社。富裕層・地主に賃貸住宅での土地活用ソリューション提案に従事。東急リバブル株式会社にて投資用不動産の売買仲介を経験後、株式会社ウェルスパートナーに入社。マネー現代などで記事の執筆も行う。