目次
はじめに
不動産投資を行う方にとって、不動産売却はゴールではなく、新たな投資へのスタートラインです。不動産売却で得た利益を最大限利用して、「いかに資産を増やすか」が不動産投資のポイントです。この記事では、不動産売却益を最大化させ、次の投資へ活かす投資戦略について解説します。
不動産売却を成功するためのポイント
不動産売却を成功させるには、不動産の価値を正確に評価し、適正な価格を設定することがポイントになります。また、売却タイミングを見極めることも重要なポイントになります。特に、売却タイミングの見極めは、売却益を最大化させるだけでなく、納税額を減らすうえでも重要です。
市場分析と適正価格の設定
不動産売却を成功させるためには、市場分析が重要です。近隣地域の供給状況、類似物件の取引価格、経済動向(賃料の変化)、そして空き室率などを調査し、それらのデータに基づいて適正価格を設定します。この適切な価格設定が、売却機会を増やし、資産運用へとつながるポイントとなります。適切な価格設定は、市場とのミスマッチを防ぎ、売却効率を高めるために不可欠です。誤った価格設定は売却タイミングを逃し、資産の流動性を損なう結果となるので注意が必要です。
売却タイミングの見極め方
不動産売却を成功させるためには、最適なタイミングを見極めることが重要です。正確な売却タイミングの見極めは、売却益を最大化させるだけでなく、税務面や不動産管理上で大きなメリットをもたらします。
売却タイミングを見極める上では、おもに次のポイントを重視するとよいでしょう。
これらのポイントについて詳しく解説しましょう。
保有5年超(個人譲渡所得39%→20%)
「保有5年超」は、不動産売却で大きなポイントです。これは、不動産の保有期間で譲渡所得の税率が異なるからです。
・保有5年以内(短期譲渡所得) : 税率39%
・保有5年超(長期譲渡所得) : 税率20%
つまり、保有期間が5年を超えることで、譲渡所得の税率がおよそ半分ということになります。
※個人で不動産投資を行う場合に限ります。
約15年ごとの大規模修繕前
マンション投資の場合は、大規模修繕前に売却することも重要です。例えば、RC造一棟の物件の場合は、およそ15年ごとに大規模修繕が必要といわれています。
RC造一棟の物件では建物価格の2%〜3%の修繕費用がかかるため、大規模修繕前は売却に適したタイミングといえるでしょう。
建物設備部分の償却終了後
建物設備部分の償却終了後に売却するというのも不動産投資で重要なポイントです。不動産の建物部分は、「建物本体」と「建物設備部分」に分けられますが、両者では減価償却期間が異なり、「建物設備部分」の方が早く償却が終了します。
このため、「建物設備部分」の償却終了後は、計上できる減価償却費が「建物本体」部分のみとなり、納税負担が増えるためです。
築年数17年以内(購入者が融資を受ける場合)
売却不動産の購入者が銀行の融資を受ける場合は、築17年以内というのも売却タイミングの重要なポイントです。これは、不動産投資ローンを組める最長期間が関係しています。
通常、不動産投資ローンの最長期間は30年です。これに対して、一般的な投資物件であるRC造マンションの耐用年数は47年です。不動産投資ローンの最長期間は、「耐用年数−築年数」であるため、最長30年のローンを組むためには、築年数17年以内である必要があります。
配管や給水設備に異常の少ない築30年以内
不動産の管理や修繕の手間を考えると、配管や給水設備に異常の出ることが少ない築30年以内というのも売却すべきタイミングです。
物件の管理状況にもよりますが、配管や給水設備は築30年以降に異常が出てくるケースが多いようです。
この場合、修繕に手間や工数がかかり、費用負担も発生することから、特に忙しい方や不動産投資に時間を割けない方は、売却を考えるとよいでしょう。
なお、投資不動産のタイミングは次の動画で詳しく解説していますので、ぜひご覧下さい。
不動産投資のアドバイザーの選び方と交渉術
不動産売却を成功させるためには、不動産投資で実績のあるアドバイザーを選ぶことも重要です。
通常、不動産投資の相談先として、不動産投資会社やハウスメーカーを選ぶ方も多いでしょう。不動産投資会社やハウスメーカーは、不動産のプロである反面、「不動産以外の資産運用について相談できない」「自社に有利な物件を勧められる可能性がある」などのデメリットもあります。
なお、不動産投資については、私たちウェルス・パートナーも豊富な実績があります。海外不動産への投資や、不動産を活用した相続対策なども相談を承っておりますので、ぜひ気軽にご用命ください。
不動産売却益の運用方法
不動産を売却した場合、「売却益をどう運用するか」は資産運用の大きなポイントになります。
ここでは、不動産売益の再投資先や運用するうえでのポイントを紹介します。
不動産売却益の再投資先
不動産売却益の再投資先はさまざまです。長期的に安定したインカムゲインを得たいのであれば、外国債券は魅力的な再投資先といえるでしょう。特に、記事執筆段階(2024年6月)では米国金利が高止まりしているため、米ドル債券は再投資先の有力な候補になるかもしれません。
また、長期的にキャピタルゲインを狙いたいということであれば、株式や不動産への再投資を検討するのもよいでしょう。
リスク管理と資産配分の基本
不動産売却後の資産運用では、リスク管理と資産配分が重要なポイントになります。リスク管理では、自分のリスク許容度や運用目標に応じて運用資産を選び、将来発生するリスク要因へ適切に対応することが重要です。
資産配分では、株式や債券、不動産など異なる資産クラスへバランス良く投資することが重要です。現状で「資産配分が不動産に偏っている」「適切な資産配分を知りたい」という方は、IFA(独立系金融アドバイザー)など、資産運用のプロに相談するのもよいでしょう。
長期的な資産形成と節税対策
長期的な資産形成と節税対策は、不動産売却後の資産運用において重要な課題です。また、長期的な視点で考えると資産承継や相続対策なども考慮していく必要があるでしょう。短期間の運用成果や利益にとらわれず、安定した運用成果を目指し、同時に節税対策も考慮していくことが大切です。
まとめ
不動産売却後の資産運用戦略について紹介してきました。
不動産売却では、特に売却タイミングの見極めが重要です。売却益を最大化させるだけでなく、税務面や不動産管理上でも大きなメリットがあるためです。
また、不動産売却益の再投資先選びも重要なポイントです。
冒頭で述べた通り、不動産の売却はゴールではなく、新たな投資へのスタートラインです。
不動産売却益をうまく活用し、資産運用を成功させるために、本記事がお役に立てば幸いです。
株式会社ウェルス・パートナー
リアルアセットマネージャー
早稲田大学商学部卒業後、大和ハウス工業株式会社へ入社。
富裕層・地主に賃貸住宅での土地活用ソリューション提案に従事。東急リバブル株式会社にて投資用不動産の売買仲介を経験後、株式会社ウェルスパートナーに入社。マネー現代など大手メディアでの記事執筆も行う。