目次
はじめに
皆さん、こんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。
本日のテーマは、「資産運用のプロ世古口は自分の持株会社でどのように資産運用をしているのか?」です。今回は、私が行っている資産運用について内容をお伝えして、皆様の資産運用の参考にしていただきたいと考えております。
私も、いわゆる❝未上場の事業会社のオーナー社長❞です。多くのオーナー社長の方々と同じように、資産の大半は、オーナーをしている事業会社に利益・純資産・キャッシュが結構貯まっていきます。では、それをどのように資産運用していくのがいいのでしょうか。
事業会社でそのまま運用していくという選択肢はもちろんありますが、事業資産と、個人に分類されるような資産(創業家の資産)は「切り分けて運用して管理したい」という思いがあります。ですから、私の場合は、多くの会社オーナー同様、事業会社の親会社に持株会社を作り、そこにキャッシュ(余剰資金)を吸い上げ、その持株会社を資産管理会社のように❝創業家の資産を管理する器❞として使っています。このような持株会社の体制で運用しているのが、私自身の会社(法人関係)の資産運用方法です。
持株会社を検討されている方や、既に持株会社体制になっている方々の資産運用の参考になると思いますので、今回は、私自身の持株会社の資産運用の内容についてお伝えします。
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持株会社の全体像
こちらは、私が運営している持株会社の全体像です。
持株会社が事業会社2社(A・B)の株を100%持っています。この事業会社でいろいろな事業を行っていますので、ここで毎年利益が生み出され、この事業会社にキャッシュや余剰預金が貯まっていきます。
私の場合は、この事業会社は事業の資金を運用して、事業資産だけを管理しており、残りの完全に余剰で、事業に使わないような資産やキャッシュに関しては、持株会社で管理するという考え方なので、それに該当するような資金の部分を事業会社A社・B社から持株会社が借入をするわけです。持株会社が吸い上げると、持株会社の借入が増え、キャッシュができますので、それをいろいろな資産に運用しています。
持株会社のバランスシート
左側の持株会社のバランスシートをご覧ください。負債のところにある長期借入金は、事業会社A社・B社からの借入金です。また、不動産にも投資しているので、不動産担保ローンも借入しています。そのほか、証券担保ローンでの借入もあり、実は借入が多いのが、私の持株会社の特徴になっています。つまり、レバレッジを効かせているわけです。
投資をしている資産
次に投資している資産を見ていきましょう。余剰の現預金では、米ドル建て債券が中心になるのですが、金融資産の中では外国債券の割合が多いです。残りは、外国株式に投資していたり、❝VCファンド❞という、さまざまな未上場会社やベンチャー企業に出資しているファンドがあるのですが、そのようなVCファンドに投資したり、ベンチャー企業そのものに出資したりして運用しています。
実物資産の中心は国内不動産です。不動産担保ローンの借入を使って投資している部分が多いですが、国内不動産(区分マンション)などに複数投資していたり、そのほか、外国不動産(アメリカの不動産など)も保有していたりします。また、太陽光発電設備を購入し、土地を買い、売電した収入を売り上げにしています。
このように、いろいろな資産に分散して運用しているのがこの持株会社です。
借入
負債の借入に関してもう少し説明します。いろいろな金融機関から借入しており、銀行からは不動産担保ローン、証券会社は証券担保ローン、ノンバンクは太陽光発電設備のローンを行っていて、フルローンで借入をして太陽光設備に投資しているイメージです。この持株会社に関しては、インカムゲイン(債券や不動産など)を発生しつつ、資産に分散し、資産分散効果を図って運営しています。これが、私の持株会社の資産運用の特徴です。
持株会社を持っている方は、「なぜ配当ではなく、借入で資金を吸い上げているのか」と不思議に思われるかもしれません。事業会社A・Bから持株会社への配当であれば非課税なので、借入ではなく、配当で吸い上げることはもちろんできます。しかし、ただ配当で吸い上げる場合、実は私は持株会社の株式を毎年子供に贈与しているので、配当の場合、子供に贈与するときの相続税評価が結構上がってしまいます。ですから税理士の先生と相談して、それならば借入のままにしておいた方が良いのではないかということで、現状は借入をしています。
今後どうするかわかりませんが、もしかしたらこの借入の部分を配当に切り替え、借入と配当を相殺するということが、可能性としてはあると思います。これも私の資産運用の特徴の一つといえます。
相続対策や資本対策
次に、相続対策や資本政策をお話ししましょう。私がこの持株会社の株の大半を持っているのですが、発行している株の1株だけ普通株式で、残りの全ての株は無議決権株式ということで、財産としての価値はあるのですが議決権はない、そのような株の構成になっています。大半の無議決権株式を私が持っているのですが、これを毎年子供に贈与して相続対策をしています。子供は財産権としての株式は承継していくのですが、議決権は、持株会社に関しては持ち合わせていないという状況になっています。
一方で、普通株式は自分で持ち続け、会社に対する権限を持ち続ける、というような資本政策をやっています。持株会社の価値というのは、事業会社が利益を上げ続けたり、持株会社の運用がうまくいき続けたりする限りは、相続税評価が上がっていく可能性の方が高いです。ですから、この持株会社で不動産を購入するなどして若干評価を落とし、生前に子供に渡していくことで、贈与した後の値上がり分に関しては、承継効果を得られるように、このように毎年少しずつ贈与しながら、配当で出しても良いところを借入にすることで評価が上がらないように工夫しながらいろいろやっています。
以上が、私の持株会社の全体像や資産運用の概要、それにまつわる資産承継や対策のイメージでした。
資産運用の内容
全体像をご理解いただいたと思いますので、次は具体的に、この持株会社の資産運用の内容についてもう少し詳しくご説明しましょう。ポイントは4つです。
ポイント1)米ドル債券で安定的にインカムゲインを獲得
持株会社の中で、外国債券を運用していましたが、金融資産においては、こちらが中心になっており、資産全体の7割~8割が外国債券になっています。その中でも中心なのは米ドル債券です。米ドル債券に投資することで、安定的にインカムゲインを獲得できます。金融資産の中心は基本的にはこの米ドル債券です。
米ドル債券だけで毎年1000数百万円以上の安定的なインカムゲインが、持株会社に入ってくることになっています。これぐらいインカムゲインが入ってくれば、万が一、自分が事故などで亡くなったとしても、家族はこの持株会社を承継することで、生活をしていくことができると思います。債券運用は、そういった安心感にも繋がっていると思います。
ポイント2)債券利金で外国株式に積立投資し資産成長
債券利金が入ってきても、持株会社なのであまり使うことがありません。ですから、自分が死んだりすれば別ですが、そうでない限りは、債券利金が持株会社に貯まっていきます。貯まっている間は、外国株式などに積立投資をすることで、資産成長を促すということをやっています。これも一つの特徴ではないかと思います。
ポイント3)国内不動産でインフレ・相続・レバレッジ効果
3つ目は実物資産の国内不動産です。国内不動産を持っている意味としてはインフレ対策です。物価が上がることについていくという対策や、相続税の評価です。毎年贈与をしていますので、株の評価を上がりすぎないようにして、相続税を若干抑える効果があります。
それ以外には、レバレッジ効果です。債券だとそれほど借入が効きませんが、借入比率を上げて投資効率を高めるということに一役買っているのが国内不動産なのです。物件投資金額に対して6割~7割の借入をして、投資できるというのが不動産の特徴ですので、それを大いに発揮してくれているというイメージではないかと思います。
国内不動産に関しては、事業会社の方で事業性がある会社の場合、銀行が不動産投資の融資をなかなか出してくれません。ですから、持株会社で不動産投資をやることで借入ができるというのは、大きな意味のあることではないかと思います。
ポイント4)サテライト資産で分散効果と楽しい投資人体実験
これまでの3つのお話は、債券・株式・国内不動産でした。これをコア資産と呼んでいて
、資産の中核を占める資産で、こういったものを土台に資産運用していき、その周辺はサテライト資産(その他の資産)で固めていくのが大事です。この3つのコア資産以外は、サテライト資産というふうに私の中で位置づけられています。サテライト資産の意味合いの1つとしては、やはり分散効果です。株や債券、不動産だけでなく、いろいろな資産などに投資することで、トータルの資産運用のブレ幅を減らしていくことを目論んでいるわけです。
それから、❝楽しい投資❞のためです。楽しい投資というのは、自分が興味はあるが、事業にはできないことを指します。例えば、友人のベンチャー企業に出資すれば、身近に感じられますし、ベンチャーキャピタルに投資して、その投資先のベンチャー企業が上場したとすると、面白いわけです。私は結構好きなのですが、そのように楽しむための投資などの意味も一つはあるのではないかと思っています。
あとは、ある意味❝人体実験❞という側面もあります。私は資産運用のアドバイスをする事業をやっているので、自分の持株会社でいろいろな資産投資をすることで、その投資や資産自体の勉強ができますし、結構学びがありますので、それを富裕層の方の資産運用のアドバイスに活かすことができるというのが大きな特徴かと思います。
海外不動産で、アメリカの不動産、一軒家や新興国の不動産、太陽光などに投資するのですが、実際に自分で投資してみないと、どういった資産なのか、どういったところが大変で、ポイントで、どうすればうまくいくのかなどが、なかなかわからないわけです。一番手っ取り早く、かつ詳しくわかるのが、自分で投資することだと私は思っています。ですから、それほど興味がない、アメリカの海外不動産や新興国の不動産などにも投資しているわけです。以上が、私の持株会社での資産運用の内容でした。
本日は「資産運用のプロ世古口は自分の持株会社でどのように資産運用をしているのか?」という内容でお届けさせていただきました。
株式会社ウェルス・パートナー
代表取締役 世古口 俊介
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。
2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者1万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
メディア掲載情報:「m3.com」「ZUU online」「MONEY zine」「マネー現代」でコラムを連載中