2020
06/16
最終更新日:2020/09/11

はじめに

相続トラブルを防止する目的や、被相続人の望む遺産分割を実現するための方法としてよく使われるのが「遺言書」です。

遺産となる自分の財産の処分や分割をあらかじめ遺言書にしたためておくことは、確かに相続トラブル対策として有効な方法になります。
しかし、遺言書を作成するときに4つのポイントに注意しておかないと、遺言書が新たな相続トラブルの火種になってしまう可能性があるのです。

遺言書をトラブルの火種にしないために知っておきたい「富裕層が遺言書を作成するときの注意点」をご紹介します。

遺言書による相続対策とは

相続対策には、生命保険金を一時所得として受け取る方法や不動産処分、生前贈与などいろいろな方法があります。
遺言書も相続対策のひとつです。
遺言書でできるのは、「遺産の分割について指定すること」など。
遺言書を上手く活用することで、相続人間の揉め事を防ぐことができるのです。

遺言書を作成するときに注意すべきポイント

遺言書さえ作成すれば、相続トラブルをゼロにできるわけではありません。

相続で揉める可能性を低くするためにも、制作する側もポイントを理解して注意する必要があるのです。
富裕層が遺言書を作成するときに注意したいポイントは4つあります。

ポイント①遺言書の種類を慎重に選ぶ

遺言書には「自筆証書遺言」や「公正証書遺言」「秘密証書遺言」などの種類があります。

自筆証書遺言は自分で作成できるため費用をおさえることができる点がメリットです。
ですが、相続のときに「本当に本人が作成したのか」「偽造や変造があるのでは」などのトラブルに発展する可能性が高いというデメリットがあります。

公正証書遺言や秘密証書遺言は公証役場で作成するため、自筆証書遺言より偽造や変造を疑われるリスクの低い遺言書です。

遺言書を作成するときは、それぞれの遺言書の特性を理解して、適切な種類の遺言書を選ぶことが重要になります。

ポイント②遺言書は法律で要件が定められている

遺言書は本人の死後に意味を持つため、法律で厳格に作成時の要件が定められています。
亡くなった本人に「本当に意思に沿って作成したのか」「この記載の意図は何か」など、確認することができないからです。

たとえば自筆証書遺言の場合は、自書や日付の記載、押印などが要件になります。
公正証書遺言や秘密証書遺言などは、証人が必要です。
このように、遺言書の種類ごとにルールがあるため、遺言書の種類ごとのルールに則って作成する必要があります。
要件を満たしていない自筆証書遺言書などは無効です。
せっかくの相続対策が無意味になります。

ポイント③記載しても法的効力のない内容もある

遺言書に記載した事柄はすべて法的な効力を帯びると思うかもしれません。
それは違います。
中には、遺言書に書いても法的効力のない内容もあるのです。

法的効力のない代表的な内容は「葬儀」などになります。
葬儀について自分の希望を書いておくと法的効力で「希望通りの葬儀ができる」と思うかもしれません。
葬儀は遺言書の法定遺言事項ではないため、遺言書の法的効力で相続人に強制できません。

法的効力のない内容ばかり書いてしまうと、遺言書自体の作成が無意味になってしまう可能性があります。

ポイント④伝えたいことは「付言事項」でまとめる

法的効力がないからといって遺言書に書いてはいけないわけではありません。
遺言書に記載して法的効力のない内容は、「付言事項」としてまとめる方法があります。

付言事項とは、法定遺言事項以外の記載(法的効果のない記載)のことです。
葬儀のことやお墓のこと、家族へのメッセージ、どうしても伝えておきたいことなどを記載します。

相続対策として遺産分割などは、遺言書内でしっかり行う。
加えて、法的な効果のない記載も付言事項としてまとめておくといいでしょう。
「伝えたいことを伝えること」と「相続対策」を遺言書内で両立できます。

まとめ

富裕層が相続対策としてよく使う方法が「遺言書」です。
遺言書は遺産の分割を指定するなど、上手く活用することで相続トラブルの防止が可能になります。
しかし、遺言書は作成さえすれば相続トラブル対策になるわけではありません。

場合によっては、遺言書が新たなトラブルの火種になる可能性があるのです。
有効な相続対策をするためにも、ポイントに注意して遺言書を作成しましょう。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者3万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

<ご注意事項>

  • 当社の所属金融商品取引業者等は株式会社SBI証券、東海東京証券株式会社、エアーズシー証券株式会社です。
  • 当社は所属金融商品取引業者等の代理権は有しません。
  • 当社はいかなる名目によるかを問わず、その行う金融商品仲介業に関して、お客様から金銭および有価証券のお預かりを行いません。
  • 各商品等へのご投資には、商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。

[金融商品仲介業者]

商号等:株式会社ウェルス・パートナー

登録番号:関東財務局長(金仲)第810号

[所属金融商品取引業者]

商号等:株式会社SBI証券

金融商品取引業者 登録番号:関東財務局長(金商)第44号、商品先物取引業者

加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本STO協会、日本商品先物取引協会

商号等:東海東京証券株式会社

金融商品取引業者 登録番号:東海財務局長(金商)第140号

加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人日本STO協会

商号等:エアーズシー証券株式会社

金融商品取引業者 登録番号:関東財務局長(金商)第33号

加入協会:日本証券業協会

ご相談はこちらから
お名前*
お名前カナ*
メールアドレス*
電話番号*
第一希望日*
ご希望のお時間*
第二希望日*
ご希望のお時間*
面談場所*
ご相談を希望するアドバイザー
当日は代表の世古口が同席する場合がございます。
大まかな保有資産額を教えてください。*
ご年収を教えてください
当社を知ったきっかけ*
ご相談内容
利用規約*
上記でご入力いただいた内容は、当社からの連絡や情報提供などに利用するためのもので、それ以外の目的では使用いたしません。
また、その情報は、当社以外の第三者が利用することはございません。(法令などにより開示を求められた場合を除きます)
詳しくは、個人情報規約をご覧ください。
https://wealth-partner-re.com/policy/