投資不動産の正しい「売却」タイミングについて解説します!

皆さん、こんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。

はじめに

本日のテーマは、「投資不動産の正しい売却タイミング」をお届けします。私たちは不動産投資の購入・売却のお手伝いもさせていただいております。

不動産投資を検討されている方や既に保有されている方からよくいただくご質問が、今回のテーマである「投資不動産の正しい売却タイミング」についてです。売却に関しては難しいところが結構ありまして、変数が多く、その方のご状況や物件状況によってかなり変わってきます。

今回は実際のお客様の前提物件を例に取り、このような方であればこういう売却のタイミングが良いのではないか、可能性があるのではないかということを分かりやすくお伝えできればと思います。

前提物件

実際に私たちのお客様が投資されている前提物件を例に取り、今回の売却の話に関わる大まかな条件をお伝えします。条件には5つの要素があります。

1つ目は立地です。東京都内新宿区の非常に好立地の物件です。2つ目が建物で、1棟のマンション(RC造)です。3つ目が築年数で、5年です。4つ目が収益性で、表面の利回りは4.2%、管理費など諸々のコストを引いた実質の利回りは3.5%です。5つ目が物件の金額で、総額で3.5億円、それに含まれる土地の割合が1.7億円、建物が1.8億円という内訳の物件になっています。

今回の投資不動産の売却タイミングというテーマにおいて最も重要な前提は、物件が非常に頑丈な鉄筋コンクリートでできているRC構造である点と、築年数です。この2つが重要なポイントになります。この違いによって売却の正しいタイミングが変わってきますので、しっかり押さえていただければと思います。この物件はRC造で築年数が5年であると覚えておいた上で、次のポイントを見ていきましょう。

5つのポイント

ここからは、投資不動産の正しい売却タイミングの5つのポイントをお伝えします。1つ目は、投資してから5年以内か5年超かが一つのポイントになっています。

これは個人で投資する場合とお考えください。法人はあまり関係ないので、法人でご検討されている方はここは飛ばしていただいて良いと思います。あくまで個人で投資する場合の前提で、税金関係です。個人で投資する場合は、保有期間が5年以内か5年超かによって、利益にかかる税金が全く異なりますので、非常に重要なポイントになります。

保有5年以内は、個人の譲渡所得税が利益に対して39%かかります。5年超の利益に対する税金は倍程度違って20%です。5年超になると半分程度の税率になりますので、非常に有利です。ですから、個人で投資不動産を保有している場合は、保有してから5年超に売却するのが良いタイミングになりますので、一つの基準になるでしょう。

2つ目以降は個人・法人共通事項です。2つ目は、約15年ごとの大規模修繕前というタイミングです。1棟の不動産を持っていると、区分でももちろんありますが、修繕積立金の管理など全て自己管理となるので特に気にしなければなりません。大規模修繕になると、それなりに一時的にかなりの金額の支出がありますので、その前に売却するのが一つのセオリーではないかと思います。

この大規模修繕のタイミングは、RCの1棟の物件では約15年ごとと言われています。お伝えした前提の物件は築5年ですから、おそらくその10年後には大規模修繕をやった方がいいという話になる可能性が高いので、その前に売却するのが一つのタイミングであると考えます。1棟のRC物件では、物件金額の2~3%程度が修繕費用と考えられます。この前提でお伝えしたのは3.5億円の物件ですので、約700万円から、状況によっては1,000万円程度かかる可能性があります。この費用が発生する前に売却するのが一つのタイミングと言えるでしょう。

3つ目のポイントは、建物設備部分の償却が終了した後がもう一つのタイミングです。3.5億円の不動産物件で、その中の1.8億円が建物部分です。建物は土地と違って毎年劣化し、その分を不動産所得の損失として計算して納税します。建物部分は建物本体と設備部分の2つに分けられ、建物の本体部分は耐用年数が47年と非常に長いのですが、設備部分の耐用年数は15年と、本体よりも短くなります。この設備部分を償却している間は減価償却が全体的に大きくなりますが、設備の償却が終わった後は本体の償却だけになりますので、減価償却が少なくなり、不動産の賃料が上がり、売り上げが上がり、費用が発生し、減価償却を引いた後の利益が大きくなってしまいます。これにより支払わなければならない税金の負担額がかなり大きくなるため、この設備部分の償却が終わる時に売却するのは一つのタイミングになるわけです。

お伝えした前提の物件の場合、総額が3.5億円で、建物部分が1.8億円です。減価償却は、本体部分と設備部分が10年間です。11年目以降は本体だけになり、設備部分の償却が取れない形になりますので、最初の10年は減価償却が全体で毎年700万円ほどですが、11年目以降は350万円に減ってしまいます。

元々350万円は設備部分の償却で、それがなくなるわけです。この350万円が、不動産から発生する利益に乗りますので、その分の納税負担が増えてしまいます。それが毎年のことになりますので、負担は結構大きくなります。ですから、そうなる前に売却するのが、建物設備部分の償却終了後というタイミングになるわけです。

4つ目のポイントは、築年数が17年以内というタイミングです。これはRC造が前提です。投資不動産のローンは基本的には30年間が最長になりますが、30年間の投資ローンを組める築年数は17年以内です。RCの物件の耐用年数は47年ですので、「47年-築年数」が、この物件に投資する時の借入の最長期間になります。築17年を超えると、購入する方の融資の借入期間が短くなりますので、融資条件が悪くなってしまいます。

前提の物件は購入から築5年ですから、今から12年後までには売却した方が、購入される方の融資条件的に良いということになります。築17年以内の売却を一つの目安として検討するのが、購入される方の状況や有利な条件で買えることを考慮すると、売却価格や流動性にも影響すると思いますので、一つのタイミングとして良いと考えます。

5つ目のポイントは、築30年以上の物件は配管や給水に異常が発生することが多くなる点です。それによって修繕が増えると、手間や工数が増えて管理が大変になりますので、忙しい方にとっては手間が増えてしまうわけです。

特に多忙な方は、築30年以内というタイミングで売却するのが良いと思います。これは、物件の管理状況や修繕具合によって変わってきます。配管・給水系の修繕が多くなってくるのが築30~40年程度ですので、無難に考えれば、築30年以内での売却を一つの目安として考えた方が良いと思います。今回の前提の物件は築5年でまだ新しいですから、25年後程度のタイミングになるでしょう。

ここには書いていませんが、それ以外にも経済条件として、日本の金利がこれから上がっていくのかどうかや、インフレがどうなっていくのか、保有している物件の場所などによっても変わってきます。また、相続対策で投資している物件かどうかによっても最適な売却タイミングは異なりますので、複合的に考えて決定されると良いのではないでしょうか。

 本日は「投資不動産の正しい売却タイミング」という内容でお届けさせて頂きました。

今回の内容については「世古口俊介の資産運用アカデミー」でも視聴できます。

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