目次
はじめに
日本国内では「ウッドショック」が問題になっています。
日本では1970年代から80年代はじめに起きた「オイルショック」によりトイレットペーパーなどの価格が高騰した歴史があります。
このオイルショックの木材版とも言うべきトラブルが日本国内で起きているのです。
ウッドショックの意味や現状、背景について解説します。
日本で起きている「ウッドショック」とは?
ウッドショックとは、新型コロナなどの影響で起きている木材価格高騰のことです。
木材の価格が高騰しているため、木材でできている製品や住宅の着工などに影響が出ています。
木材の上昇により、一般的な戸建て住宅の場合でも2020年と比較して400万円ほどの価格上昇になっています。つまり、2020年は4,000万円で建てられたはずの家が、4,400万円出さないと建てられない計算です。
日本国内で使われている木材は、約半数が輸入木材になります。
そのため、ウッドショックの背景には輸入や海外の情勢が関わっているのです。
ウッドショックはなぜ起きているの?3つの背景とは
ウッドショックによる木材価格の高騰には3つの背景があります。
背景①新型コロナによりアメリカをはじめ海外の木材需要が増した
新型コロナの影響により、多くの国が経済に影響を受けています。
また、感染防止のための在宅ワークなども見直されるようになりました。これは日本だけでなくアメリカなどの海外も同じです。
アメリカは新型コロナの影響による経済への打撃対策として低金利政策を打ち出しました。
結果、住宅ローンの金利も下がり家を欲しがる人たちが「金利も下がったことだし、自宅での趣味や仕事も増えたし家を建てようか」と、この機会に家を買ってしまいました。
急に木材需要が増したのです。
需要が増して供給がそのまま、あるいは追いつかないと価格が高騰する。
よくある理屈が木材で起きてしまったのです。
背景②日本の建築業界は半分ほど海外の木材を使っている
先にお話ししましたが、日本の木材の半数は輸入に頼っている状況です。
日本は国土の7割が森林という、先進国の中でも森や樹木に恵まれた国になります。
山林に恵まれているのであれば自国の木材で賄えばいいと思うかもしれません。
輸入木材は安価なので、日本国内では多く使われています。
加えて、海外の木材を多く使われると山林を育てても「お金にならない」「買ってもらえない」となりますから、木を育てる人や山林を管理する人が乏しくなるわけです。
結果、日本の木材・林業は減速してしまいました。日本の木材が簡単に手に入らなくなると、さらに海外頼りになってしまいます。
海外の木材需要により輸入数が減り、足りない分は国内の木材で賄っています。
しかし国内の林業が減速しているわけですから、国内の木材もすぐに乏しくなってしまったのです。
そのため、木材の奪い合い状態になり価格が高騰しました。
背景③新型コロナの影響によりコンテナ不足に陥っている
世界にはたくさんの国がありますから、木材を売ってくれる国や安い国を探して融通してもらえればいいのではないかと思うかもしれません。
実は、そう簡単にいかないのです。
なぜなら輸出入に使うコンテナが激減しているからです。
新型コロナの影響により輸出入、人や物の出入りが制限された結果、輸出入にまつわる会社は持て余したコンテナを売却・処分しはじめました。
木材を海外から取り寄せたくても輸入に使う道具が足りていなければ、容易に木材を運べなくなります。
日本が木材の潤沢な国や高騰していない国から買いつけたくても、簡単にできない状況になっています。
まとめ
日本国内で起きているウッドショックについてお話ししました。
ウッドショックによる木材価格高騰により、住宅着工などに影響が出ています。
ウッドショックが長引けば、今後さらに新築住宅価格などが影響を受けるかもしれません。
連鎖的に木材系の事業も影響を受ける可能性があります。
今後の動向に注目したいニュースです。