2019
05/30
経済・マーケット

はじめに

IPO(新規公開株)は魅力的な投資対象と見られています。アメリカでは2018年に173社が新規上場し、多数のIPO株は初値が公募価格を上回りました。歴史を振り返ると、伝説のようなIPOも数々ありました。

大きな収益を見逃さないように、IPOは投資家にとって要チェックです。今回は、今月に上場したUberについて紹介したいと思います。

まずIPOで成功した有名会社の例を見てみましょう。

Googleの大成功

Googleが2004年に上場したとき、初日の時価総額は約270億ドルでした。現在では、S&P500の中で4番目に大きな会社で、時価総額は約8287億ドルという驚愕の規模です。13年前に85ドルの新規株式公開価格で上場した時の30倍になっています。

Facebookの逆転

FacebookのIPOは2012年5月に行われ、上場当日のインターネット遅延と通信障害により、一部のトレーダーは注文価格より高い価格で株を購入することになりましたが、株価は公開初日に38.23ドルで収め、公募価格38ドルをやや上回りました。 それ以来、Facebookの売り上げは年々増加しています。

現時点では、Facebookの株価は408.6%上昇しており、現在の時価総額は5520億ドルです。

しかし、上場直後を苦しんだ企業も。

なぜうまくいかないのか

FacebookとGoogleの株価の高騰には2つの要因が挙げられます。

Facebook、GoogleともIT産業で高い技術力を持つ企業にあげられます。
両社とも上場した時点で多額な収益を達成しています。

人気で影響力を持っていますが、収益面では残念な企業も少なくないと言われます。2017年以降、Snapの時価総額は約3分の1縮小しました。DropboxとSpotifyの株価は昨年のIPO発行価格からわずかな上昇になります。Lyftは長期的な低迷が見られます。

上場して伸び悩んでいる会社は、ほとんど①と②のどちらかまたは両方を満たしていないと言われています。

Uberの難航

今年5月10日、Uberは45ドルの新規株式公開価格でニューヨーク証券取引所に上場しました。 45ドルという価格は約754億ドルの評価額を示唆しています。

これは昨年の760億ドルから下落しただけでなく、引受会社であるモルガン・スタンレーとゴールドマンサックスが匂わせた1,200億ドルを大幅に下回りました。

その後、プラス圏に転じることなく、7.6%安の41.57ドルで初日の取引を終えたことに。現時点での株価は41.59ドルで、成長は大きくないと考えられるでしょう。

Uberの融資累積額は設立以来199億ドルに達し、上場によりさらに81億ドルが調達されました。

しかし、目論見書によると、過去3年間の営業損失は101億3600万ドルを超え、顕著な増益は挙げられませんでした。また、2017年1~3月期以降、9四半期連続で赤字が続いています。

Uberの課題は?

Uberは現在、①ガバナンス②多角化③技術革新の3つの課題が待ち構えています。
まずは2017年から次々発覚した不祥事です。

元CEOのセクハラ事件により利用者の間でUberのアプリをスマートフォンから消去する「デリート・ウーバー運動」が広がりました。調査会社セカンドメジャーにより、2017年初めに82%あったUberの米国ライドシェア市場におけるシェアは2018年12月末には69%まで下がったことがわかりました。

これからは社内管理、危機対応、信用回復の課題に直面しなければならないでしょう。

次に、ライドシェア事業が伸び悩んでいますが、料理宅配サービスを提供しているUberEatsの取扱高はUber全体の20%を突破しました。Uberは声明の中で「中国を除いた地域で最大の料理宅配事業者になった」と胸を張りました。

他に、カーシェア以外、ヘリコプターを使った「空飛ぶタクシー」などの分野にも同様の取り組みを広げる構えを示しています。
最後に、Uberは近年技術開発に力を入れており、「幅広い技術分野の専門知識を有した高度なスキルを持つエンジニアとコンピューターサイエンティスト3000人超のチーム」や、自動化されたインフラを売りにしています。

しかし、昨年3月に公道走行試験中の車両が起こした死亡事故の影響で、自動運転開発が停滞することに。
また、Uberは過去3年間で約60億ドルを研究に投入しています。Lyftなどのライバルとのシェア争いは激しく、食事配送や貨物など新分野への事業拡大に伴い、研究・開発費がかさんでおり、高額の赤字をもたらしました。

最後に

テクノロジーの開発やサービスの整備は数年もかかるものであり、現在はUberの下積み期でもあると言えると思います。会社規模はGoogleやAmazonと比べるとまだまだですが、研究開発費の差はそこまで大きくないことが大きな野望を持っているでしょう。

これはUberにとって大胆かつ危険な動きであり、最大のチャンスでもあると言われます。

上場により集めた資金は、上手に駆使すればUberの試金石になるかもしれません。これから黒字に転じる可能性は充分考えられるので、Uberの成長は期待できると言えそうです。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者3万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

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