はじめに
昨今、日本電信電話株式会社(NTT)が子会社である株式会社NTTドコモを完全子会社化すべく、TOBを行いました。
多くのニュースでNTTがNTTドコモをTOBしたことについて、報道されていましたが、TOBについて知っているでしょうか。
TOBとは、株式公開買い付けの略称であり、上記の例で言えばNTTがNTTドコモの株式を購入したいです。売ってくださいというもの。TOBについて余り知らない方に向けて今回は、TOBとはなにか、TOBでなにができるのか変わるのかについてお伝えしていこうと思います。
TOBとは
TOBとは、「株式公開買い付け」の略です。
簡単に言えば、自分がほしい株を持っている人に向けて、「あなたの持っている株を私に売ってください。」という手続きです。あらかじめ、価格や期間、株数などを決めておき、市場外で一括して買い上げる方法。
最近ではNTTがNTTドコモの株式を一括で買い取るために、TOBを行い話題となりました。もともとNTTの子会社であった、NTTドコモをTOBによって完全子会社化するために行われました。
TOBによって完全子会社化を図り、昨今騒がれている携帯電話料金値下げに踏み切ろうと考えているとの見方も強まっています。
TOBはどのようなときに行う?
TOBとは、株式公開買い付けのこと。つまり、あなたの持っている株を私に売ってください。という手続きである。ということは先にお伝えしました。
そして、他の人達が持つ株式を得ることで、発行株式の取得数を上げることを目的にしています。それは、先に紹介したNTTの話でよく分かるかと思います。
そもそも株式を所有するということは、株式会社を保有するのと同じことです。株主総会という言葉を聞かれたことがある方も多いかと思いますが、株主総会は株式会社の最高意思決定機関のようなもの。
役員や経営に関する方針などすべて、株主総会にて決定することができるのです。この、株主総会で強い権限を持つためには、多くの株式を保有することです。
今回のNTTの事例で見れば、もともとNTTドコモはNTTの子会社であったと紹介しました。しかし、子会社から“完全子会社”にするためにTOBが行われました。どういうことかと言うと、株主の保有割合が大きく関わってきます。
もともとNTTは、NTTドコモの株式66%を保有していました。しかし、今回のTOBによって残りの34%を取得し、完全子会社するものということ。
そもそも株式の保有割合に応じて決定できる事項は下記の通り。
・発行株式の1/3以上保有で重要な決定事項について、拒否が可能
・発行株式の1/2以上の保有で役員の選任が可能
・発行株式の2/3以上の保有で会社の合併・解散が可能
つまり、今回のNTTの事例で見れば、NTTはNTTドコモの合併や解散の権限をもっていたということです。にもかかわらず、完全子会社化する理由は、NTTドコモの競争力強化が目的であると言われています。
TOBのメリット・デメリット
TOBの一番のメリットは、あらかじめ決めた金額・期間・株数を一度に大量に購入できることです。株式の売り主としても、定まった金額で売却できる点は、一番のメリットであるといえるでしょう。
逆に、デメリットはTOBがかならずしも成功するとは限らない点です。競合他社による介入など、防衛策はいくつもあるため、必ず成功するとは限りません。もしも失敗に終わればTOBを行おうとした側が損害を受けてしまうので注意が必要です。
まとめ
今回、TOBについてお伝えしました。
TOBとは、株式公開買い付けの略であり、株式会社の株式を一般に購入したい際に利用する制度です。
ただTOBは、かならずしも成功するとは限らず、防衛策によって失敗に終われば、損害を受ける可能性があります。メリットばかりではなく、デメリットも存在するので十分な注意が必要でしょう。