相続税を払わないとどうなる?期限を過ぎてから申告したときのペナルティ

はじめに

平成27年に相続税の改正があり、基礎控除の引き下げがありました。
基礎控除が引き下げられたことにより、相続税を課税される相続ケースが一気に2倍ほどに増加したといわれています。
相続税が課税されるケースが増えたことにより、相続税の間違った申告や無申告も増え、国税庁が書面照会などをおこなっているのが現状です。

そもそも、相続税の申告が必要な相続人が相続税の申告をせず、相続税を払わないとどうなるのでしょう。
相続税を払わないと、どのようなペナルティがあるのでしょうか。

意外と知られていない、相続税のペナルティについて解説します。

相続税の申告期限と時効

相続税には申告期限があり、申告期限内に相続税申告をおこなわなければいけません。
また、相続税には時効が定められています。
相続税の時効が完成すると、相続税申告や相続税の納付が不要になるのです。
まずは相続税の申告期限と時効について見ていきましょう。

相続税の申告期限

相続税の申告期限は、相続開始を知ったときから10カ月以内です。
期限が土日祝日にあたる場合は、土日祝日の翌日が申告期限になります。

たとえば1月5日に被相続人が亡くなり、その日のうちに被相続人の死(相続開始)を知ったとします。
1月5日から10カ月ですから、相続税の申告期限は11月5日です。
ただし11月5日が土日祝日の場合は、翌平日が相続税の申告期限になります。

相続税の時効

相続税には時効が設定されています。
相続税の時効は5年です。
ただし、これはあくまで相続税の支払い義務がないと信じていた相続人の時効になります。
自分が相続税の支払い義務があることを理解している相続人の場合は、時効が7年になります。

相続税の支払いを免れようと5年相続財産を隠していたなどのケースで、5年経過後に財産を出してきて「時効が完成した」と安堵した相続人がいたとしても、このような人の場合は相続税の時効が5年ではなく7年だということです。

相続税の申告期限を過ぎたときのペナルティ

相続税の申告期限を過ぎてしまったり、相続税を払わなかったりすると、ペナルティがあります。
ペナルティを一言でいうと「支払いの負担が増える」と言うペナルティです。

期限から遅れて相続税の申告をした場合は「無申告加算税」「延滞税」がかかります。

無申告加算税は相続税の額によって加算が変わってくるのです。
「税額50万円までは15%」で、「税額50万円を超える部分は20%」になります。
無申告加算税により、相続税の負担が一気に重くなる計算になります。
また、期限を超えたことにより、延滞税も請求されることになるのです。
延滞税は「納付期限から2カ月間は年7.3%」で、「納付期限2カ月を超えると14.6%」になるのです。

ただ、税務調査で指摘を受ける前に自主的に申告した場合などは、無申告加算税と延滞税はどちらも5%で済むようになっています。
期限が過ぎても自主的に申告し、相続税を払おうとする人に配慮するための措置です。
なお、相続税を申告せず相続税逃れをしようとした場合は、無申告加算税と延滞税が40%になり、一気にペナルティが重くなる仕組みです。

相続税を払わないことはできるのか?

相続税は黙っていれば申告も納税もせずに済むと思うかもしれません。
税務署にバレなければ、無申告加算税や延滞税といったペナルティを与えられることもありませんから、上手く隠しておけば逃げられると思う相続人もいます。

相続税逃れは極めて難しいことで、基本的にはバレます。
なぜなら、税務署側は不動産や預金などの手続きをある程度チェックしているからです。
預金や不動産に動きがあると、税務署は税金やお金のプロですから、すぐに「あやしい」と思って調査します。
他の税金の手続きから相続税逃れが発覚する可能性もあるため、基本的に相続税を払わずに逃げるということは、ほぼ不可能です。

まとめ

相続税を払わない場合や、申告自体をしていなかった場合は「支払い負担が重くなる」というペナルティがあります。
相続税の対象になる遺産を黙って受け取ればわからないと考えるかもしれませんが、税務署は預金や不動産の動きをチェックしているため、誤魔化すことはまずできません。

相続税の支払い負担が増すと、結果的に相続人にはマイナスです。
無申告などがないように、税理士に相談して早めに相続税手続きの準備をおこなうことをおすすめします。

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