ソフトバンクグループはなぜマーケットから評価されていないのか?

1.はじめに

今後の株価の値動きに注目を集めるソフトバンクグループ(以下、ソフトバンクG)、子会社であるソフトバンクの上場時には超大型のIPOとして市場ではかなりの注目を集めましたが、公開後の初値は公募価格割れで始まり、上場後もしばらくはさえない値動きが続きました。株式市場でも注目を集めるソフトバンクGの特徴や今抱えているリスクを解説します。

2.ソフトバンクGとはどんな企業か

まず、株価を解説する前にソフトバンクGとはどのような企業なのか、特徴について解説します。

(1)ソフトバンクGとは
ソフトバンクGは通信総合事業を経営する純粋持株会社です。主な子会社にソフトバンク株式会社とヤフー株式会社があります。2018年12月に上場し、注目を集めたのは子会社であるソフトバンク株式会社で、ソフトバンクGとソフトバンクのように親会社と子会社両方が上場することを親子上場といいます。

ソフトバンクGは携帯電話サービス等の通信事業を中心とし、流通事業、プロ野球球団経営など様々な事業を行っています。

(2)経営者「孫正義」とは
ソフトバンクGの創業者である孫正義はテレビ等にもよく出演する著名な経営者です。孫正義は19歳の時に「20代で名乗りを上げ、30代で軍資金を最低で1000億円貯め、40代でひと勝負し、50代で事業を完成させ、60代で事業を後継者に引き継ぐ」という人生50年計画を立てていたという有名なエピソードがあります。

孫正義は若き日から会社を経営者して成功させるという強い意志を持っていました。その信念を曲げずに今日まで努力を続けたことでソフトバンクGという巨大企業の経営に成功しているといわれています。

3.ソフトバンクGが抱えるリスクとは

ソフトバンクは積極的経営で事業を拡大する反面、様々なリスクを抱えています。ソフトバンクが抱える主なリスクをご紹介します。

①ファーウェイ問題
ソフトバンクGは中国の通信機器大手ファーウェイと「4G」に続く次世代通信規格「5G」の実証実験を共同で進めていました。しかし、米国は中国軍と関係が深いファーウェイが「機密情報をスパイするのでは?」という懸念からファーウェイのアメリカ市場参入を排除する方針を決めました。

またアメリカに続き、フランス、ドイツ、日本政府も同じく安全保障上の理由から事実上ファーウェイを排除する方針を固めました。先進国の5Gに参入できない可能性が高いファーウェイとの関係は今後のソフトバンクGにとって大きなリスクとなっています。

②サウジアラビアとの関係
ソフトバンクG傘下の投資事業である「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」はサウジ政府系ファンドから巨額の出資を受けており蜜月の関係といわれています。

この「ビジョン」は2018年4月〜9月期決算ではソフトバンクGの営業利益1兆4,207億円のうち6,324億円(45%)を稼ぐグループ内での稼ぎ頭となっています。

しかし、トルコのサウジ政府反体制派記者がトルコのサウジ領事館で殺害された事件で、サウジ政府関与問題が取りざたされてから、周辺国とサウジアラビアの関係が悪化、蜜月関係であるソフトバンクもその飛び火を受けて株価が下落するなど影響を受けました。

ソフトバンクGの稼ぎ頭となっている事業だけに今後のサウジアラビア政府の状況によっては経営に大きな影響を及ぼす可能性もあります。

4.ソフトバンクGの財務状況

ソフトバンクGの総資産は20兆円を超えていますが時価総額は10兆円を割り込んでいます。この理由は有利子負債の多さにあります。有利子負債とは利子付きの負債、つまり借金です。

ソフトバンクGは成長事業には積極的に投資をする経営戦略を持っており、その結果として有利子負債が膨らんでいます。年間の支払い利子は5,000億円を超えるといわれており、利子の支払いは重い負担となっています。

これまでは、積極的投資が成功し、着実に規模を拡大してきたソフトバンクGですが、有利子負債の大きさは投資家も気になる危険な水準になっています。

5.まとめ

ソフトバンクGはファーウェイの問題やサウジアラビアの問題もあり逆風にさらされています。今まで成功してきた、積極投資の姿勢も利子の支払いが大きな負担となり裏目にでる可能性もあります。

孫正義氏は数多の逆境を乗り越えて大成功した経営者です。今回の逆境も乗り越えて再び事業を成長させることができるか、今後の株価動向に目が離せません。

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